次の日……惑星エルクザートへと改めてやってきたメテオ・ナイツ。
あれからこれといった動きがないようだ。
「エルクザートを監視していたチームによると、特に何者かが出入りした様子はないとのことです」
オペレーターがそう言うとカルディアスは頷いた。
「そうか。ということは――」
ララミィが答えた。
「先んじてエルクザートに降りた連中はそのままということじゃな。
我らの星を滅ぼしたばっかりにこの数日間、どうやって生きながらえておるのじゃろうな?」
と、まさにそう言うことである。
「連中はこういう連中だからむしろ狙われることも覚悟の上、
ある程度の備えをして降下しているハズね――」
テレイズはそう言うとララミィは腕を組んで悩んでいた。
「ふぅむ――油断はできんということじゃな……」
さらにエルクザートへと大接近、メテオ・ナイツは惑星を解析していた。
「エネルギー反応あり! 恐らくは”トリュオン”と呼ばれる物質のものかと思われます!」
オペレーターに言われてカルディアスは考えた。
「そういえば前回降り立つ前はどうだったんだ?」
フィレイナは分析していた。
「前回も似たようなノイズはあったみたいだけどすごい微弱な信号だったみたいね、
それこそ最近まであちこち宝探ししてたけどそれらが出している特有の信号ほどかそれに満たない程度のもの――
結果的にエルクザートの惑星を覆う魔力の層が出来上がったと考えれば辻褄が合うかもだけど、
それでもせいぜい”何かある”程度のものだから見落としても仕方がないわね。
それを30億年もの年月をかけて隠蔽に成功した……と捉えるのが妥当かしらね。
だけど、バルザンド帝国はそんな環境のエルクザートから既に”トリュオン”らしきものの目押しをつけていて、
今回強制テラ・フォーミングに踏み切った……という筋書きかしらね。」
なるほど……カルディアスは考えた。
「何か裏がありそうだな。
まあいい、エルクザートには降りれそうか?」
カルディアスはオペレーターに訊ねた。
「地表面のエルクザートは30億年前に近い環境のようですが、
大気もあるようなので問題はなさそうです!」
30億年前ということはまさにまさにということか。
するとそこへ――
「艦長! フェルドゥーナから入電です!」
別のオペレーターが言った。
「つなげてくれ」
カルディアスが言うと、モニタ越しに――
「諸君……新年あけましておめでとう。
今年もよろしく頼むぞ――」
ウィドラスだ。それに対して各々挨拶をしていた。
ただ――彼の背後に何故かノディラスがおり、そっちのほうが気になっていた。
「ところで……今は惑星UFP――いや、エルクザートの近くにいるのか?」
カルディアスは答えた。
「そう、まさにエルクザートを調査しようと考えていたところだ」
すると……ノディラスが答えた。
「それならちょうどいい、
30億年前、エルクザートに向けて我々が何かを飛ばしたという記録を見つけたんだ。
現地ではそれを”トリュオン”と呼んでいるらしい――」
なんだって!? それにはララミィが驚いていた。
「まさか――”トリュオン”はそなたらがもたらしたものじゃったというのか!?」
「みたいだね。
あれにはまさに”アーティファクト”と呼ぶべきもの、
そういった事情も含めてフェルドゥーナにはおけないと当時の我々が判断したそうだよ」
フェルドゥーナにはおけない? 何故?
「戦争があったんだ、それも大規模なね。
有事有事でエネルギー資源はすべからく没収されていったんだ。
無論、そうなると”トリュオン”もその対象になる――
それを危惧した当時のティルフレイジアであるメドーナは当時親しかった友人を頼って”トリュオン”を秘匿することにしたんだ。
だが……それがまさか、宇宙に飛ばすことになろうとは、メドーナもびっくりだっただろうね――」
ティルフレイジアなのにそれが読めなかったというのか、フローナルがいたらそう言っていたことだろう。
「”トリュオン”があるのはエルクザートの地中深くにある神殿の中、
今は強制テラ・フォーミングによって地表に神殿の入り口が現れているはずだ。
そう……バルザンド帝国の連中は”トリュオン”……いや、
”アーティファクト”クラスの物体の存在を探知してエルクザートにテラ・フォーミングを仕掛けたのだろう」
それはなんとなく想像ができた、しかし神殿の中か――
「神殿の名は”カルティラ神殿”、
メドーナの友人である魔族”カルティレス=アスロディス”自らの名をつけたその強大な建造物の中にそれがあるハズだ!」
なんだって!? それには全員が驚いていた。
「つまり、デーモン・カリスの祖は30億年前のフェルドゥーナ……フェルドラシアの魔族だというのですか!?」
カルディアスはそう聞くとノディラスは頷いた。
「……まさにそういうことになりそうだね。
”トリュオン”は”アーティファクト”と言ったが実は出自がはっきりしていないんだ。
だからもしかしたら――」
「まさか……”オーパーツ”の可能性ですか!?」
カルディアスはそう訊いた。
”オーパーツ”……それらが発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる出土品や加工品などを指す、
”out-of-place artifacts”、略して”OOPARTS”と呼ばれ、直訳すると”場違いな工芸品”と言われる通りの代物である。
「あり得るね。
もっとも、鑑定したのは30億年前、
今の文化のやり方とは違っているから今ならもしかしたら何かがわかるかもしれないけど」
なんでもいいんだが、こいつはどんだけサプライズを突っ込んでくれば気が済むのやら――