運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第58節 審判の光

 とにかく遺跡に向かった6人だが、そもそも遺跡は1つではないので順番に回ることに……ん? 6人? 1人多い? 誰だ?
「行ってくるでの、留守を頼む」
「承知いたしました、ララミィ様!」
 おつきの者に留守を任せることに。

 まずは一番近い場所、森の中にある建物のがれきといった感じである。 建物と言っても洞窟というかお堂のようなものだが、天然の岩がその場で崩れているという感じである。
 すると――
「それはなんじゃ?」
 えっ……フィレイナがコミュニケータを取り出して何やらしている……現地人いるのに大丈夫か!?
「これは私らの所ではありふれた道具よ。 対象物に向かってかざすことでそれの詳細な内容がある程度わかるのよ。」
 というと、彼女は――
「そうか! お姉様たちは文明の高い地域から来たのじゃな!」
 と、そう言うだけの話で終わった。
「食いつき具合が薄いなあ……」
 ディルナはそう言うとフローナルが言った。
「なるほどな、薄くて当然だな。 種族性からしてそこまで興味があるような感じではなさそうだ」
 エターニスの精霊……彼らがまさにそういう存在である、フローナルはすぐにピンと来たようだ。 無論、それはシェリアらプリズム族も同じである。
「この建物が建造された推定年代はおよそ30億年前ってところね――」
 ここでもまた30億年前か……一行は考えた。
「30億年前と言えばまさにカルティラの時代か……」
 と、ララミィ……何とも縁がありそうな感じである。

 その調子で次々と遺跡をたどっていく一行、 ようやく建物として中に入れそうな場所へとたどり着いた。
「とりあえず、遺跡という遺跡はこれで全部じゃ」
 アルドラスは前に出た……誰!? ああ、そういえばキミいたっけ。
「おう! さっさと行こうぜ!」
 そしてフィレイナも……
「そうね、ここまで来たからにはいくしかないわね――」
 すると、ララミィが心配そうに訊いた。
「お姉様、肩のお加減はいかがか?」
 フィレイナは優しいまなざしで答えた。
「ええ、あなたのおかげでだいぶ良くなったわ、ありがとうね♪」
 ララミィは嬉しそうに答えた。
「そんな……わらわはいただいただけじゃ――」
 と、そこへ……
「ん? なんだかゴツゴツした足場ね…… お兄様、女帝陛下をお支えしてあげてはいかが?」
 と、フィレイナ……え?
「そうです! それがいいと思います!」
 と、シェリア、つまり――
「それではお願いできますか、お兄様♥」
 ララミィの誘惑――勘弁してくれ……フローナルは悩んでいた。

 不可抗力でお姫様抱っこをしながら入場してきたフローナル、 アルドラスはその光景を見て羨ましそうにしていた。
「い、いいな……」
「後でお願いするのじゃ♪」
 よっしゃ! 任せろ! アルドラスは期待していたが、多分ないな……何人かはそう思っていた。
「ここにあるのはその壁画だけじゃ――」
 ララミィはそう言った、壁には何かしらが描かれているようだ。 下のほうは地上、そして上は天を現しているのだろう。そして――
「これは”カルティラの黙示録”と呼ばれるものじゃな――」
 カルティラの黙示録?
「我らの祖先となる”カルティラ”の祖”カルティレス=アスロディス”が唱えた説じゃ。 名前の通り、わらわの先祖にあたる者じゃが、彼は預言者としても知られていたそうじゃ。 彼が言うには、この世界には我らが見ている空の先にもっと広い世界があり、 そこからの訪問者がありし時、この世界は滅びるのだというのじゃ――」
 えっ……いや、まさに――聞いていた5人はあっけに取られていた。 ただ――
「この真ん中のものは何?」
 上の真ん中から下まで貫くような柱のようなものが描かれている。
「これはその”カルティラの黙示録”の刻にて下される”審判の光”と呼ばれるものだそうじゃ。 力という力に頼りすぎた結果、天空からの訪問者、 つまり天からの裁きとしてこのようなものが現れ、世界が滅び去る―― カルティレス亡き後の数百年後にこの壁画を研究していた先祖がそのように解釈しとったそうじゃ。 それゆえに我らはむやみに力を振るうことをしなくなったのじゃな」
 そういうことか。ただ……
「これは何ですか?」
 ディルナは別なところを差して言った、 そこには盃のようなものを持つ者がおり、その盃の中が光っているようだが――
「それは……わかっておらんな。 ただ……カルティレスによると、それは”この世界を存続させるための唯一の調べ”であるとのことらしい。 それ以上のことは――」
 わからないか、仕方がないな――

 遺跡から出てくると、何やら焦げ臭い――
「なんだ?」
 フローナルがニオイに気が付いた、いや、もしかして――
「そんな、まさか――」
 ララミィは慌ててその場から先ほどの集落へ――
「ララミィちゃん!」
 ディルナは焦っていた。
「俺達も行くぞ!」
 アルドラスはそう言った、行くしかない――

 向かっている最中。
「ったく、なんで今になってなんだ!? こういうチャンスはいつもあったんじゃねえか?」
 アルドラスはそう漏らすとシェリアは言った。
「今だからだと思います、タオスピレアに初めて入った時の長蛇の列を思い出してください――」
 フローナスは考えた。
「つまり、人が集まりきった今がまさにチャンスってわけか。 この星の文明レベルを見た感じ、海を渡るのも困難なのが予想される…… あのララミィの反応からも大体わかるだろ?  人の流れこそあるようだが定期便みたいなのはありそうだが海の外など以ての外って感じだ、 人が集まりきった今だからこそって感じがするな――」
 都合がいいのか悪いのか、そんなちょうどヤバイ時期に来てしまったのか―― 彼らは悩んでいた。