運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第4章 未来をつなぐ者たち

第77節 女神フェルリン様マジ女神

 メテオ・ナイツ艦内にて……
「デヘヘヘヘ……女神様ァ……」
 女神フェルリン様の色香によって意識を完全に彼女に奪われている男たち、 彼女の言いなりとなり、事を運ぼうとしたり、抜いt……いや、そろそろ辞めておこうか。
 そして――
「ん? なんだ?」
 男たちは次々と意識を取り戻していた!
「あれ、俺達、一体……」
 すると、男たちはとんでもないことに気が付いた! それは!
「なっ!? こっ、これは女神フェルリン様の等身大フィギュアじゃないか! なんでこんなところに!」
 そ、その場には人形がたくさん転がっているではないか!
「おっ、俺! やっぱりフェルリン様に女神落ちするわ!」
「俺も俺も! 女神フェルリン様一択だ!」
「俺は最初から女神フェルリン様の下僕だ!」
「俺も俺も! 女神フェルリン様しか勝たん!」
「女神フェルリン様は俺の嫁!」
「嫁! 女神フェルリン様はみんなの嫁!」
「女神様ぁ! この俺を、女神様の下僕としてこき使ってくださいませー!」
「女神様ぁ!」
「女神フェルリン様ぁ!」
「男はみんな女神フェルリン様の下僕!」
 が、しかし……いきなり悲惨な事件が!
「ここにもいたか! このクソ人形食らえー!」
 な、なんと! ディルナが火炎放射器を持ち出して片っ端から人形を焼き払っていたのだ!
「え、ちょっ!? でぃ、ディルナちゃん! やめろ! やめるんだ! 女神様相手に何をするんだぁ!!」
「黙れバカヤロー! ホンモノじゃなきゃ女神様って言えねぇんだよ! こんな人形なんかこうしてやるわぁ!」
 ギヤアアアアアア! まあ、最初からないものと思えば――

 そして、死闘を繰り広げていたフィレイナとフローナルも……
「うっ、うぅっ……何なんだ一体、俺はどうしたというんだ――」
 フローナルは急に失速、床に向かって思いっきり倒れこんだ――。
「フローナル!? ……香が消えているということは――!」
 フィレイナは慌てて駆け寄ろうとしたが――
「私も……歳ね――」
 安心したせいか、フローナルへと向かった足取りはとてもゆっくりだった。
「フローナル……お兄様、しっかり――」
 フィレイナはフローナルを抱え上げると、そのまま膝枕をさせた。
「なんだ、フィレイナか……一体、何がどうしたんだ?」
「何でもないわよ。それより……お兄様こそどうしてここに?」
 だが、彼女の目は涙で滲んでいた。 どうしてって――フローナルは思い出した、すると――
「そうだ! ここでこんなことしている場合じゃねえ! 俺は!」
 が……立ち上がろうとした彼……身体が言うことを利かない―― それは女神フェルリン様のせいではなく、今回はフィレイナとの死闘による反動だった。
「全力で殺りあったからね……私も久しぶりに本気出した。 お兄様の身に何があったかは聞かないけど―― 多分、ララミィが解決させてくれたんじゃないかしら?」
 ララミィか……フローナルは腕を押さえながら考えた。すると――
「お兄様!?」
「お前はここにいろ……俺一人で十分だ、ここで留まっているわけにはいかねえ……だから――」
 と、ゆっくりと立ち上がり、その場から――
「お兄様!」
「いいから……そんな身体で来るんじゃない……わかったな――」
 フローナルはゆっくりと去って行った、フィレイナにはもはや彼を追えるほどの気力は残っていない……。

 ララミィはフェルメリアを抱えつつ、その場から移動した。 大量のコンテナの物陰に隠れて徘徊している帝国兵をやり過ごしていた。
「ここには立ち入らせるまい……<ミスト・スクリーン>じゃ!」
 彼女はその場を霧と魔法で誤魔化していた。
「ふむふむ、初めて使ったにしては上出来じゃ。さて、どうでるか――」
 すると……フェルメリアは起き上がった……
「うぅっ……ここは……どこ……!?」
 フェルメリアは周囲を見渡すと――
「あなたは……誰……?」
 と、人差し指を口元にあて、首をかしげていた――こやつ……カワイイ!  ……ララミィはそう思った、これをナチュラルにやるとは――自分もだが。
「わ……わらわはララミィ・ラヴリン!  ララミィって呼ばれているのじゃ! よろしく頼むぞ♪」
 ララミィ……しかし、彼女は事態を把握していなかった。
「ど、どういうことですか!? あの、撮影は!? イベントはどうしたんですか!?」
 イベントか……ララミィは考えると――
「その――わらわも参加予定だったんじゃが全部中止になってしもうたのじゃ!」
 そんな! フェルメリアはがっかりしていた。そこへララミィが――
「全部帝国軍とやらのせいじゃ!」
 その言葉に反応した彼女――
「そうだ! そうでした! 帝国軍が襲ってきたんです!  そして、私は捕まったんです! そしたら、えっと――」
 そこから先は覚えていないか――なるほど、ララミィは考えていた。 さらに――
「なっ、何ですかこの衣装は!? やだ! 私ったら!」
 確かにその見た目は非常に過激な衣装、顔を真っ赤――
「こんな短いスカートなのに何も履いていないなんて!  これじゃあ”ついている”のがわかっちゃう!」
 って! そっち!? エロイ見た目のほうは度外視!?  ……ララミィは少々呆れていた……って、履いてない!?  突っ込みどころは1つにしろとあれほど以下略で。
「ん? あれ? ついて……えっ!? え……あれ!? あれれー!?」
 ついていない……まあそういうことである。
「そ、そなた……お姉様は女なのじゃ!  よくはわからんが、原因は後で考えよ! わかったな!?」
 しかし、彼女は――
「でも! それはそれで事務所に怒られます!」
 いや、それどころじゃないんだが――ララミィは悩んでいた。
「よくはわからんが銀河連邦とやらのアイドルはなんともややこしいものらしいぞ――」

 彼女の服装から何とかしてあげたい……そう考えたララミィはとりあえず服を調達することに。
「この辺にいる人形が身にまとっている服装もなんとも際どいもんじゃ、 わらわ好みではあるがあの者に流石に着せるのは躊躇われるし、 わらわが着るにしても――いや、それは流石に話が変わってくるからやめておこう。 じゃが……なんとも素晴らしい身体の持ち主じゃのう……リリム・ミスティにも通じるものを持っておるようじゃ。 ゆえに、もしかしたらわらわと同じく男で生まれながら実際には女として成長していく身体なのかもしれぬな――」
 すると――
「ふむ、そうじゃ……こうしてみてはどうじゃろうか?」