運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第44節 不可避案件

 シェリアもフィレイアも普段から魔法が使えてもおかしくはなさそうな精霊様的な見た目であり、 ディルナも魔法の惑星ということで完全に魔導士ルックで身を整えていたおかげでそれだけで乗り切った。
 そしてフローナルも普段通りだが魔法剣を実演してパスしたのだが、アルドラスは――
「俺、あんたたちの召使いなのかよ……」
 と、グチっていた、 フローナル同様に剣士風の見た目だが魔法をそこまでうまく扱うことができない、 だから番兵からも下に見られていたのだが、 フィレイナが「こいつは私らの召使いよ。」という鶴の一声で決まると番兵も納得していた…… 頑張れ、アルドラス!
 ただ……魔法剣士発言がどこまで波紋を広げるのか気になるところである。

 ということで、宿屋に止まることにした一行。 ここでもひと悶着あり、魔法剣士様は優遇されるのだという…… というか、宿屋にまで剣士か魔導士か訊かれて悩んだ末のことだった。
「どうぞどうぞ! ぜひともお泊りください!  もちろん、お安くいたします故! 今後ともごひいきに、どうぞよろしくお願いいたします!」
 やっぱり言わなければよかっただろうか、なーんか嫌な予感しかしない……フローナルは悩んでいた。

 その夜――フィレイナはアリフローラのコミュニケータを手に取って眺めていた。
「だから……頼む――そしたら、次の手掛かりとして、 エルクザートの”トリシロン遺跡”と呼ばれているらしい場所を探してほしい。 ”空のカギ”の使い方についてはそこに行けばわかるということらしい――」
 フィレイナは彼女の眼差しをしっかりとその目に焼き付けていた。
「すごくマジメな方ですね――」
 ディルナは聞いていた。
「わかる? そうなのよ、アリフローラは本当にマジメなのよね。 でも、そんな所とは裏腹にお茶目な所もあってね、 特に彼女を語るうえでは切っても切り離せないのがオッチョコチョイな一面ね。」
 オッチョコチョイ? シェリアは訊いた。
「必要な物資の調達で伝票に記載した数量に0が1つ足りなかったり、 ティータイムの席でスティックシュガーの包みを新手のお菓子と勘違いしたのか砂糖をドバっとこぼしてみたり、 店で買ったものを代金だけ支払って買ったものをそのまま忘れていったり、 あとは――フェルドゥーナのことを”フェナドゥール”と真顔で言ったり――」
 いや、どんだけあるんだよ――シェリアとディルナは悩んでいた。だが可愛い。
「それにしても、アリフローラさんってその手掛かりをどうやって見つけたんですかね?」
 ディルナが言うとフィレイナは答えた。
「UNP00002みたいな惑星で見つけたじゃないかしら?」
 消滅してしまった惑星か――
「つまり、彼女もまたあの時と同じようなことを体験したのかもしれないってことですね――」
「というより、恐らく私らと同じ道をたどったのかもしれないわね、 それが偶然なのか必然なのかわかんないけど。」
 なるほど、2人は頷いた。

 朝――
「ほら! 起きろ! 召使い!」
 フローナルはアルドラスを叩き起こしていた。
「いっ、痛えっ! わかった、わかったよ! 今起きるから!」
 するとそこへ――
「魔法剣士様! 魔法剣士様がいらっしゃるというのはここでしょうか!?」
 扉をノックする音が――
「こいつは既に面倒に巻き込まれちまったようだな――」
 フローナルは後悔していた。

 フローナルはフィレイナたちを呼び出した。
「”ダルザーク様”の屋敷にって?」
 フローナルは頷いた。
「断ったんだけどな、だがどうしても来てほしいって言って聞かないんだ……」
 フィレイナは考えた。
「なら、お前から来いよって気がするけどね。」
 フローナルは首を振った。
「最初に迎えに来るって言われたんだが、それが嫌だったから断った。 だが、それでもどうしてもダルザーク様とやらが俺に会いたいんだそうだ」
 そういうことか――フィレイナは悩んでいた。
「ん、私たちもですか?」
 シェリアは訊くとフローナルは頷いた。
「おつきの女性たちもって言われてな――おつきじゃないんだがどう言ってもそういう扱いにしかならないらしい――」
 すると、フィレイナは――
「あらん♥  いいのよ別に、フローナル様から是非にって言われたら私、 喜んでフローナル様のもとへと参りますわ♥」
 まさかのノリノリだった……辞めろ――フローナルは悩んでいた。 すると、こともあろうに――
「確かに、それが一番手っ取り早いですね!  フローナル様♪ さあ、私のことを好きなようにしてくださいませ♥」
 シェリアまでもが乗ってきた……ウソだろ……彼はますます悩んでいた。
「あははっ! フローナル、ハーレムだぁ! じゃあ私も! フローナル様♥」
 まさかのディルナまでもが甘えてきた――どうしてこうなった……もはやどうしていいかわからなかったフローナル様。
「うっ……羨ましくなんかないぞっ!」
 と、アルドラスはフローナルを羨ましそうに見ていた。

 だが、この話はそれだけでは終わらなかった、それは――
「そっちもなのか!?」
 フローナルは驚いた、フィレイナ側のほうにも独自に話が来ていたのだという。
「そう、”エルバトス様”とやらの屋敷に行って欲しいって言われてね、 私らが携えている剣を見てお兄様と同じものを感じたんでしょうね、 だからこの際、そっちと同じく”魔法剣士”であることにして話を進めようと思ったのよ。 それ以外はそっちと同じよ――」
 そうだったのか、すっかりと面倒に巻き込まれてしまったようだ――5人は悩んでいた。