フェルメリアは新しい剣を携え、現れた魔物を相手に試し切りをしていた。
「フィレイナさん! この剣、使いやすいです!」
フィレイナは嬉しそうにしていた。
「いいでしょ。名付けて”フェレストレイア・ソード”ってね。
フェレストレイアで採れた鉱物を使って作った、
まさにフェレストレイアの女が扱うような麗しき剣ってところね!」
「じゃあ……フィレイナさんのような剣ということですね!」
「私はそんな女じゃないわよ。
こんなじゃじゃ馬女にはじゃじゃ馬な剣がお似合いよ!」
そう言いつつ、彼女はまた”シルグランディア・シャムシール”という名を付けたエグイ切れ味のソードで流れるような動作で魔物を次々と両断!
「フィレイナさんってやっぱりすごいです! まるで風のようです!」
言われたフィレイナは得意げだった。
「伊達に700年生きてないからね。
むしろ700年生きててショボかったらお前今まで何してたんって言われるのがオチよ。」
その感覚は我々にはわからない。むしろ一応年寄りなんだからおとなしくしてろと言われそうだが……。
いずれにせよ、何ともパワフルで綺麗なババアである。申し訳程度に綺麗と書いておいてやろう。
ララミィもまた新たな鞭をあしらってもらっており、魔物相手に奮闘していた。
「テラ・フォーミングされる前の生態系とは打って変わって、何とも凶悪な魔物ばかりじゃのう――」
そこへアルドラスが現れた、彼もまた新たな剣を与えられていた。
「このやろっ! くたばれオラァ!」
剣というよりはほぼ鈍器に近いような大剣、硬い相手を両断するにはうってつけな感じだった。
「やるもんじゃのう!」
ララミィは感心していた。
「へへん! これぐらいどうってことねえぜ!」
と、得意げな彼だが――
「ほれ、油断するでないぞ!」
と、彼の背後から襲い掛かってきた魔物に対して麗しき調べの一振り!
激しくしなる鞭の一撃と、さらに返しの一撃による二段撃で敵を破壊した!
「うおっ! 強えな!」
「ほほほほほ……鞭の扱いならわらわに任せておくのじゃ♪」
シェリアもまた新たな武器を携え、魔物の死骸を確認していた。
これまで出てきた魔物はまるで奇怪昆虫……いつぞやの惑星で見たような大きなサソリのような魔物ばかりだった。
「これで全部ですかね――」
そこへテレイズが現れ、シェリアの元へ近づいてきた。
「ごめんなさいね、戦うのを禁止されているから――」
「大丈夫ですよ、このぐらいなら」
と答えるシェリア、テレイズは魔物をじっと眺めて考えていた。
「どうかしましたか?」
シェリアは訊くとテレイズは答えた。
「この魔物……フェレストレイアに生息しているものとそっくりね――」
えっ!? シェリアはさらに聞いた。
「フェレストレイアにいる個体は退化していて、
大きくてもせいぜい手のひらにも満たないようなサイズでしかないんだけど――」
そうなのか……シェリアは言った。
「フェルドゥーナにもかつて存在していた生物のようです、
もしかしたら何かつながりがあるかもしれませんね!」
すると、テレイズは驚いたような様子でシェリアの顔を見ていた。
「どうかしましたか?」
テレイズは首を振った。
「あっ、いえ、ごめん、何でもないわ――」
すると、そこへフィレイナが現れ――
「まるでアリフローラと話をしているみたい、ってことでしょ。」
そう言った、どういうこと!?
「やっぱり、フィレイナもそう思う?」
テレイズは訊くとフィレイナは頷いた。
「他人の空似ですらないし、そもそも性格もザ・女傑って感じのアリフローラとは似ても似つかないけど、
それでも何故かはわからないけど、私もアリフローラがそこにいるって感じがするのよね。」
そ、そうなの……!? シェリアは驚いていた。
「女傑って言ったらフィレイナも同じだと思うけど?」
「私はただただじゃじゃ馬なだけよ。
今でもお転婆女って言われてるぐらいだからね――
って、ガキんちょまでいるようないい歳した女に言うことじゃねえっての。」
確かに……彼女の態度と話し方からは貫禄さえも覚えるようなものがあった。