運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第42節 魔法の惑星

 ということでエルクザートの近くまでやってきた。
「この座標なら人の気配がなさそうですので降下転送できそうです!」
 ディルナはそう言うと、カルディアスに呼ばれた。
「なんですか?」
「キミも一緒に行くといい。 エルクザートの技術を見て何かしらの手掛かりをつかんできてほしいんだ。 たとえ未開の惑星の技術だとしても我々にはない技術であれば得られるものもあるだろう?」
 カルディアスはそうフィレイナに振った。
「確かにそれもそうね。そういうことなら行きましょうか?」
「待ってください! 私、ガイドライン読んでないんですけど……」
 カルディアスは頷いた。
「それは構わんさ、降下してからじっくりと確認すればいい。 もちろん、読み終えたら報告してくれ」
 ディルナは頷いた。
「わかりました、そういうことなら行ってきます!」

 フローナルは降下転送室の前までやってくると、そこでアルドラスと鉢合わせになった。
「おっ、来やがったな、条例違反常習者!」
 アルドラスにそう言われたフローナルは腕を組んで答えた。
「5回も食らっているお前に言われたくねえな」
 だが――
「5回じゃねえよ! 8回だよ!」
 いや、なんで増えてんだよ――というか、自慢するところじゃねえだろそれ――フローナルは呆れていた。
「でも、いずれも軽微な内容だ! お前みたいに厳重注意や謹慎食らうような内容とはわけが違うぜ!」
 条例違反に軽微もク○もあってたまるか――フローナルはさらに呆れていた。
「今回はお前にとっては少々痛手だぞ、 なんたって魔法ありきの世界だ、逆に使えないと白い目で見られるそうだ」
 えっ!? そうなのか!? アルドラスはそう思ったが……
「いやいやいや! お前あれだろ! 俺のこと担いでんだろ! ったく――」
 だが――
「そうね、さらっと調査した内容だと使えない人もいるみたいだけど、 そういう人は立場が少々弱い人ばかりだから、 ”エンチャント・ツール”でも携行して曲がりなりにも魔法が使えるアピールできるようにしておかないとやばいんじゃないかしら?」
 えっ、マジかよ――アルドラスは落胆していた。
「しかもこういう星にエンチャント・ツールを持ち込むんだからな、 紛失したなんてことになったらまさに処罰の対象だ、 持ち込む前に管理簿に記入することを義務化されるだろうな――」
「確かに、魔法が使えるアピールしないと立場が弱い場所で、 誰でも魔法が使えるような道具を持ち込もうものなら誰でも神になれるようになってしまいますからね!  それをなくしたら極刑は免れられませんね!」
 と、シェリアは追い打ちをかける、面倒臭え……アルドラスは悩んでいた。
「なんでもいいから”初等エーテル学”ってやつをマジメに受けとけばよかったな……」
 と、アルドラス、今更遅い。

 ということで降下完了。
「フィレイナ! くれぐれも無茶しないで!」
 テレイズがコミュニケータ越しにそう言った、みんなに心配されてるな。
「ええ、たっぷりと心配させてあげるわよ。 それよりあなたのほうこそ、もし男が言い寄ってこようもんならすぐにぶん殴ってもいいからね。」
 と、フィレイナ、言ってる脇から――って、ぶん殴るってあんたじゃないんだから。
「もちろん、そうさせてもらうわね!」
 っておい! あんたも武闘派か! 強いな、フェレストレイア星の女性は……。

 小高い山の上、人の気配のない所へと降り立ったフローナルたち。
「あれ! 見てください!」
 シェリルが何かに気が付くとディルナが言った。
「高度なエーテル学が進んでいる惑星だなぁ、どれ――」
 と、コミュニケータをかざすと――
「地上はエーテルが濃いみたいね、感覚的にはクラス1.8ってとこ?」
 と、なんとフィレイナの言う通り、エーテル・クラス1.8という数値が出たようだ!
「お姉様! すごいです! お姉様ぐらいになるとこのぐらいのことまで感覚でわかってしまうんですね!」
 というが、フィレイナは――
「いえ、たまたまよたまたま。 私の祖はプリズム族、精霊族ではお兄様と同じエターニス系だからエーテルに対してはそれなりに敏感なだけよ。」
 とはいうが――フローナルとシェリアは悩んでいた。
「俺もエターニス出身なんだが――確かに感覚でエーテルが濃いことまではわかるが数値まではわかんねえぞ――」
「私もプリズム族ですけど、流石にそこまでは……」
 フィレイナは照れた様子で答えた。
「だからたまたまだってば。 エターニス系かつお家柄だからわかったってことよ、大したことじゃないって――」
 大したことではないとは思えないのだが。
「なんだ? どうしたんだ?」
 フローナルは一人呆然としているアルドラスに対して訊いた。
「いっ、いや――ヤバイ瘴気みたいなのがあるなって思ったんだがエーテル……魔法の霧みたいなものだったのか――」
 うーん……これはちょっと身体から慣れさせる必要がありそうだな――フローナルは悩んでいた。
「なっ、なあ! 俺みたいなのが入っても平気なのか?」
 フィレイナが答えた。
「クラス2未満なら魔法に慣れていない生物でも違和感感じる程度でしかないから安心していいわよ。」
 簡単に言うなぁ。本当かよ……。