運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第4章 未来をつなぐ者たち

第82節 女神様の新たなる決意

 メテオ・ナイツ艦は再び出発しようとしていた。 ちなみに惑星ラブラブらーにゃで救助した人々はとりあえずフェレストレイアで保護する形をとることになった。 それ以上は周辺で探査しているチームに任せて事に当たる手筈である。
「準備はいいか?」
 カルディアスは訊いた、準備OK! 主に男性クルーたちは返事したが、女性のクルーは……
「フローナル、置いていくしかないもんね――」
 ディルナは沈んでいた。
「フローナルさん……」
「お兄様、早く元気になりなさいよ……」
 さらにシェリアとフィレイナも……
「フローナル……」
「フローナルさん……」
 ララミィとテレイズも……女性に人気がある彼。するとその時――
「待って! 私も行きます!」
 なんと、艦のすぐ外にはフェルメリアの姿が!
「フェルメリアさん!?」
 カルディアスは驚いていた。

 出発前夜、フェルメリアはしばらくフローナルを前にして悩んでいた。
「忘れるなよフェルメリア!  お前ならアイドルだろうが勇者だろうが女王様だろうが聖女神だろうが闇女神だろうがなんだってできるはずだ!  だから……絶対に生きろ! 例え俺の身に何が起きても、例えお前が何者になろうとも、俺は常にお前の下僕だ!  必要ならいつでも俺を跪かせろ! お前の手足にしろ! そしてお前が何者なのか確認させてほしい!  それはお前が……お前こそが”フェルメリア”という最高の女だからだ!」
 フローナルに言われたことが頭から離れない――
「こいつは重症じゃな……気持ちはわかるが、このままでは……」
 ララミィは部屋の外から2人の身を案じていて、そのまま通り過ぎようとしていた。
「わらわも寂しいが……フィレイアお姉様のところに行ってくるかの――」
 その場を去った。すると、フェルメリアはおもむろに……
「フローナルさん、お待ちください――」
 ゆっくりと立ち上がると、病室のカギをかけ、のぞき窓も締めた。 そして――なんと! 彼女はいきなりその場で生まれたままのお姿に……!
「人前でこんな姿になるのは恥ずかしいですがフローナルさんの前なら平気です……。 さあ見てくださいなフローナルさん、私はこの通り、癒しの精霊様になれたのですよ……。 だから、ささやかでも私でフローナルさんのお役に立てるのなら……」
 なんで”それ同然”が大丈夫なのに”それ自体”は恥ずかしいのだろうと小一時間。 そして……フローナルのいるベッドの中へ――
「フローナルさん……」
 そして、彼女はまたしても口づけを……!
「教えてくださいフローナルさん……あなたは何をしようとしていたのですか……?」

 ブリッジ内。
「行くといってもな――」
 カルディアスは悩んでいた、彼女が付いてきて大丈夫なものなのだろうかと。
「もう、決めたんです……私がフローナルさんの分だけ頑張ります!  そう、私は……何者にでもなれます!  だから今度はフローナルさんの力になりたいと思います!」
 彼女は帯刀していた、フローナルが腰につけている剣だ。 まさに彼の意思を継がんとばかりに飛び出してきたのだった。
「愛じゃな……彼女を突き動かしているのは愛じゃ……。 結ばれぬ恋だとわかっていても自分のことを今までずっと見ていてくれたフローナルのためならと、 彼に報いるために頑張ろうとしておる。 それに……結ばれぬ恋だからこそ、そこにケジメをつけようともしておる……」
 ララミィは腕を組みつつそう言うとカルディアスは訊いた。
「そ、そういうもんか?」
 ララミィは大きく頷いた。
「そういうもんじゃ。 こうなった女は何者よりも強い……何者も妨げることなぞできぬ――」
 カルディアスは悩んでいた。
「まあいい、この際だから仕方があるまいな……」
 しかし、周囲の男たちは……
「おい……見ろよ――」
「ああ、生フェルリン様だぜ――」
「フェレストレイア星に向かっている間は居室で塞ぎ込んでいたからな。フローナルのやつ、羨ましいぜ――」
「しかも一緒に来るみたいだぞ!?」
「てか、どっちでもいいが本当についてるのか?」
「ついてるわけねーだろ(ついてないとは言ってない)!」
「なあ……俺達、夢でも見てんのか?」
「夢に決まってんだろ! だって、夢にまで見た美女がまさに目の前にいるんだからな!」
「確かに! フェレストレイアの娘たちも大概だが女神様は頭一つ抜けてるって感じがするよな!」
「しかもあんな可愛らしい服装なのになんともエロスを感じる――」
「流石は女神様、わかってらっしゃる……」
「これは女神様ですわ……」
「女神落ち待ったなし!」
「俺、改めて女神落ちしてくるわ」
「俺も女神落ちしてくる」
「男はみんな女神様の下僕だ!」
 が、その時……
「そうかい……じゃあ、まずは勝利の女神落ちしてもらおうか…… そしたらさっさと仕事してくれるんだよなぁ……?」
 勝利の女神が殺意むき出しで目の前に立ちふさがった!
「は! はい女神様ぁ! ただいま作業を継続していますのでご安心くださいませ!」
「すぐ勝利の女神様落ちしました! 絶対やります! 必ずやります!」
「も、もちろんでございます女神様! 女神様の言うことが一番でございます!」
 流石です。この世であんたに敵う男なんかいねえよ。