惑星ランドグリスに降り立とうと試みた、だが――
「なるほど、ここもトラジアータの人たちが策を施しているわね――」
ん? なんだ? カルディアスは訊いた。
「残念だけど、ランドグリスには直接着陸するしかないわね。」
いや、むしろ難なく接近できて降下転送すればよさそうなものだが――カルディアスはそう訊くと、
「いえ、この星には妨害電波が仕掛けられているわね、
トラジアータ製の”転送妨害装置”によるものね――」
うん? まてよ、それってまさか――
「フィレイナ、惑星TRC001984にも妨害電波が発せられていたんだが、まさか――」
カルディアスが訊くと彼女は頷いた。
「TRC001984は知ってる、あそこは旧式のものが設置されているハズだから……通信にも影響与えたでしょ?」
ここへきてあの惑星の電波の謎が解明するとは。
「44年前のランドグリスにも旧式が設置されていたけどうちの転送装置のほうが上回っていたから転送できたのよね。
そしたら……トラジアータはそれに負けまいとして新式を設置しているようね、仕方がない――」
と言った、悪用されないようにこのあたりの者がみんなでランドグリスを守っているということらしい。
そして――フィレイナは訊いた。
「で、降下メンバーは誰?」
この人は行く気満々のようだ――。
惑星ランドグリスは見るからに大気がなさそうな星だったのだが、どういうわけか大気があった。
しかもこれまた見るからに氷点下何度みたいなとんでもない寒さの星なのかと思いきや、実は結構温かい星なんだという。
それでも摂氏18度でしかないのだが、この星のイメージや所在地から考えるとむしろ熱いぐらいである。
「環境はフェレストレイア星やフェルドゥーナ星のそれにそっくりってところね。
こういったあたりもティルフレイジアが残した人口の惑星ゆえって感じかしら?」
フィレイナが訊くとフローナルは頷いた。
「かもしんねえな、見るからに宇宙空間に投げ出された感じしかしないのに……なんとも妙な感覚だ――」
そう、さらに重力がフェレストレイア星やフェルドゥーナ星と同じというのもまた錯覚を覚える要因である。
「あそこに遺跡があります!」
シェリアはそう訊くが、フィレイナは――
「遺跡……まあ、私はあくまで”退避所”としてしか見ていないんだけどね――」
と言った、退避所?
言われてみれば確かにただの待避所、
鉄によって作られたちょっとした休憩所みたいな辺鄙な建物だった。
そうなだけに中には何もなく、これ以上は捜索しようがない感じだった。
「フィレイナさん、他に何かあるんですか?」
フィレイナは首を振った。
「いいえ、この星にあるのはこれだけよ。
だから無駄足……と言いたいところだけど、きっと、この先の宙域が虚無の空間なんだ――
今回はそれを私たちが見るためにここがあるような気がするのよね――」
確かに……この星を目指してこなければ今回の異常事態には気が付けなかっただろう。
「なんだかんだで重要な星ってわけだな――」
すると――
「誰か来たよ!」
と、遠くから何やら小さな車のような乗り物に乗ってきた者が――
「おう、お疲れさん。何かあったか?」
メテオ・ナイツの調査チームの1人だ。
「フローナルさん、みなさん、お疲れ様です! あちらでとんでもないものを見つけました!」
え!? 何を!?
フローナルたちは早速現場に向かった。
「少々砂に埋もれていますが……」
というと――
「遺跡ですかね……?」
シェリアはそう言うが、フィレイアは――
「いえ、この形……遺跡というよりは何かしらの乗り物ね――」
と、現れた一部を見てそう言った、乗り物!? それというのはつまり――
「ちょっと待って! 一旦作業を止めて!」
フィレイアはそう言うと、コミュニケータを用いて――
「これは……フェレストレイア所属の小型艦”フレンスベルグ”、
ということは……まさにそう言うことになるわけね――」
なるほど、フローナルは頷いた。
「アリフローラって女がこの星のどこかにいるということだな」
状況的にもはやそれしかないようだ。
「彼女を探しましょう!」
シェリアはそう言うが――
「問題はほとんど砂だけのこの惑星の何処を探すべきか、だな――」
フィレイナは悩んでいた。
「それに、砂と言っても”深み”がない上に礫砂漠に近い地形だから砂の中に埋まっているとは考えにくいし――」
すると――
「あっ! そこ、待って! そこに引っかかりがあるから気を付けて!」
と、フィレイナが急に作業チームに注意を促していた、何のことだ?
「そうそう、忘れていたけど……あの辺に地面から一本だけ何か飛び出しているのよね――」
それは一体!?