運命の黄昏 ~エンド・オブ・フェルドゥーナ~

第1章 滅亡までのカウントダウン

第10節 どこかで見たことのある光景

 山道を進むと急に行き止まりが見えてきた、こっちの道はハズレか?
「なんか来るぞ!」
 と、カルディアスは山の上のほうから滑空してくる鳥の魔物を確認した!
「あれはグリフォン!? この星にも出てくるのか!」
 フローナルはそう言いつつ、剣を引き抜いた!
「グリフォンだと!? フェルドゥーナではすでに絶滅している魔物がこんなところにいるというのか!?」
 カルディアスは銃を取り出したが――
「あいつは”ミサイル・ガード”だ! 飛び道具の類は通じにくい!」
 と、フローナルは叫ぶとディルナも弓矢を取り出しながら困ったような感じで言った。
「ウッソー!? あんな野生の魔物なのにダメなのぉー!?」
 シェリアは冷静に剣を引き抜きながら言った。
「そうです、グリフォンには接近戦または魔法しか有効打がございません。ですから――」
 そんな彼女を見ながらディルナは言った。
「シェリアって本当に冷静だよね――」
 フローナルは頭を掻いていた。
「その割に、外の世界から里に逃げ帰ってきたのは一体何だったんだろうか……」
 まさにわけのわからないキャラ性である、見た目やイメージに反してカオス……。

 見るからに筋骨隆々でガタイも大きめの4足歩行の鳥のモンスター、グリフォン。 フローナルは真っ先にグリフォンへと全力で切りかかった!
「グギャア!」
 だが、グリフォンの反撃!  如何なる鋼鉄でさえもへし折ってしまいそうな強靭なる猛禽の爪でフローナルに襲い掛かった!
「フローナルさん!」
「危ない!」
「フローナル! 引くんだ!」
 だが、フローナルは……
「バカめ! そう真正直に突進すると思ったか!」
 フローナルの剣から激しい雷鳴の剣が!
「ライトニング・ショット・ガン!」
 稲妻がグリフォンの身体を貫いた!
「すごい! やっぱりフローナルってすごーい!」
「流石ですね……」
「これがエターニスの血というわけか――」
 グリフォンはその勢いでひっくり返った!
「お二人とも、今です! お腹のほうが弱点ですので飛び道具も有効です!」
 そう言いつつ、シェリアも突進した!
「ならば今がチャーンス!」
「なるほど、それならばお言葉に甘えるとするか!」
 2人は集中的に撃ち込んだ。
「フローナルさん、大丈夫ですか!?」
 シェリアは心配しつつフローナルに接近。
「ああ、大丈夫だ、ガタイがデカイだからひっくり返すまでが精一杯だ、残りは任せた――」
 フローナルは息を切らしていた。
「承知いたしました、それではお任せください――」
 シェリアはフローナルを抜き去ると、そのままグリフォンめがけて突進!
「あっ、起き上がるよ! 気を付けて!」
 ディルナは注意を促していた、だが、カルディアスは――
「いや、今ので十分ひきつけた、起き上がる頃には――」
 と、シェリアが目前まで接近するとグリフォンは起き上がった、が――
「燃えなさい――ブレイズ・ドライブ!」
 シェリアは紅蓮の剣を取り出し、グリフォンの顔面にクリーンヒット!  そのままグリフォンは赤々と燃え上がった!
「ギャアアアアア!」
 グリフォンはそのままもだえるように燃え上がり、そのまま息絶えた……。
「シェリアってすごーい! 強いんだぁー!」
「なるほど、炎が弱点のようだな……フローナルも最初からそうすればよかったのでは?」
 ディルナは感動しており、カルディアスはそう言ったが、フローナルは……
「ああ、俺もそうしたかったよ、できることならな……」
 彼には炎の適性がないらしい、それは仕方がない。

 山道は行き止まりと思いきや、どうやら山の内側のほうへと誘う道が広がっているようだった。 しかもその道には山門がいくつか設置されており、如何にも何かあると思わせるような装いをしていた。
「急に開けたところに出てきたな――」
 カルディアスはそう言った。 そして、その真ん中に何かしらの像が置いてあったような跡が残されていた。
「なんだこれは……」
 フローナルはその光景を見て唖然としていた。
「どうしたんだ?」
 カルディアスは訊くとフローナルは首を振った。
「いや、何でもない――」
 気のせいか……フローナルは悩んでいた、 どこかで見たことがあるようような光景…… もしかしたら自分の置き去りにされた記憶のヒントなのかも知れないと考えていた。

 広場の先にはまたしても山門があり、その先にも広場があった。
「なーんか、また広いところに出てきたね……」
 ディルナが言うとカルディアスはコミュニケータを取り出して調べていた。
「これは相当の広さだな……データによると、 フェルドゥーナにある”クロノリア”と呼ばれる町と同じ広さがあるらしい…… 確か、”クロノリア”も山の中だと訊いたことがあるが……」
 すると、フローナルは前に出て言った。
「そうだ、思い出した……この風景、俺は知っている…… ここはまさにクロノリアの風景そのものだ――」
 なんだって!?
「行ったことがあるのか!?  確かあの町はよくわからんが、30億年ほど入ることができないと言われているそうだぞ!?」
 なんともやばい町があったもんだが――フローナルは首を振った。
「わからない――ただ……何故かこの光景は”クロノリアの町”に違いないと思っているんだ。 この山も、山道も、さっきの広場と真ん中にあった”ザラマンデル”の像があった跡……」
 急にどうしたんだ!? 3人は驚いていた。 フローナルも言った脇から頭を抱え、その場でうずくまってしまった。
「だ、大丈夫ですか!?」
 シェリアとディルナは慌てて彼に駆け寄り、心配していた。
「悪いな……俺は大丈夫だ――」
 そう言いつつフローナルは立ち上がったが、あまり大丈夫には見えない――。
「ね、ねえ! あれって遺跡かな!」
 ディルナは視界に入ったものを指さして訊いた、 確かに奥のほうにそれらしい建物が見えるが――
「そうだな、とりあえず、あそこまで行こうか――」
 カルディアスはそう言った。