運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第69節 妖しい人形

 いきなりなんなんだこいつは……! フローナルたちは苦闘していた……。
「シェリア! 伏せろ! レーザーだ!」
 すると、その通り敵は横に薙ぎ払うようにレーザーを排出!  しかし、それと同時に――
「なっ!? ぐわっ!」
「フローナルさん!」
 ロケットランチャーがフローナルに被弾! 彼は弾き飛ばされた!
「大丈夫ですか、フローナルさん!」
 彼は答えた……
「ああ、なんとかな、バリアが間に合ったが……」
 と、その場を起き上がろうとすると――
「なっ……!?」
 目の前には女神フェルリン様等身大フィギュア、 しかもフローナルはその前で転がっている…… マイクロでミニなスカートのその人形の前ということは彼の目線は当然……
「これが夢の国……とてもいい眺め――」
 えっ、まさかそんな――
「くっ……違う違う! 俺は何を考えているんだ――」
 フローナルは立ち上がった……彼はどうしたんだろうか!?
「フローナルさん! 気を付けて!」
 シェリアはさらに彼に向かって叫んだ!
「なっ……なんだクソっ……」
 バトルマシンはさらにフローナルに向かって執拗に攻め続けた!  そしてアームの一撃で……
「ぐはぁっ!」
 大きくぶっ飛ばされた!  やばい、今のままでは――そう思い立ったシェリアはバトルマシンの注意を引き付けていた!
「このっ! こっちです!」
 雷の魔法をバトルマシンに浴びせた!
「うっ、痛ってえ……」
 フローナルは背中を抑えていた……そして立ち上がろうとすると……
「ん……なっ!? またか!?」
 なんと、そこにも女神フェルリン様等身大フィギュアが!  無論、フローナルの視線はやっぱり……
「夢の国……ドリームワールド……俺もこの国の住人――」
 って! 俺は何を考えているんだ! フローナル振り払っていた……。
「違う違う違う! 違う! なんなんだこれは……! そうじゃないんだ……っ!」
 フローナルは再びバトルマシンへと挑んだ!
「くそっ! この野郎! やりやがったな!」
 そしてバトルマシンの背後を狙って激突!
「ぐおおおおおっ!」
 刺さった! が――
「ぐわあああああ!」
 強烈なスピン! そのままフローナルは振り飛ばされようとしていた!
「くそぉっ! その前にお前を始末してやるぜっ!」
 突き刺した大剣を通じて雷魔法を発射!
「ぐわはっ!」
 それと同時にフローナルは吹っ飛ばされた! すると――
「うっ、クソッ……」
 と、その場に何かが彼の上へと落ちてきた! ヤバイ!
「ぬぁっ!?」
 が……それは痛いものではなかった――
「あぶねえ……死ぬかと思った……」
 と思いきや――落ちてきたものはまさかの……
「ん……!? な!? ななっっ!?」
 またしても女神フェルリン様等身大フィギュアだ!  しかも完全に彼の上に人形が覆いかぶさって――
「うぅ……ったく、一体なんなんだこれは――」
 と言いつつフローナルは――
「女神様の胸……俺、幸せ――」
 なんだかうっとりと――
「って! 違ーう! なんなんだこの人形はいちいち!」
 フローナルは再び振り払うとその人形を吹っ飛ばした! が、シェリアは――
「あのっ、フローナルさん、言いにくいんですがそこにも――」
 え? なんだ? フローナルはそう言いつつも起き上がろうとすると、 急に妙な違和感を覚えていた――
「おっ、おい、まさか――」
 そう、彼が吹っ飛ばされたまさにその場所……フローナルは慌てて立ち上がり、 その場所を確認した!
「嘘だろ!? なんなんだいちいちいちいち!」
 そう、その場にもまた女神フェルリン様等身大フィギュアが!  しかもまさに彼を後ろから包み込むような姿勢でおしとやかに座り込んでいた……
「……いい……もう少し膝枕をしていたかった――」
 ……はっ!? 俺は何を言ってるんだ!? と、とにかく……フローナルは気を取り直して……
「あのマシンはどうした!?」
 そう訊くと、シェリアは答えた。
「ここを突き破ってどこかに行ってしまいました…… 多分、おかしくなったんだと思います……」
 そ、そうか……それならそのままそのうち完全に壊れて止まってしまうだろう…… そう判断したフローナルはとにかく先に進むことにした。
「……フフッ」
 しかし、その光景をさらに上の高いところから眺め、不敵な笑みを浮かべている者が――

 一方、フィレイナとララミィは――
「まーた女神フェルリン様がいらっしゃるのね―― 人気なのはいいんだけどTPOをわきまえて配置いただければありがたいんだけど――」
 フィレイナもやはり人形相手に悩んでいた。そこへララミィが――
「あの、お姉様……その、銀河連邦というところではこのような不気味な人形が流行っているのか?  わらわの所では魂がこもっている人形でももっとこう……落ち着いているものじゃが――」
 フィレイナは考えた。
「魂がこもった人形ってもっと使い古されているようなもの、 言ってしまえば、まるで家族のような扱いにも等しいような環境にいた人形のみに宿っているもの…… だけど確かに、この人形の魂は妙に荒ぶっているような印象を受けるわね…… こんなものは普通あり得ないハズよ――」
 そっか……ララミィは悩んでいた。
「まあいいわ、ことが起きる前にさっさと終わらせましょう、 お人形のようにかわいいララミィちゃん♪」
 と、フィレイナは嬉しそうに言うと、ララミィもまた嬉しそうにしていた。
「えへへ♪ お姉様♪」