運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第62節 緊急事態

 転送した先は転送室ではなく、まさかのブリッジだった、直行は流石に問題では?
 と思ったが、フィレイナは気が付いた……
「ん? 巨大エネルギー波接近中ですって!?」
 それはブリッジの前面モニタに赤で大きく表示されていた!
「さあ! やってくれ!」
 カルディアスは珍しく声を荒げてクルーたちに指示していた。
「了解! ディメンジョン・ワープ計算完了! 実行します!」
 そしてメテオ・ナイツは……その場から回避した!

 その後、少し遠いところからメテオ・ナイツはエルクザートの様子を見ていた……。
「あのエネルギー波はまさか……」
 フローナルは訊くとカルディアスは頷いた。
「そうだ、我々を目の敵にしている組織、”バルザンド帝国”の新兵器だ。 あれを発見した時には既にエルクザートに向けて攻撃を開始している状況だった。 ただ、この艦はまだ感知されていないようだ、それは彼女の手掛けた仕事のおかげなのだが――」
 フィレイアは言った。
「ええ、フェルドゥーナで開発したステルス機構をしっかりとバージョンアップさせてもらったわ。 でも――あいつら、なんでエルクザートを攻撃しているのかしら?」
 確かに、それがわかれば……

 一方で、ララミィは…… ブリッジの前の通路で何人かを前にして困惑していたが、意を決して話をしようと考えた。 クルーはそれぞれコミュニケータを携行しているので彼女が話している内容を把握できるが――
「あ、あの……、えっと、その――よし。 わらわはこれでもバカではない……一応聞いておくが、 ここはつまりその……空の上の世界ということでいいんじゃな?」
 相場として訊いてくるに決まっている質問をぶつけてきた。 だが、どう説明したもんだか……悩むしかない。
「”カルティレス=アスロディス”はこう言った、 この世界には我らが見ている空の先にもっと広い世界があり、 そこからの訪問者がありし時、この世界は滅びるとされている…… で、そなたらはその……空の先に広がる世界にいる住人なのじゃな?」
 が、しかし……改めて周りを見ると、 むしろ説明に困っているよりも彼女を見てデレっと鼻の下を伸ばしている男が多いことに気が付いたララミィは……
「ほほう、なるほどのう…… 例え空の先だろうと後だろうと、 何処に行こうともオスはオスでしかないのじゃな♪」
 と、もう意地悪してやろうっていう気満々な顔で悟った!
「あっ……うぅっ……なんだか急にお腹がすいたのじゃ…… チョコレートパフェが食・べ・た・い・ナ♥」
 と、かわい子ぶりっ子全開でオネダリを――
「おっ、俺! 買ってくる!」
「俺もだ俺も!」
「こら! 俺が買ってくるんだ! そんなにたくさん買ってきてどうするんだ!」
 というと、彼女は……
「いろんな甘いものがあるとう・れ・し・い・ナ♥」
 と、再び小悪魔可愛く全力オネダリ―― いろんな甘いもの! 男たちは彼女のために無我夢中で甘いものを買いに行った!  この女、やってんな! ……って、そりゃあリリス・ロリスティだからやってるに決まってるか。
「ククッ、なんとも欲望に忠実なオス共じゃ。 言うてしまえばあのアルドラスばかりが周りにいるような感じじゃ……、 空の上の世界のオス共は簡単なもんじゃ♪  したらばこれからもわらわがお前たちをたっぷりとこき使ってやろう…… ありがたく思うがよい……フハハハハハハ!」
 と、彼女は邪悪な笑いを上げたところで。
「ふむ、それならとにかく食料調達の心配はせずともよさそうじゃな。 問題はここが何処なのかじゃが――少なくとも空の上の世界なのは確実じゃな――」
 ララミィは考えた。
「ふむ……”カルティラの予言録”の”この世界を救う希望なる者たち”か―― ”審判の光”をぶつけられれば我らの住まう世界は無事ではすまぬハズじゃが―― それでもなお”この世界を救う”必要があるとするならば……」
 ララミィは意を決して行動に出ることに決めた。
「フローナルに何か訊いてみるかのう♪」

 そして、ララミィはパフェを手にしたままフローナルがとある部屋へと入っていくところを見ると――
「フローナル兄様!」
 と、呼び止めたがその場所の扉が閉まってしまった――
「なっ、なんじゃ!? どうなっておるんじゃ!?」
 どうしても開かない!
「不用意にこじ開けようとすると、何が起こるかわからんからな……困ったもんじゃ……」
 するとそこへ……
「あっ! ララミィちゃん!」
 そこへディルナが!
「ディルナ姉様!」
「入りたいのね? いいよ、ちょっと待ってて!」
 なにやら端末を操作していたがララミィにはさっぱりわからない。

 だが、そこではさらにとんでもないことが――
「うん!? な、なんじゃ!?」
 ブリッジ全体を赤い光が照らし出していた……
「先ほどのエネルギー波よりもさらに巨大な出力数です!」
「なんだって!? やつらの目的はなんなんだ!?  あの星に、何があるって言うんだ!?」
 カルディアスは大声で訴えていた。 何があったのか、ララミィはフローナルに訊いた。
「ああ、ララミィにはちょっと言いにくいんだが、 あそこで”審判の光”が落ちたのは見ただろ?  実はさっき、それが2回目が落ちたんだ。 で、そして今なんだが、もっとでかいのが落ちてこようとしているんだ……」
 なんだって!? ララミィは焦っていた。
「ここは空の上の世界なのじゃろう!? それは言わんでもわかる!  だからつまり――」