運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第3章 カルティラの黙示録

第40節 ネクスト・ステップ

 フローナルはシェリアと共にフェレストレイアの宮殿の外へと繰り出していた。 以前話した通り、雅な宮殿の外には森が広がっており、大自然あふれる森である。
「やっぱり、森の中は落ち着きますねー!」
 そうか、彼女の里も森の中だもんな。
「こんな森の中にこんな大きな城があるのはどう思う?」
 フローナルは訊いた。
「いいんじゃないですか? なんていうか、素敵な建物ですよね!  流石に私の里の長の家なんか足元にも及びませんが―― でも、この星で威厳を保つという点においてもやはり必要なものなんだと思いますね――」
 そうか、惑星単位だもんな、ここはひとつの里の中で完結しているところじゃないんだ、フローナルは考えた。
「え、フローナルお兄様はダメですか……?」
 フローナルは首を振った。
「いや、俺は別になんでもいい……って言ったら冷たいかもしれないが――」
 シェリアは頷いた。
「そうでした、フローナルお兄様はそもそも外の世界を知っている方でしたもんね!」
 そうだな、そういうことだな――。
「にしても自然の土の上ってのもいいもんだな――」
 シェリアは嬉しそうに言った。
「そうですね! 今までずっと砂か岩か鉄の上を歩いていましたからね! とっても久しぶりです!」

 さらに奥に行くと、そこにはプリズム族の里……いや、フェレストレイアの女性たちの集落が見えてきた。 しかし、その光景に2人は驚かされていた、それもそのはず……
「森の中のハズなのに意外と開けているな――」
「確かに、里と言えばうっそうと生い茂った森の奥深くにあるってイメージですが、 ここってそんなでもないですね――」
 と、フローナルの言うように開けた場所であり、空からは陽の光が照らしていたのである。 里か……フローナルは考えていた。
「オレ……そろそろ引き返したほうがいいだろうか?」
「大丈夫です! フローナルお兄様なら絶対に大丈夫です!」
 シェリアははっきりと言い切った、本当だろうか――少々不安なフローナルだった。
「女王様のお客人ですからその点でも大丈夫なはずです!」
 いや、本当にそれでいいのだろうか――

 それから数時間が経過した後、カルディアスによってメテオ・ナイツのクルーたちは全員集められた、だが――
「悪いわね、ちょっと疲れたから休んでいるわね――」
 と、フィレイアがまたしても体調不良を訴えていた、大丈夫だろうか?
「さっきまでかなり張り切っていらっしゃいましたからね、無理なさらなければいいのに……」
 シェリアは彼女の顔色を見てそう言った。
「でもま、なんだかわからんが、無茶をしないとフィレイアらしくないからあのほうがいいのかもしれないけどな…… それでもあんまし無茶してほしくないもんだが――」
 フローナルは葛藤していた。
「……やっぱり、私たちがお姉様のためになるようなことをしないといけないってわけですね――」
 ディルナもまた悩んでいた。

 宮殿の会議室へと促された一行、 そこへフェレストレイアの女性が一人、そこへとやってきた。
「あなたは?」
 カルディアスは訊いた。
「私は女王陛下の侍女テレイズです。 もちろん、女王陛下に成り代わって民を指導する立場も担っています。 私も参加させていただいてもよろしいでしょうか?」
 女王の側近……カルディアスは考えた。
「フェレストレイアの方も参加いただければと思っていましたのでちょうどよかった。 そういうことならよろしくお願いいたします」
「こちらこそ! よろしくお願いしますね!」
 なんか、フェルドゥーナにもよくいそうな女性……カルディアスは安心していた。 身なりこそどことなく上品なお嬢様風のそれなのはプリズム族にも通づるところがあるが、 コートで身なりをしっかりと整えてオシャレさを演出しているあたりは彼女独自の持ち味といったところか。

 やはりというべきか、そんな彼女に見惚れている男たちだったが、あろうことか彼女は――
「隣、座ってもいいかしら?」
 なんと、フローナルのもとへと一直線だった。
「ん? ああ、別に構わねえが――」
 またフローナルかよ……男たちはだんだん彼が羨ましくなっていた。
「俺、フローナルになりたい――」
「俺も――」
「フローナル、そこ代われ……」
「エターニスの精霊ってすげえ能力持ってんだな――」
 持ってねえよ……フローナルは悩んでいた。

 話は進められた。
「さて、それでは早速次の目的について話さねばならないが――」
 そうそう、そう言えば次が決まっているんだった。 その手掛かりはアリフローラが見つけたんだった。
「次の惑星は”エルクザート”と呼ばれる惑星だそうだ。 それについては彼女のほうから――」
 と、カルディアスはテレイズに話を振ると――
「フェルドゥーナの連邦のデータベースには”惑星UFP086904”で登録されている惑星よ」
 すると、カルディアスは腕を組んで考えていた。
「”UFP”ということは”広域惑星”か――」
 特にどの宙域にも属しておらず、 とにかく広い宙域に無数の星々があるだけ宙域というのがあり、 その”広域宙域”に分類される場所にある惑星は”広域惑星”と呼ばれているようだ。
「ええ、”広域宙域”だからフェルドゥーナ寄りになるのかしら?」
 カルディアスはさらに考えていた。
「だが、広域宙域は恒星ばかり、人が降りて探索するような星があるというのか?」
 テレイズは頷いた。
「恒星ばかりってことは例外もあるってことよ。 だから私たちは”惑星エルクザート”って名前を付けることになったのよ」
 なるほど、カルディアスは納得した。