運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第61節 エルクザート最期の日

 だが、それでもなおタオスピレアの連中はさらにどんどんと進撃してくる……。
「なんか、だんだんやばくなって来ないか……!?」
 フローナルは悩んでいた、それもそのはず――
「ここまでする!? 絶対にあいつらおかしいわよ!?」
 フィレイアは呆れつつも憤っていた。 敵は重機まで用意していた、流石に最新鋭の戦車みたいな代物ではないが、 平たく言えば古代式の乗り物みたいなもので、魔導士やら古式の重火器類が搭載されていた。 そして、その敵の前には多くの同胞たちが横たわっていた――
「みなの者、すまぬな……そして、ありがとう……」
 ララミィは祈るように言った。
「でも、この状況、流石にやばくないか!?」
 アルドラスがそう言うと、シェリアが――
「みなさん、これは想像以上の数です――」
 注意を促すと、さらには横からも――
「どんだけ来んのよこいつら! 絶対におかしいでしょ!」
 ディルナも頭に来ていた。
「デーモン・カリスは古の時代から恐るべき種族…… 準備は念入りに、ここまでの規模を用意していたってことね――」
 と、フィレイナは悩んでいた。
「我らがこれほどまで憎いのか――」
 ララミィは落胆していた。しかし、その時――
「えっ!? 何だろう、魔力の層が乱れてる……?」
 ディルナは気が付いた、他の5人も気が付き、空を見上げると――
「確かに……乱れているというか消えているというか、引いている気がするな――」
 するとその時、ディルナに入電!
「えっ!? どうかしましたか艦長!?」
 ディルナはとっさにコミュニケータを取った…… 単に入電したから取ったのではない、コミュニケータが警告ランプとして赤い光が点灯していたからだった。 それに気が付いたフローナルたちも――
「なっ、なんだ!?」
 自分の端末を取り出して焦っていた――。
「えっ!? 逃げろって、何処へ!? ……わかりました! とにかく遠くですね!」
 と、ディルナは通信を一旦切ると――
「皆さん! ここは危険だそうです! とにかく、とにかくここから遠いところに逃げましょう!」
 警告ランプの赤点灯……これは相当にヤバイことが起きるに違いない、それを察した一行はその場から離脱することに決めた。
「なっ、なんじゃ!?」
 無論、何が何だかわからないララミィだが、フローナルが抱き上げると彼女も共に離脱することに――
「悪魔共が逃げたぞ! 残らず殺せ! 根絶やしにするのだ!」
 一方、タオスピレアの軍勢は執拗にまで追いかけてくる……。

 6人は小高い山の上にまで逃げてきた。
「ここは……転送地点だな――」
 ということである、最初に降り立ったのがこの山だった。
「転送……地点とな?」
 ララミィは首をかしげていた。 しかし、その時――
「うっ、何じゃこの感覚は……」
 ララミィは身震いし、自分の身体をさすりながらその場でうずくまってしまった――。 さらに……
「えっ、ちょっと何なのよこれ、冗談じゃないわよ……」
 フィレイアはその場で倒れこもうとしていた――すんでで踏みとどまったが。 それに対してシェリアも――
「大丈夫ですか、お姉さ……ま……」
 と、彼女を心配しつつ駆け寄ろうとしたが、その場で倒れてしまった――
「っぶねえ! 大丈夫か!?」
 と、彼女が倒れる前にアルドラスが慌てて駆け寄った。
「ちょっ、ちょっと! どうしたのみんな!? フローナル!?」
 ディルナは訊いた、フローナルもその場で立ち尽くしているが、 とりあえず片膝を立てつつ頭を抱えて前を見据えていた――
「”マナ”の急激な乱れが起きている……魔力層が乱れたのはこれのせいか……?」
 すると……
「上じゃ! みなの者! 上からすっごく大きいものがくるぞ!」
 上!? ララミィが注意を促すと――
「なっ!? なんだありゃあ!?」
 アルドラスはそれを見て驚いた。
「ちょっとちょっと、これはいくら何でもシャレにならないわねぇ……」
 フィレイナも愕然としていた。
「どっ、どういうことなんですか……!? どうしてあんなものが――」
 ディルナは呆然としていた。
「マジか……本当に世界は滅びる気だな……」
 フローナルも愕然としていた。
「どうかみなさん……ご無事で……」
 シェリアはほとんど気を失っているような状態で祈っていた。 そう、上から何が来たというのかというと、ララミィが語った――
「あれはまさか…… 力という力に頼りすぎた結果、天からの裁きが現れ、世界が滅び去る―― もしや、”審判の光”!?」
 そう、それはまさに天から伸びた一筋の光…… その光はタオスピレアの町へと一直線、そして――
「町が!」
 アルドラスは町の光景を目にすると――
「みんな! 伏せろ!」
 注意を促し――下界は辺り一面大爆発!
「力に頼りすぎたのは……あやつらじゃったのか……」
 ララミィは頭を抱えていた。

 強烈な爆風は山のほうに届いていながらも、とりあえず爆発に巻き込まれることはなかった。 だが、下界にいた者はすべて全滅……もはやこの世の終わりを見させられているといわれればまさにそれであった……。
「一体、今のは何だったんだ!? ”審判の光”って――」
 アルドラスは疑問をぶつけると、フローナルが――
「ディルナ! 逃げろってのは……」
 そうだ、艦長の指示だ! そう思ってコミュニケータを取り出そうとすると、先に艦長からの入電が来た。
「みんな無事か!?」
 カルディアスが声を荒げて訊いてきた。
「とにかく無事です! 現地人も1名いますが、なんとか!」
 現地人1名!? カルディアスは悩んでいた、が、しかし――
「ええい! 止むをえまい! 今すぐに転送収容する! お前たち、そこを動くな!」
 えっ、急に!?