運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第4章 未来をつなぐ者たち

第86節 新年に向けて

 フィレイナとテレイズ、そしてフェルメリアとララミィは窓から外の光景を眺めていた。
「シェリアとディルナは?」
 テレイズは聞くとララミィとフィレイナが答えた。
「すっかり寝てしもうたようじゃ」
「2人とも、疲れていたようだからね。 特にディルナなんか私を目指すんだって言ってから勉強勉強って、 昔の私ぐらいに頑張ってんのよね、血は争えないっていうか?」
 昔の私ぐらい?
「ということはすっごいマジメに勉強しているのじゃな!  じゃが……張り切りすぎも良くないのじゃがのう――」
「ですね! マジメな方なんですね! 私も応援します!」
 などと、ララミィとフェルメリアは言うのだが、テレイズが――
「フィレイナがマジメねぇ……ちょっと想像しにくい光景だけど――」
 というと、フィレイナが――
「まあ……私としてはマジメなほうだけどね。 自分が楽するためならとにかく最大限に頑張るのが私のやり方だからね。 もちろんやるからには妥協は許さないけど、その分抜くところは抜かせてもらうからね。」
 ちゃっかりしている……さらにテレイズが付け加えた。
「頑張っているようには見えないのが玉に瑕なのよね。 ディルナもそうだけど、やること成すこと既に先回りしているのよね。 だから抜くところは抜かせてもらう……というか、 時間が来たら帰らせてもらうとか言いながら、翌日までにはしっかりと仕事終えてんのよ。 どういうことだと思う?」
「どういうこともこういうことも、だって……別に仕事とは思ってないし。 趣味のついでの簡単な作業だからやってんのよ、そうじゃなきゃ絶対に休暇中はやんないわよ。」
「趣味のついでの範疇を超えていると思うんだけど、そこは?」
「そうかしら? ま、私は天才だからね、だから趣味程度で片付けられんのよ。」
 というと、テレイズは嬉しそうに言った。
「ええ、天才なのは知ってるわよ、うちの星はもちろんフェルドゥーナでも周知の事実だからね。 それでこのキャラだから私もみんなもついていくのよね。」
 そう、これこそがこの女、フィレイナ=シルグランディア様というお方である。
「やっぱりシルグランディアさんという人はすごい人ですね!  ララミィさん、フェルドゥーナでシルグランディアさんという人はとてもすごい人なんですよ!  もうそれこそシルグランディアさんがいなければフェルドゥーナは宇宙に出られなかったんじゃないかって言われているほどなんです!  そんな人がフェレストレイアへと既に先回りされているんですから本当にすごいんですよ!」
「なるほどのう! 天才の血筋か! それは大層なものじゃ!  お姉様ははじめから只者じゃないと思っとったがやはりそうじゃったか!」
 そこへテレイズが――
「そうよ、それでいて変わり者でもあるんだけど、 だからこそ抜けているところがあったり妙ちくりんなところがあったりするから親しみやすいのも事実ね」
 というと、当の本人も――
「そうね、でなけりゃ面倒見の良いお姉様なんて言われたりしないからね。 ったく、なんちゅー難解なキャラしてんのかしら私ったら――」
 と、他人事のように言う……。だが、フェルメリアは――
「確かに! フィレイナさんって面倒見の良いお姉さんって感じですよね!  私も最初はそう思っていましたが、まさかあの天才シルグランディアさんの血筋の方だっただなんて!」
 と、彼女の第一印象をありのままに語ると、ララミィも――
「そうじゃのう! わらわはそのような方の血をいただいたということじゃな!  なんとも嬉しいものじゃ!」
 と、もはや女性陣に大人気のフィレイナお姉様、女性陣はますます沸いていた。
「ふう、それにしても疲れたわね。 夜更かしは美容の天敵、そろそろ寝ましょ。」
 フィレイナはそう言うと、女性陣は声をそろえて「はい! お姉様!」 と言うとともに一緒に仲良く寝ようとしていた、フィレイナを中心に……流石です、 もはやアイドルをも上回るカリスマ性だな――。

 それから数日後、艦内では新年を迎えていた。 ただ――それは滅びのリミットまで1年迫ったということである、残りあと1年――
 クルーたちは持ち場についており、カルディアスの艦内放送を耳にしていた。 もちろん、それは新年に対する豊富などの所信表明みたいなものである。
 それを終えた後、カルディアスは息をついていた。 そこへ――
「お疲れ様です! コーヒーでもいかがですか?」
 と、ディルナがそれを持ってきていた。 カルディアスは慌てて演説に使った紙をまとめていた。
「おお、すまんな。それならいただこうか――」
「女性陣みんなで艦長のためにって用意させていただいたんですよ♪  代表して私が持ってきたんですが、私じゃないほうがよかったです?」
「ど、どういうことだ……?」
「女神フェルリン様ならおいしくなるおまじないをかけてもらえたりして?」
「い、いや、間に合ってる――」
「冗談ですよ♪ ふふっ♪」
 カルディアスは焦っていた。そんな様子を見て周りの男たちは――
「フローナルのやつも大概だけどさ、艦長も案外モテるんだよなぁ……」
「そうそう、どういうことなんだろうなぁ……」
 羨ましそうにその光景を見ていた。