運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第60節 戦争

 酷い……ララミィはその光景を見てがっくりと肩を落としていた…… 多くの同族が……あたりで死に絶えている……
「ララミィ様……どうか、気を落とさず―― 我らはララミィ様と共にあります、ゆえにこれもまた我らの意思です。 元々我らは力の民、それがララミィ様の先祖である陛下方のご遺志により力を振るうことを禁じられました。 最初は反発こそありましたが、むしろそのほうが我らが民の命が救われたのだと思っています、 だからこれまで生きながらえたのです。そう……我々は陛下にこれまで命を救われたのです。 だからもし、我々が滅びゆく運命とするならば、この命賭けてララミィ様をお守りする所存でございます!」
 えっ……? ララミィは顔を上げると、おつきはその場から早々に去って行った――
「待つのじゃ! 何をするというのじゃ!?」
 すると、おつきは生き残りと共に決起しているようだった、 その場にはタオスピレアの軍勢がどんどん迫ってきていた……
「くそっ! あいつら! 総攻撃を仕掛けるつもりかっ!」
 フローナルたちはその光景を見て愕然としていた――
「”悪しき血を継ぎし民”を確実に根絶やしにするつもりね、 ったく、何様のつもりかしら……」
 フィレイナも冷静な発言とは裏腹に憤りを隠せないような口調だった。
「こんなのぜってえ許せねえ!」
「許せません!」
「お仕置きが必要ですね!」
 アルドラス、ディアナ、シェリアとが続いた。
「待っ、待ってください! みなさんは行かないでください!  私たちの戦いに巻き込むわけにはいきません! ですからお願いです!  みなさんは、皆さんだけは――」
 ララミィは涙で訴え、慌てて止めようとするが、フローナルが――
「女王様、俺達はこういうのを見て見ぬフリをするのが苦手なんだ。 だから申し訳ないが、今回の命令ばかりはどうしても聞くことができないな」
 と言った。それに続いてアルドラスも……
「あーぁ、こーなったらお姫様抱っこの権利もチューの権利も諦めるしかねえよな!」
 さらにフィレイアも――
「ごめんね。お姉さん、可愛い子をいじめるような連中だけは懲らしめないと気が済まない性分なのよね。」
 シェリアも――
「そうです! ララミィさんを悲しませるような人たちにはキツイお仕置きが必要です!」
 そしてディルナも――
「もうあったま来た! 何をどうしても絶対に許さないからな! あいつら!」
 ララミィたちと共に行くことに依存はなかった――
「さあ、お兄様!」
 フィレイアはそう言うと、フローナルが――
「ああ、みんな、行くぜ!」
 彼の合図で一同、突撃した!
「み、みんな――」
 彼らの後姿を見てララミィは涙をぬぐい――
「みなさん……」
 笑みを浮かべていた……
「そういえば”カルティラの黙示録”と共に”カルティラの予言録”というものもあったな、 ”我らと共に行くことを選択せし者たちはこの世界を救う希望なる者たちである”と――」
 そして……彼女は覚悟を決めた。
「みなの者! 待つのじゃ!  わらわは一族の女王”リリス・ロリスティ”の”ララミィ・ラヴリン=アスロディス”じゃ!  この戦い、わらわが皆を導くぞ!」

 戦局は泥沼化してきた……。 デーモン・カリスたちは女王陛下のためにと戦うことをやめず、 タオスピレアの軍勢を撃破していくが、敵は衰えることをしらず、どんどんと突き進んでくる……。
「ったく、”ヴァナスティアの教え”を彷彿させるわねぇ――」
 フィレイナは剣を振るいながらも話をしていた。 ”ヴァナスティアの教え”? ララミィは訊いた。
「うちらの国では古の暗黒の時代を乗り切ったっていう英雄がいるっていう言い伝えがあるんだ。 今の状況がまさにそう、暗黒の時代を彷彿させるような様相だな。 って……お宅、国がちいっと違うハズだがよく知ってんな――」
 フローナルがそう説明し、フィレイナにそう訊いた。 するとララミィが訊いた。
「じゃが、乗り切ったのか? どのように?」
 フィレイナは得意げに言った。
「それは”神の奇跡”ってやつよ。当時のみんなはそれを信じて戦い続けた…… だけど、実際に起こったのは”神の奇跡”を信じて立ち向かった者たちが力を合わせたことで生み出された大いなる力…… そう、力を合わせれば、まさに世界を創造した存在すらをも超越するような偉大な力が発揮されるのよ。 だから私たちはそれを信じて戦うだけ! さあ、どこからでもいらっしゃいな!」
 と、フィレイナはさらに敵を3人ぐらい切り捨てながら言い放った!
「ああ、諦めなければ何だってできるってことだな!」
 今度はフローナルが敵を3人ぐらい切り捨てながら言い放った!
「そうか……それならわらわもそれに従うぞ!」
 そして次にララミィが敵を3人ぐらい魔法で薙ぎ払いながら言い放った!