運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第66節 クセの強い星

 カルディアスはオペレータに訊いた。
「惑星UFP252839はどこだ?」
「これです――」
 オペレータはモニタに指をさして説明した。
「これは……雲か? また大気のある惑星だな――」
 だが――
「ええ、ですが未開惑星ではありません」
 どういうことだ? カルディアスは訊くと……
「惑星UFP252839ってあれだろ、惑星ラブラブなんとかってふざけた名前の星じゃなかったか?」
 と、フローナル……何人かが目が点となっている中、アルドラスが――
「”惑星ラブラブらーにゃ”! 思い出した! あれっすよ!  アイドルグループ”ラブラブらーにゃ♪”の星ですよ!」
 はぁ!? アイドルグループ!? すると、一部の男たちが――
「俺は”ルルミンちゃん”推しだ!」
「”ルルミンちゃん”最高!」
 また始まった、こいつら……何人かは悩んでいた。
「俺はやっぱり”ミザリーちゃん”だな!」
「”ミザリーちゃん”は俺の嫁!」
 ほほう、俺の嫁……ララミィには覚えさせてはいけない言葉を覚えてさせてしまった!
「ようようフローナル! お前はもちろん”フェルリン様”命だもんな!」
 やめろ――フローナルは嫌がっていた。
「えっ、フローナル、そうなの!?」
 ディルナはそう訊くと――
「だってこいつ!  連邦のイベントだかなんだかにかこつけて”フェルリン様”をお姫様抱っこしたんだぞ!  なあ、フローナル!」
 だからやめろ――フローナルはさらに嫌がっていた。
「しまいにはこいつ! ”フェルリン様”のスカートの中に手ぇ突っ込んだろ!」
 ななっ!? なんじゃとぉー!? ララミィが真っ先に驚いていた――。
「あのな、勘弁しろ――」
 フローナルは悩んでいた。
「ちょっと! フローナルがそんなあんたたちみたいなのと一緒なわけないでしょ!」
 と、ディルナが味方。だが――とんでもない発言のせいで何人かはなんとも気になっている様子。
「そりゃあ、フローナルだって”ついてる”か”ついてねえ”かぐらい気になるよなぁ!」
 と、アルガノスがさらに攻撃……ん、もしかして――
「ったく、くだらねぇなお前ら……。 今の”フェルリン様”のスカートの件の一連の流れは様式美なんだとさ。 ったく、世の中どうかしてるな――」
 フローナルは呆れていた。
「えっ……? そうなのフローナル……?」
 ディルナはそう疑問をぶつけていた。するとそこへ――
「ちょっとちょっと、フローナル……今の話、面白いわねえ♪」
 と、フィレイナをはじめ何人かの女性陣が彼の前に立ちはだかっていた……。
「おいおいおいウソだろ……?  なんか俺、ここにいるのが嫌になりそうだ――」
 フローナルはがっくりと肩を落としていた。
「いいじゃねえかフローナル! お前も男ってことだ!  それに俺も”フェルリン様”の下僕だ!」
「俺も既に女神落ちしているぜ!」
「俺も女神フェルリン様の従順なる下僕!」
「女神フェルリン様はみんなの女神様!」
「俺は毎日女神フェルリン様で抜いt(以下略)」
「フェルリン様! フェルリン様!」
 何故か女神フェルリン様派が多い様子。

 と、いうことで……
「えぇー!? フェルリン様って男なのー!?  ”ついてる女性アイドル”って謳ってるけどそういう意味だったのね……」
 と、ディルナはフローナルの話を聞いて驚いていた、 知っていてもおかしくなさそうなディルナが知らないのか……俺でも知っているのに……フローナルは悩んでいた。 それは仕方がない、キミはイベントで知り合うことになったんだからね。
「それでスカートの件があるわけね。」
 フィレイナは納得した。
「ほほう……そのフェルリンとやらとはなんとも気が合いそうじゃ♪」
 ララミィは嬉しそうだった。
「よかったです、フローナルさんがそんなことするような人じゃなくって……」
 と、シェリア……いやいや、何を心配しているんだ! そう言わざるを得なかったフローナル。
「それで……その娘はそんなに可愛いの?」
 テレイズは訊いてきた、何故訊く……アイドルだぞ……。
「可愛いんですよ! というか、もう、すっごい美人さんなんです!  男たちが女神様って言っていたでしょ!? それぐらい綺麗なんです!  確か、あのイベントに扮したフェルリンちゃんって”フェレストレイアの女王メフィリア様”の役だよね!」
 えっ……そう言われて当事者に近しい存在であるテレイズは固まった……そらそうだ。
「そう言えばそうだったな。 まあ……いい娘だったよ、親切で丁寧、優しくって最初に目の前にした時は本人だとはわからなかったぐらいだな。 そうだな……あの男共にも爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぐらいの娘だったな!」
 と、何気にキレ気味な彼……お察しします。一応”娘”なのは女性アイドルなので。
「そうなんだ? いっつもキラキラしているイメージしかないし、ワガママな娘だと思ってたんだけど――」
 フローナルは頷いた。
「実は同郷なんだ、エターニスの精霊”フェルメリア=シェラーリス”っていうな。 名前が女性っぽいって言われたのをきっかけに普段から女性の格好していたんだが、 それでたまたまアルディーニアで買い物をしていたところアイドルとしてスカウトされたんだそうだ。 実は男だったということがバレたのは割と後の話だが、 そもそもエターニスの精霊だからバレるかバレないかというところには無頓着…… それでも”フェレストレイアの女王メフィリア様”の一件から女神様って呼ばれるようになっている通りの人気っぷりだからな―― 結局アイドルとして存在しているってわけだ――」
 なるほど――いよいよわかる気がする、エターニスの精霊で無頓着……。