運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第2章 オンナの星

第36節 遺跡のカギ

 その場所には金属の棒が地面から飛び出ているだけだが……
「妙に頑丈な棒だな、しかも先端部にセンサーみたいなのが付いているし……」
 と、フローナルはその棒をがっしりとつかんだ……。
「うん……!? なんだこれは……!? 妙に魔力が……エーテルが馴染んでいく……!?」
 どうしたんだろうか、シェリアが訊くと――
「ええ、先端部にセンサーみたいなのがあることは把握しているんだけど、 それがなんなのかは全然わからんのよ。 確かに、エーテルが馴染みやすい金属って言うのもわかっているんだけど、 それが何って言われても全くわからないのよね――」
 と、フィレイナは言うと、フローナルは何やら悩んでいた。
「魔法……馴染みやすい……金属……」
 すると、フローナルは思いついた。
「それだけの条件の金属ってなるといくつかあると思うが、 俺が考えるにこの金属……もしかしたら伝説の魔法金属”ミスリル”かもしんないぞ」
 ミスリルだって!?
「まさか、これがそうだって言うの!?」
 フィレイナは驚いていた、彼女ぐらいなら聞いたことがあるだろう、 作り手であれば誰もが憧れる伝説の魔法金属”ミスリル”……シルグランディアの手の者とて例外ではないことだろう。
「ミスリル……こんな形でお目にかかれるなんて――」
 ディルナも感動していた。
「もちろん魔法になじむということを考慮して調査もしているんだけど全然反応がなくてね、 そっか……これがミスリルだったのね――」
 と、彼女は言うが、フローナルは――
「ん? なんだ、センサーみたいなところがなんか光るようだが――」
 というと、
「えっ!? 光る!? どういうこと!?」
 フィレイナは驚いていた。するとフローナルは考えた。
「魔法だから、使い手の魔力の性質を見ているとかじゃないか?」
 そう言われると……フィレイナは考えた。
「エターニスの精霊だったっけ、この世界の祖となる存在の血族―― ティルフレイジアがなにか画策しているってことならもしかしたら―― こんな宇宙の果てにエターニスの精霊がやってくるなんてレアケース…… ヴァナスティアのお告げ的なもので選ばれたというのならまさにここで必要なこととかそう言うことじゃないかしら?」
 確かに……フローナルは考えた。
「そう言うことなら話は簡単そうだな。 具体的には何をしていいかわからんが――ただ、そういうことなら後は思い思いに何かをするだけだな、 例えば――」
 フローナルはセンサー部分に手をかざしつつ、自らのエーテルを流し込んだ! すると――
「フェルドラシアの魔力を探知――エターニスの精霊の者と断定。 OK、封印を解除します――」
 と、何処からともなく謎のアナウンスが―― そして、地中から何かが浮き出てくる! フローナルたちは驚き、その場から退いた!
「なんだ!?」
 と、そこには遺跡の入り口のようなものが――
「確かに、お兄様の言った通り魔力の性質が……エターニスの血による魔力がキーだったみたいね。 それにフェルドラシアの魔力――」
 シェリアとフローナルは考えた。
「フェルドラシアって30億年前のメドーナ=ティルフレイジアの時代でしたよね?  まさにランドグリスに関係している話ですね――」
「なるほど、確かにすべての辻褄が合うな――」

 入口はメタリックなそれの装いで、内装も一貫していた。ただ――
「なんていうか――生命のあった痕跡が残っている気がするな――」
 と、フローナル、誰かがいる!?
「虚無の空間だらけだったからずっとアンテナ張っているのねお兄様、感心感心♪」
 フィレイナは嬉しそうに訊くとフローナルは悩んでいた。

 そして――
「あっ、あれ!」
 シェリアは気が付くと、慌ててそこへ駆け寄った――誰かがうずくまって倒れている――
「あれ! まさか!」
 フィレイナは気が付いた――
「アリフローラ! しっかり!」
 まさかのアリフローラだったようだ、だが――
「えっ……」
 彼女の腕からはコミュニケータがポロっと落ちた――既にこと切れていたようだ……
「そっ、そんな!」
 そこへフローナル、落胆している2人の前に立ち――
「彼女のためにもここでの事をさっさと終わらせよう―― 早く母星に還してやるんだ――」
 と、憂い気に言うと、フィレイナは涙を拭いながら言った。
「そうね――それが一番よね……シェリア、彼女のこと、頼んでもいい?」
 シェリアは涙をボロボロと流していた、彼女に任せておくのがよさそうだ……。

 しかし、ここへ入る方法はエターニスの精霊の魔力を検知してのことだったハズ、どうして彼女は中にいたのだろうか――
「それは後でいいわ―― コミュニケータを握っていたところを見るに、 彼女のことだから何か記録を残しているハズよ――」
 それならそれで期待しておこうか、フローナルは考えた。
「ところで――あれはなんだ?」
 フローナルは遺跡の奥にある何かを指さして訊いた、すると――
「ちょっと、怖いからお兄様とってきてよ…… エターニスの精霊がやんなかったせいで彼女みたいになるのは御免だわ、 お前が来るのはまだ早いって言われてアリフローラから絶対に殴られるし!」
 2人の間柄がよくわかるような話である――。