運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第63節 テラ・フォーミング

 すると……
「陽子砲、放たれました! クラス2.6です!」
 その光景がモニタに映された! 映されているのはエルクザートだ!
「つまり、あれがわらわの住んでいたところということじゃな!」
 ララミィはさけんだ、そして、エルクザートには”審判の光”が!
「ああっ! みんなが! わらわの住んでいたところが!」
 ララミィは泣き叫んでいた……。すると――
「ん? ずっと放たれたままか!?」
 と、カルディアス、エネルギー波はしばらく収まる様子がない……。
「かなり大きな質量のエネルギーですからね、収まるまで時間がかかるかもしれません――」
 だが、ララミィが気が付いた。
「この光、遠くからずっと放たれたままじゃぞ!」
 えっ、ずっと放たれたままって!?
「どこから放たれておるんじゃ!?」
 ララミィは訴えた、それはどう話したらいいのか……。だがしかし、
「ちょっと待った! あのエネルギーが惑星に2回も落っこちてるから惑星の損傷も相当なハズ!  そのうえであんな質量のエネルギーをずっと照らされようものなら……」
 と、フィレイナがブリッジに入ってきて言った、 ということは……カルディアスが言った。
「まさか、あの惑星が壊れてしまうということか!?」
 フィレイナは考えた。
「地表そのものを破壊し、あの星の生態系が大きく狂ってしまう…… それにあのエネルギー質量からすると、惑星のコアにも直接影響を与えかねないほどのもの―― まさに、惑星そのものを改造しかねないような行為、つまり――」
「まさか、連中がやろうとしていることは”テラ・フォーミング”か!?」
 ”テラ・フォーミング”……そこへ、彼女がブリッジへと入ってきた……テレイズだ。
「ちっ、気が付くのが遅かったわね――」
 なんだかややこしいことになってきたらしい……。

 フローナルはララミィに説明をしつつ……
「こいつを持ってろ、この先、恐らく必要になる――」
 コミュニケータだ。
「使い方は……追々な」
 ララミィは嬉しそうだった。
「フローナルお兄様からの贈り物、大事にするのじゃ♥」
 フローナルお兄様は頷いた、だが、彼女の目からは涙が滲んでいる、無理しなくたって――
「で……連中はエルクザートを何度も偵察してきていたという話だったな?」
 カルディアスはテレイズに訊いた。
「ええそう。 それはうちも把握していた……広域の辺境惑星だからそんなに気にしていなかったけど。 それにそもそも連中の目的もわからない……だから警戒だけはするにしてもそれ以上は手の出しようがなかった――」
 フィレイナは頷いた。
「そうね、だけど……連中の目的は確実にエルクザートだった―― 皮肉にも、このタイミングで初めて判明するなんて――」
 すると――
「収まったぞ! 見ろ!」
 数時間が経過したのち、モニタにはエルクザートの姿を映し出していた、その姿にララミィは落胆していた……
「これが……我らが住んでいた星の末路だというのか……」
 それでも緑と青と赤い魔力層が織りなす惑星だった星は、褐色の無人のような星に……
「辛うじて大気は残っているようです。 ただし……今まであの星で生きていた者たちは……」
 ララミィは涙を流し、その場で膝から崩れていた……そこにシェリアが駆け寄ってきた――

 すると――
「連中の艦が動き出したぞ! 見ろ!」
 カルディアスが気が付いた。
「このままだと見つかりそうね、一旦離れて様子を見ましょう――」
 フィレイナは冷静に操縦桿を握ると、ディメンジョン・ワープを実行…… さらに少し離れたところから様子を見ることにした、すると――
「見てください! 艦載機を発射しています! あんなにたくさん!」
 と、ディルナが気が付いた。
「あそこで発射するってことは、あのあたりに留まるつもりね――」
 そして――
「なあ、メインの艦はエルクザートに接近してねえか?」
 アルドラスはモニタを見て気が付いた、 するとオペレータはデータから……
「確かに、だいぶ接近していますね、エルクザートに降りるつもりかもしれません――」
 えっ、何のために?
「”テラ・フォーミング”した後だぞ!? しかもあれほどの力で!  どんな生態系になっているかもしれんのに、そこまで危険を冒す理由は何なんだ!?」
 カルディアスは悩んでいた。
「フローナル兄様、”テラ・フォーミング”ってなんじゃ?」
 ララミィは訊くとフローナルは答えた。
「一言で言えば”惑星改造”だ。 本来は”テラ”と呼ばれる星のごとき美しい星へと改造していくことで、 別の惑星の住人たちが新しく居住することができるということだ。 だが、今回はむしろ逆……辛うじて大気があるということは、 まるで太古の昔のエルクザートに逆戻りって感じだな――」
 するとテレイズが――
「確かにあり得るわね、昔のフェレストレイアもあんな感じだったわね。 フェレストレイアはあんな強制的なテラ・フォーミングじゃなくて、 純粋に植林していった結果の自然の成り行きによる姿なんだけど――」
 なるほど。すると、ララミィが何か気が付いた。
「教えてくれ! 太古の昔に逆戻りということは、 もしかして古代の遺跡が現れる可能性もあるということか!?」
 カルディアスが答えた。
「あり得んことではないな。 それこそ無人の惑星に対して実際にエネルギー質量にものを言わせたようなテラ・フォーミングをした惑星で、 古の遺跡が見つかっているケースもままある―― そのせいでテラ・フォーミング自体が休止…… いや、今回のような手法のようなテラ・フォーミング自体が法律によって制限されることになったのだが―― なるほど、遺跡目的か……それでエルクザートを狙っている可能性もありそうだな」
 ん? 待てよ!? もしかして――フローナルは気が付いた。
「ララミィ、そう言えば……」
 ララミィは頷いた。
「そうじゃ、我らの祖先は地中深くに沈めたのじゃ……”トリュオン”をな!」
 なんと! まさか、そうつながるとは……