運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第4章 未来をつなぐ者たち

第74節 闇の帳が落ちる刻

 さらに数か月後、再びエターニスにて。
「最近、忙しいみたいだな」
「はい! でも……銀河連邦の専従アイドルなんですよ!  だからこうしてフローナルさんと会う時間がたくさん作れるようになって、私もすっごく嬉しいんです!」
 そ、そうか……俺、もしかしてモテるのか――フローナルは悩んでいた。
「なあフェルメリア、エターニスの上のやつからちらっと訊いたんだが、 お前さ、もしかして”古のフェリシア”の血縁かなんかなのか?」
 彼女は考えていた。
「そうですね、正確には”古のフェリシア”さんの従兄弟の子孫ですね。 ただ……フェリシアさんって粛清されたんですよね――」
 フローナルは彼女を見て悩んでいた。
「お前さ、なんかどことなく”聖獣のフェリシア”っぽいところあるよな?」
「えっ!!? そっ、そうですか……!?  彼女、とっても美人じゃないですか……!? 私なんか、あの方の足元にも及びませんよ――」
 いや、あの……フローナルは悩んでいた、確かにフェルメリアはとても美人だ。
「だからその……精霊界が”古のフェリシア”の存在を許せばいいのにって思っててな―― というかさ、俺さ、あんまり精霊界の行いをよく思ってないんだよな――」
「そ、そうなんですね……。でも、よく思ってないって、どうしてです?」
「だって、勝手に”古のフェリシア”がグレたことになっているが、 それって勝手にじゃなくて精霊界が招いたことだろ?  だからそのバツを”古のフェリシア”に追わせるって……なーんか釈然としねえんだよな――」
「そうですね……なんか、そう言ってくれると嬉しいかもです!」

 再び彼女と会う日。
「ねえフローナルさん! 今日は特別なお話があって会いに来ちゃいました♪」
「特別? なんだ?」
「ふふっ、それはですねー♪ じゃーん♪  この通り、誘惑魔法を修得しちゃいました♥」
 フローナルは焦っていた。
「ばっ、バカ! それはダメだろう! お前、”粛清”されたいのか!?  フェリシアの血に連なる者は全部殺られていっただろう!? 忘れたのか!?」
 フェルメリアは考えた。
「でも……私は厳密には連なっていませんから――」
 というが、フローナルは自分から彼女に迫っていることに気が付いた…… 互いに気まずくなると、互いにすぐさま離れていた……。
「な、なあ……何処で覚えたんだソレ……」
「え? そりゃあ……誘惑魔法と言えばプリズム族ですからね♪ 長様から教わりました!」
「一番マズイだろ! ”古のフェリシア”はプリズム族の妖の香でこの世界を闇に落としたんだってば!」
「そうですか? でも……プリズム族の誘惑魔法って本来女性だからこそ扱えるんですよね?  でも、私は違います……ですよね?」
「ん……まあ、どうだろうな、男でも妖の香の成分が血に混じっていれば少なくとも…… いやいやいや、それ以前にお前はエターニスの精霊……いや、プリズム族に連なる血を持っていない……何で使えるんだ!?」
 すると――
「え……」
 彼女の身体には想像以上の妖の香が取り巻いている……
「確かめてみたいとお思いになりませんか……?」
 こっ、これは――彼女は本のわずかにうるませつつ何かを訴えるような上目遣いでフローナルのことを――
「あ、ああ……確かめて……みたい……」

 そして――
「いかがでしたか、フローナルさん……?」
 フローナルは悩んでいた。
「お前、こんなんで本当に男なのか……? てか、今……ついてた……か……?」
 妖の香に夢中になりすぎていて全くわからなかったようだ……。 フェルメリアは首を振った。
「わかりません、なんていうか……私、本当は女なんじゃないかと思っています……。 私が普段している格好は女の子の恰好で両親からもらった名前も女の子っぽい名前…… それで女性として生きているつもりですが……なんていうか、その――」
 と言いつつ、彼女はにっこりとしていた。
「でも……今フローナルさんと抱き合った時はとっても嬉しかったです♪  この場合、私は……女だから嬉しかった、でいいんですよね♪」
「そっ、それは――そうだろうな――」
 フローナルはずっとドキドキしていた、こいつは間違いなく女だ、と……。
「な、なあ……一つ提案なんだが……」
「なんです?」
「ああ……お前のそれ……誘惑魔法……すっごくいいと思うぞ、だから、その……」
「そうですか!? じゃあ……モノにしたほうがいいですよね!」
「ああ! 絶対にそのほうがいい! が……扱いについてはほどほどにな……」
「もちろんです! そこはフローナルさんに従います!」
 すると……
「じゃ、じゃあ……もう1回……いいか!? ”闇女神フェルメリア様”に落ちてもいいか!?」
「うふふっ♪ どうぞ、フローナル様♥ さあ……いらっしゃいな……ウフフフフ♥」
 フローナルは再び闇に落ちていった……
「も……もっ回いいか……?」
「まあ♥ フローナル様ったら♥ 欲しがりさんなんですね♥ ウフフフフ♥」
「もう少し確認してみたいんだ……”闇女神フェルメリア様”の……確認してみたい……」
「何を確認してみたいんですか……?」
「もちろん”闇女神フェルメリア様”そのものをだ……」
「いやぁん♥ もう確認してるじゃないですか、フローナル様のエッチ♥ ウフフフフ♥」