しばらくしたのち、後ろのほうからテレイズが戦闘員と共にやってきた。
「バルザンド帝国軍の拠点を発見し、制圧いたしました! ただ――」
戦闘員たちはそう告げるとカルディアスは頷いた。
「そうか……倒すしかなかったということか――」
カルディアスは残念そうに言った。
「はい……。先ほど、バルザンド帝国の兵隊の死体の山もありましたが――」
カルディアスは頷いた。
「残党である敵の将はこの奥――やつが唯一の生き残りということになりそうだな」
すると、テレイズがフィレイナの元へとすかさず歩み寄っていた。
「フィレイナ! 大丈夫!?」
彼女は汗びっしょりとなりその場でしゃがみ込んでいた。
「大丈夫よ、心配しないで……年取ってるんだからこれぐらい当然よ。
それより、あなたの出番もそろそろだからきちんと覚悟しときなさいよ?」
そんな、本当に大丈夫だろうか――テレイズは悩んでいた。
「あの、一つ訊いてもいいですか?
テレイズさんが戦ってはいけないって言うのは……?」
ディルナは素朴な質問をすると、フィレイナは――
「そうね、一口に言えば”掟”だからね。
フェレストレイアでは戦士としての役割を担う者に制限をかけているのよ。
だから、誰でも彼でもというわけにはいかないのよね。」
すると、テレイズが――
「そうなの、だからフィレイナにはもうこれ以上戦わせたくないの!
彼女が引退を宣言して、代わりに私が――!」
が、フィレイナは首を縦に振ろうとしない。
「ダーメ! 私はまだまだやれんのよ、いーい? 見てなさい?」
なんとも頑固なお人である。
そう、もはやヘトヘトで、老婆とあらば戦わせることすら抵抗があるような存在だが、
それでも彼女はとにかく強かった……。
「ったく! ちょろちょろ動き回りやがって!
その程度でやられる私じゃあ……」
と、その時、彼女の背後めがけて一筋の閃光が放たれる!
「ないっての! ナメんな!」
と、とっさに身をかわすと、レーザーを放ってきたそいつめがけて風の刃を一閃! さらに……
「全部まとめてスクラップにしてやる!
<ライトニング・テンペスト・ストリーム!>」
すべてを破壊する脅威の雷がすべてを覆いつくす!
「エグイ……」
アルドナスを含め何人かがその光景に唖然としていた。
戦闘後のフィレイナ、汗びっしょりだった。
「さて、次行くわよ!」
まだやる気満々か……。
「できれば……おとなしくしてもらいたいところだが……」
アルドナスは悩んでいると、カルディアスが――
「そうだな、フィレイナさん、申し訳ないが――流石にもう心配だ、だから――」
そう言われてフィレイナは悩んでいた。
「艦長命令?」
「そうだ」
フィレイナはさらに悩んでいた、すると――
「わかったわよ、とりあえず、いったん休むことにするわね。
その代わり……頼みを聞いてもらえるかしら?」
「なんだ?」
するとフィレイナは――
「えっ、私?」
と、テレイズの肩を抑えつつ――
「彼女のことを使ってくれる?
実戦はまるでないけれどもフェレストレイアの女戦士だもの、腕は保証するわ。
これからの戦いのためにも鍛えるつもりで使ってくれるとありがたいんだけど――」
うーん……カルディアスは悩んでいた、実戦経験ゼロか……。
だが――
「やむを得ないな、フィレイナさんの頼みとあらば断るわけにはいかんか。
それでおとなしくしてくれるというのならいいだろう」
えっ、本当に!? テレイズは困惑していた。
すると、フィレイナは優しい眼差しで言った。
「あなたならうまくやれるわよ、私の分までね。
だから――ちゃんとうまくやるのよ?」
そう言われ、テレイズは覚悟を決めた。
「わかったわ! フィレイナが言うのだからしっかりとやってみるわ!」
だが――実戦経験ゼロであるにも関わらず、彼女もとにかく強かった……。
「ったく! いい加減にしなさいよ! その程度でやられる私じゃあ……」
と、その時、まるでケンタウロスを模したかのような機動力の激しい機械の兵隊が彼女の背後めがけて強烈な槍の一撃が!
「ないのよ! ナメないで!」
と、とっさに身をかわし、槍を放ってきたそいつをやり過ごすと――
「甘いわね! エアリアル・ダンシング・クルセイド!」
その場にいた敵すべてまとめて強烈な風の魔法剣技で粉砕!
「う、うそでしょ……!? これで本当に実戦ゼロですか……!?」
シェリアを含め何人かがその光景に唖然としていた。
どうもこの世界には強い女性が大勢いるようだ。