次の日……まるで豪邸のような屋敷の中、フローナルはベッドで目を覚ました。
「夕べはよく眠れたか?」
メフィリアがフローナルの目の前に現れた。
「ああ、おかげさまでな――なんだか妙な感覚だ……」
妙な感覚……メフィリアは考えていた、中身は本物のメフィリアらしい。
「時に……そなた、一時はプリズムの里で世話になっていたそうじゃな?」
そういえばそうだった、フローナルは確かそうだと言っていたっけ。
「プリズムの里で男児がいれば奪い合いが始まるハズ……なのに何故ってことか?」
メフィリアは話した。
「奪い合いによる妖の香を交わしたということじゃな、なんとも肝が座っておる……
我らの香が通じぬとなると我らにとっては痛手となる存在ということになるのじゃが……」
フローナルは頭を掻いていた。
「つまり、俺はあんたらにとっては障害なる存在って言いたいのか?」
メフィリアは首を振った。
「いや、そうではない――
むしろ、通じぬことには理由がありそうじゃな……」
どういうことだ? フローナルは考えた――言われてみれば確かにそうかもしれない。
「通じぬことの原因……それは、そなた自身が我らと同じ妖の香の使い手の虜……
否、その者を心に抱いているおるからじゃろうな――」
そんなまさか! フローナルは驚いていた。
「俺が……!? そんなばかな――」
メフィリアは嬉しそうに続けた。
「ふふっ、まあよい、そのうちわかることじゃろうな――」
そう言いつつ、彼女は去った――
「なんなんだよ……」
フローナルは悩んでいた。
さらに……
「痛てててて……ここはどこだ……?」
と、あの男が目を覚ますと、そこには見たこともない光景が広がっていた、
どこかの豪邸のような建物の中、自分は手厚く介抱されているようだった。
「あら、お目覚めになられたのですね♪」
と、そこには男にとっては見慣れない女性が――
「なっ!? だっ、誰だ!?」
男は驚いていた。
「大丈夫です、ここは安全ですから!
ここはフェレストレイア星、どうぞ、ごゆっくりしていってくださいね♪」
フェレストレイア!? なんで自分がそこにいるんだ!?
男は事態を把握していなかった。
すると、そこへ別の何物かが入ってきた。
「よう、ようやくお目覚めだな」
どこかで見たことのあるツンツン頭……その男は間違いなくあの男だ。
「フローナルか!?」
彼は頷いた。
「ったく、体力バカのクセに……いつまでも寝てんじゃねえよ、アルドラス――」
アルドラスとは……そう、最初の惑星TRC001984で救出した唯一の生存者の男である、
まさかの知り合いである。
「そうか……メテオ・ナイツに拾われたんだな――」
フローナルは頷いた。
「惚れっぽいテメーのことだからな、
フェレストレイアの女を目の前にしてその気になってんじゃねえかと思って様子を見に来たらこのザマだ」
え……えっ、えぇっ!? アルドラスは焦っていた。
「なっ……何言ってやがる!? 俺は何もしてねえぞ!? なぁ!?」
「ふん……それはどうだかなぁ? 相手はフェレストレイアの女だぞ?」
というと、言われた女性は口を抑えつつ何とも嬉しそうに微笑んでいた。
「だから! 俺は何もしてないってば!」
するとその女性は――
「うふふっ、そんなに照れなくたってよろしいではないですか? 可愛らしい方ですわねぇ……」
と、なんとも嬉しそうに言った、マジか――アルドラスは悩んでいた。
「やっぱりな……アルドラスのことだから”フェレストレイア式リップサービス”に簡単に引っかかるとは思ってたけどな」
えっ、リップサービス!?
「プリズム族……いや、お前は知らねえか。
とにかく、彼女らの性質は女ばっかの星だからこそというところにある……だいたい想像つくだろ?」
そう言われてアルドラスはむしろ興奮していた。
「女ばっかの星! なんだそら!? もしかしてここって楽園かぁ!?」
やっぱりダメだこいつ……フローナルは頭を抱えていた。
「やれやれ、せっかく助け出してやったのにフェレストレイアの子孫繁栄の礎になるのも時間の問題ってわけだな――」
いいんだか悪いんだか。
なお、彼の同行はしばらく見送りに、フェレストレイアにしばらく置いていくこととなった、本当に礎になってしまうのだろうか。