運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第49節 爆弾女

 あの屋敷に戻り、アイシャはチョコレートパフェを食べていた。
「美味じゃ……チョコレートパフェというやつはなんと美味なんじゃ……♪」
 なんだか無茶苦茶おいしそうに食べている彼女、そこへフローナルは……
「よかったな。そんならそろそろ話をし始めようか?」
 と、促すと、彼女は嬉しそうな顔をして話をし始めた。
「そうじゃのう……お主が言うのじゃ、そろそろ話をし始めることにしようか!」
 なんか、信頼されたようだな――
「な、なんか、俺達が立場が下になってない?」
 アルドラスは悩んでいると、フローナルは頷いた。
「なんだ、気が付かなかったのか? もっとも、お前のことだから別に不思議ではないが。 そもそも、原住民の件が出てから”トリシロン遺跡”の件となんとも妙な感じだった、 そこらへんから類推すると――」
 彼はそう言うと、彼女は――
「ふふっ、イケメン補正というのはすごい能力じゃな、そこまで把握しているとは感心するばかりじゃ。 そうじゃ、事情を知っているのは原住民を虐げる悪の役か、もしくは被害者側である原住民当事者のいずれかになるわけじゃが――」
 アルドラスは頷いた。
「そうか! つまりアイシャは被害者側の原住民ってわけか!」
 そう言うことになりそうだ。 それで彼女はタオスピレアの町の動向を探っているのだという。

 一方、フィレイナたちは――
「ったく……なんなのよ、この町は――」
 悩んでいた。
「なんか、嫌な感じですね――」
 シェリアも悩んでいた、何故かというと――
「魔法剣士だからってさっきまで胡麻擂っていたのはどうしたのよ――」
 と、フィレイアの言うように、むしろ避けられているようだ。
「あの――」
 と、ディルナが話しかけようとすると――
「ひっ!? ひぃぃいい!」
 逃げていった。
「ったく――どんだけ影響あんのよ、あの貴族……。 しかも話が回るのも早いし……女が勝つのがそんなにダメなのかしら?  そういうの、むっちゃ気に入らないんだけど!」
 やばい、またしても導火線に火が……!
「おっ、お姉様! それよりもあれは何ですかね!?」
 シェリアは焦って話題を変えた、それは町のこれまでの様相とは打って変わって何とも素朴な一角だった。
「確かに、どぎつい趣味悪色の一角から打って変わってって感じね――」
 彼女らはそこへ向かうことにした。

 その一角は町のどぎつい趣味悪色とは打って変わって木造の建物で燻された風合いが広がる光景だった。
「こんな所もあるんじゃない♪ これぞまさに目の保養ってやつね♪」
「ですね♪ 私もこっちのほうが好きです♪」
「うわぁ……今回の旅って歴史の授業でしか見たことがないところだらけだなぁ――」
 フィレイナ、シェリア、ディルナはそれぞれ感動していた。 だが――
「でも、なんだか活気がないところね――」
 フィレイナはその光景を憂いでいた。すると――
「あら、急に来たわね?」
 いきなり大勢がこちらに向かってやってきた。
「お前たちは……一体、こっちに何の用だ!?」
 おっと、一触即発の状態か……フィレイナは悩んでいた。
「何用って――なんだっていいじゃないのよ。いろいろとあって腹を立てているところよ。 やるってんなら相手してやってもいいけど……その代わり命の保証はしないから覚悟しなさいよね。」
 さらっとヤバイこと言ってるこの人……。すると――
「団長! この女性たちあれです! エルバトスから戻ってきたという者たちです!」
 それには団員たちが驚きつつ何やら話をしていた。
「なんと! あの者たちの暴力から抗い、そして帰ってきたというのか!?  ううむ、時代は変わったものだな……」
 なるほど、抵抗する女はこの星では珍しいようだ。 ましてや彼女のような強い女性など――

 こいつらならなんとか話が分かりそうだ――フィレイナはもてなしを受けてくつろいでいた。
「あんたたちはなんなの?」
 フィレイナは訊くと団長ディルファーは答えた。
「我々はこの町の領主のやり方に反発している者たちなのです。 ですが――連中のやり方は手広く、そして汚く巧妙…… ゆえに反発する者は少なく、むしろ賛同している者が多いというのが実態なのです」
 確かに、そんな感じである。 この町の情報伝達の異様な広がりと連中の影響力……わかりやすいといえばわかりやすい。
「この屋敷はタオスピレアの町では最も影響力のあったラオディク様の屋敷です」
 ラオディク様?
「当時までは最も民衆に慕われていたお方で、タオスピレアでは一大勢力を誇る領主様でした。 ですが――」
 彼は裏ではあくどいことを広く行っており、民衆の反感をかうこととなると早々に失脚、 そしてその実態が世に明るみに出ると、タオスピレアの町の中心で処刑されたのだという。
 その話を聞いてディルナは――
「なんていうか、あくどいと言ったらエルバトスのほうがよっぽどって感じに見えたけどね――」
 というと、ディルファーは頷いた。
「左様。そう、ラオディク様は嵌められたのです!  ダルザークとエルバトス……あいつらによって民衆の支持もあいつらのものに!  そしてラオディク様の命までをも……!」
 さらに団員の1人が言った。
「連中がラオディク様を嵌めたという証拠も残っています、 当時は尻尾をつかむことすら困難でしたが比較的最近になってから次々と見つかっています。 ですが――」
 フィレイナは考えた。
「後の祭りってわけね、 既に信用の失墜しているラオディク派の面々が何を言ったとて民衆の信頼は戻ることはない、 あいつらはそれを踏まえてやっているってことね、なんとも狡猾極まりない汚い連中よね。 ったく……誰がそんなゴ○ブリみたいな野郎の女になるのかしら?  冗談も大概にしてほしいもんね。」
 前半についてはまさにその通りだが、 後半まだ言ってる……シェリアとディルナの2人はビビっていた。