運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第51節 女帝ララミィの誘惑

 アイシャはローブを脱ぎ捨てた……そこにはなんと、彼女の生まれたままのお姿が……
「そう、リリス・ロリスティであるわらわに重要なのは強きを示す角ではない…… このとおり、オスをたぶらかすためのイタイケさと夢を見させるためのか弱さと妖艶なボディこそが重要なのじゃ♪  ゆえにわらわの角は小さいに限るのじゃ♪」
 彼女は妖艶ながらもなんとも可愛らしい顔でそう言った―― イメージは幼い女の子というよりは女子高生ぐらいのアイシャ…… まさにオスをたぶらかすためのイタイケさと夢を見させるためのか弱さと妖艶なボディ…… 背徳感が強くて可愛らしく、デーモンの名を冠する種族ゆえの大きめのバストとセクシーで妖艶さも併せ持つ……
 そんな彼女の生まれたままのお姿……の上にはまさに文字通りのピンクのロリータなプリンセスドレスが――。 可愛らしくておとなしそうな白のケープの下にはピンクの可愛らしい丈の短いスカートのワンピースセット…… 確かに、これはカワイイ見た目で男を落とすのが得意そうだが――
 フローナスは平静さを保っていたが、あまりに誘ってくる彼女にそろそろ目をそむけようとしていた…… まさにこれがリリス・ロリスティ――
「うふふっ♪ どうじゃ、これでわかったじゃろう♪」
 だが、アルドラスには見えているのが違うらしく、鼻の下を大きく伸ばしながらデレっとしていた…… そう、それこそがリリス・ロリスティ――
「ウフフフフッ♥ わらわのことがそんなにほしいのか♥」
 いや、てか、もうプリズム族じゃん……何処にでも似たような者はいたもんである。 むしろ彼女はフェルドゥーナで言うところの”魔族”と呼ばれる種族に近い…… その種族の派生で言うと、つまりは”ラミア族”と言ったところか。
「遺伝や意思によって個体ごとに姿かたちが異なるって…… そいつはどういう意思なんだ? 進化というよりはむしろ退行している気がするが……」
 フローナルは再び冷静にそう訊いた、だが……デレっと鼻の下を伸ばているアルドラスを見て考え直した。
「そうか、世の中のトレンドに合わせていく特徴も併せ持つってわけか――」
 アイシャは嬉しそうに答えつつ――
「うふふっ、そうじゃ――需要と供給というやつじゃ。 力には責任が伴うもの、ゆえに不用意に力を振るって何某を行うことはしたくないが――」
 力? 多分誘惑魔法だな、不用意に使わないというあたりはプリズム族にも通づるところがありそうだ、 悪い人ではないみたいだ。だが――彼女は続けると――
「じゃが、この男はなんとも色香耐性が緩いもんじゃのう、たったこれだけのことで心を奪われるとは――」
 そう、彼女がローブを脱ぎ捨てた時に”幻想の色香”が周囲に放たれた―― フローナルには通じなかったようだがアルドラスには彼女の姿が……
「ククッ……こやつはもはやわらわの美貌の虜となったのじゃ…… さあ跪くがよい、わらわは女王なるぞ、女王の命令は絶対じゃ……」
 なんと、アルドラスはおもむろに彼女の前に出るとしゃがみ込み、そして――
「はい、仰せのままに……」
 しっかりと跪いていた……。すると彼女は……
「あははははっ! 苦しゅうない! 苦しゅうないぞ!  そうじゃ……目の前にあるのはお前のすべてじゃ…… さあ、女王様と呼ぶがいいぞ!」
 な、なんと! 彼女はムチを取り出し邪悪な笑みを浮かべながらそう言うと、アルドラスのことを……
「はっ、はい! 女王様! 美しい女王様ぁ!」
「くくっ……よくぞ言えたなぁ!  よいじゃろう……貴様には好きな褒美を取らせよう、言うてみるがいい……」
 彼女はさらに訊くと、アルドラスは――
「俺は……俺は! 女王様の綺麗な脚を……!」
 な、なんと! アルドラスはこともあろうに彼女の綺麗な足に襲い掛かっ……
「そうか! わらわの足が欲しいとな!  ならば望みどおり、たっぷりとくれてやろうぞ! ほら! どうじゃ!  嬉しいじゃろう! もっと欲しいのか!? ほらぁ!」
 な、なんと……彼女は邪悪な笑みを浮かべながらそう言いつつ、 アルドナスの身体を上から踏みつぶすように以下略である……。さらには追いムチでさらに……。 フローナルはむしろその光景からSMの何某ではなくフィレイナの地獄絵図の一端を見たような感じだった、 その光景は流石に見せられないが、”フィレイナ”という単語の魔力で不思議と表現がマイルドになる件。
「あぁ……女王様ぁ……。嬉しい、嬉しいよぉ……。 女王様ぁ……俺は女王様の綺麗な××××に××××したい! 女王様の綺麗な××××を××××したい!  そして女王様を××××したい!」
 だが、それについては――
「はぁ!?  貴様のような地べたを這いずり回るような虫ケラの分際が…… わらわをキズモノにしようなどとは以ての外じゃ!  貴様のようなドスケベ野郎の勘違い野郎のド変態野郎には相応しいものをくれてやると言っておるのじゃ!  さあ、もっと叫ぶがよい! 喜ぶがよい!  これは貴様にとって、わらわにナニをするのと同じこと……さぞ嬉しかろう!」
 現場はまさにフィレイナ状態だった。
「ねぇん♥ 愛しのフローナル様♥  今この虫ケラが吐いたことをフローナル様がなさりたいのでしたらこの私、 喜んでこの身をフローナル様に差し出しますわ♥  さあ、このララミィ・ラヴリンをフローナル様のオンナにしてくださいな♥」
 だが、それがフローナル相手となれば別、 彼女はフローナルを誘惑しつつ、彼の右手に収まった……本当の名前は”ララミィ・ラヴリン=アスロディス”、 なんだか急に普通の女子の口調へと変貌しているが、フローナルは呆れていた…… 言われたことが大体フィレイナと一緒……ゆえに彼は皮肉にも多少は慣れていた、いいんだか悪いんだか。
「そ、それなら俺が女王様を……」
「貴様にはたっぷりとムチをくれてやると言うておろう! このゴ○ブリがぁ! ウハハハハ!」
 だが、ムチでアルドラスぶん殴っている彼女は邪悪な笑みを浮かべつつもなんだか楽しそうだ。
「この町の連中に迫害されてるってことらしいが、楽しんでもらえて何よりだ――2人ともな」
 フローナルはアルドラスをあっさり見捨てた!

 夕暮れ時、ララミィの案内で2人はそのまま西の森のほうへと向かった。
「ここがそうじゃ――」
 そこには角の生えた住人たちが!
「おかえりなさいませ! ララミィ様!」
 住人たちは彼女に向かって跪いていた、ララミィ様はどうやら偉い方のようだ。彼女は話した。
「こやつはフローナルという、わらわの婚約者じゃ♪」
 えっ!? フローナルは驚いた……
「ほう! 婚約者!  これは確かに、ララミィ様好みの端整な顔立ちをした者ですね!  流石はララミィ様! やはりオスというオスはララミィ様の美貌のための生きる屍!  タオスピレアなど、もはや敵ではありませぬな!」
「そうじゃ♪ 今宵はこやつと夜を共に過ごしたいのじゃ♥ 邪魔はしてくれるなよ?」
 よ、夜を共に!?
「承知いたしましてございます! それから……こちらは?」
「ん? ああ、そやつはただのわらわの美貌のための生きる屍じゃ、放っておいても問題はない」
 フローナルはララミィの餌食に!?  とりあえず、話があるということらしいがこれでいいのだろうか!?
「ふふっ、大丈夫じゃ♪ お主と話をする口実じゃ♪」
 え、そ、そうか……? そしてアルドナスは放置されてしまった……

 ということで、早速ララミィはフローナルを連れてとある建物に入ると――
「ななっ!? うわっ!?」
 フローナルを魔法を用いてベッドの上に仰向けにして倒すと、 そのままフローナルに襲い掛かった……明らかに障りのある体勢……ということでお察しください。
「ウフフフフ♥ ようやくお前を我が美貌の虜にする時が来たようじゃ♪」
 な、なんだと!? フローナルは焦っていた、目の前には彼女の豊満な……
「その様子では動けんじゃろうな――ウフフ♥」
 フローナルは彼女のドレスから放たれている布によって手足が完全に拘束されている……
「ククッ、如何に平静を装おうともお前は所詮男……本能に忠実、身体のほうはとても正直じゃな♥」
 と、彼女は手でフローナルの……
「や、やめろ……」
「言うておるに、お前はわらわのフィアンセじゃ♪  ゆえに我が美貌に直に触れることが許されておるのじゃ♪  さすればお前はわらわを伴侶として生涯を共にすることができる―― さあ、わらわをキズモノにするがよいぞ――どうじゃ、嬉しかろう……」
 そっ、それは……う……うれ……し……
「さあ、今宵は宴じゃ♥  お前の理性を粉々に破壊し、本能を呼び覚ませばお前はケダモノとなるのじゃ♥  その暁には我が美貌の虜として永遠の時を刻むがよいぞ♥  そう、お前のすべてはここにある……それはこのわらわという存在……しっかりと味わうのじゃ♥」
 うっ……これは……もはや抗うことが……
「おっ、俺は……」
 すると、フローナルはその手で彼女を――
「そうじゃ……それでよいのじゃ……ウフフフフッ……アーッハッハッハッハッハッハ!」
 絶体絶命の大ピンチ! 果たして彼らの行方は!?