どういうことだろうか、フェルドゥーナからの応答がないって――オペレータたちは悩んでいた。
「困ったな、一体何があったというのか――」
カルディアスは深く悩んでいた。するとそこへ……
「ん? 受電です!」
どこかから通信が。
「何? 発信源はどこだ?」
「いえ、それがわかりません……艦内にあるどこかからのようですが……」
艦内!?
「誰からだ? 登録番号は?」
カルディアスは訊くが、オペレータは……
「そっ、それが……こちらで把握している個体番号外からの通信のようです――」
すると、ディルナが何かを手に持って……
「ねえ! 電波だけど、この変な物体から出ているみたいだよ!」
なんだって!? カルディアスは驚いていた、今回惑星TRC029983で見つかったブツが電波を発していたようだ。
「それ、もしかしてアンテナか?」
フローナルは訊くとディルナは何か思いつき、その物体を展開させて見せた。
「驚いた、本当にアンテナみたいだね。
しかもこれ……どちらかというと中継器みたいなものになるのかな……」
中継ということは……
「どこかから他所の電波が届いてきているってことか――」
カルディアスは悩んでいた。
そして意を決して話に応じることにした。
「誰だ……」
すると、そこには聞き覚えのあるような感じの声が。
「やあやあ! どうやら大変なことになっているようだから、そろそろ私の出番かと思ってこうして連絡をした次第だよ。
ご先祖様の話は聞いてきたようだね?」
ご先祖様? え、てことはまさか――
「そうとも、私は”ノディラス=ティルフレイジア”だ」
いきなりの急展開――
「ん? ”セクレアート=ティルフレイジア”ではないのか?」
カルディアスは訊いた。
「セクレアート? ……ああ、父は既に亡くなっているよ。それより――」
なんと、スクライトの”予測”は正確だったようだ。
「連邦のデータベースが少々古かったようだな――」
「怖っわ……」
フローナルは呆れ、ディアナは悩んでいた。
とにかく、面と向かって話がしてみたいというので、
大スクリーンに向けて投影しようと試みていた、だが――
「嘘でしょ!?」
ディルナは驚いていた。
「なんだ、どうした!?」
カルディアスは焦って聞いていた。
すると、スクリーンには鮮明にやつの顔が現れた。
「そんなに驚くほどのことかい?
キミらは私のご先祖様の力を目の当たりにしてきたんだろう?
つまり、それを見越して用意しているってことさ」
何の話? だが、それにしても――
「チューニングが早かったようだな……」
カルディアスはディルナにそう言うが、ディルナは――
「ちっ、違います……私は何もしてないです――」
えっ!?
「あはははははは! だから言ったろう? 用意しているってさ。
面倒を省くために既にこちらのほうで機械のチューニングをしてあるのさ」
なんだって!?
「こっ、これのチューニングをか!? 80億年前に作られた代物だぞ!?」
カルディアスは驚きつつ先ほどの中継器を取り出して訊くとノディラスは頷いた。
「もちろん。
私自身は専門知識もないし、そもそも私のほうで持っている機材はいずれも古式製……
キミらとこうして通信するには規格が合わないから本来であれば遠い場所に通信するなんてこと自体が不可能なんだけど――
そこで私の80億年前のご先祖様である”スクレアラート”はそれを見越してシルグランディアさんに掛け合うことにしたのさ。
予測内容と共に伝送距離の問題を解決しチューニングのほうも完璧に済ませ、
そして宇宙に飛ばした……この時代では惑星TRC029983という場所に飛ばされることなど当時のスクライトなら用意に予測可能だからキミたちにそこを探すように言ったということさ」
まさに未来予測!
「い、今の時代のインタフェースに合わせて……!?」
「80億年前の段階でチューニングしておいた……そう言ったのか!?」
「……ちょっと何言ってんのかわかんない」
オペレータたちも話を聞いていて悩み始めていた、もはや常人が理解できる話ではない。
そんな人知を超えた話はおいといて、
そもそもどうしてノディラスが通信してきたのだろうか。
「そっちはどこなんだ?」
カルディアスはそう訊くと、彼はカメラを引いていた。
「これならわかるだろう?」
そこはなんと……
「まさか、クロノリアの家の中か!?」
フローナルは訊いた。
「もちろん。
私は今のクロノリアの長じゃないけど、今回はご厚意に甘えて実現させてもらっている。
ここには古式の設備があるからね、だけど、その……特殊な”アタッチメント”と呼ばれるものがあってね、
それのおかげで今のフェルドゥーナからでもキミらに向けて通信ができるようになっているのさ。
だが、他の拠点……ヴェラールやドミナントなどは通信できずに戸惑っていることだろうね」
な!? 通信できないことを知っている!?
「当然だとも。
フェルドゥーナ星は今、星全体を濃いエーテルの層で覆いつくしてしまっている……
これが通信の電波の障害になってしまっているんだ。
こっちは特殊なアタッチメントのおかげでそれの影響なく通信ができているんだ、
流石はメイド・イン・シルグランディア様様だね!」
恐るべし、シルグランディア様様……。
というか、エーテルの層で覆いつくしているって!?
「それだけじゃないよ、今やフェルドゥーナ星には数多の魔物たちが大量発生している状況でね、
それはそれはもう酷い状況だよ、もはや世界滅亡の予兆なんじゃないかって言っても過言ではない状況だね――」
何だって!? もはやどこまで驚いていいのかわからない。