そして、一方でレミシアたちは、クロノリアの山道を様子を見ながらゆっくりと登っていた。
「クロノリアを離れてからまだ半年しか経ってないのになんだか懐かしく感じるわね――。」
ディアは頷いた。
「確かにな。
ってか、あん時はいろいろとありすぎだ……邪悪なる者とか禁じられた災悪とか。
いくら俺が聖獣だって言っても俺なんかアトローナシアの技術者でしかねえんだぞ?」
レミシアは頷いた。
「私もそうよ、アトローナシアのルーツだかなんだか知らないけど、
基本的にはその域を出ない存在のハズなのよ。でしょ?」
それは――ディアはどう答えようか悩んでいた。
「で……フィールドの干渉具合はどうよ? 山道に影響ある?」
そう、彼らはフィールドのメンテナンスをしているのである。
「魔力汚染みたいなのはほとんどある感じがしねえな。
ってことは、今回のフィールド作成に感じてはなんにも問題が出てないってことだな」
レミシアは頷いた。
「そうね、やっぱり新しい仕様でしかもより強固なものってことになるとそのあたりが心配なもんだけど、
今回のプロジェクトに関しては大成功ってことで良さそうね。」
ん……そう言われてディアは気が付いた。
「あのさ……以前にアルティニアあたりでレイとクラナがフィールド作成についてもめていたじゃんか?
クラナのやり方を進めた場合……」
レミシアは頷いた。
「ええ、まさにそういうことね。
それこそ昔の方式ゆえに、周囲へのエーテル汚染とかも気にされずに作られる可能性があるわね。
特にあの説明書……成果物についてはそのあたりまでの配慮が一切なされていなかったから最悪大きな問題になりえるわね。
無論、これから世界が復興しようという中でのそれは流石に私としても賛成しかねるから……
だからレイの意見に歩み寄ることにしたのよ……ま、私もやってみたかったっていうのが1番の理由だけど、
2番目の理由はそんなところかしらね。」
この人はいちいち”超えてくる”な。
そして、レイはクレアと一緒に試練の祠の中で話をしていた。
「やっぱりレイさんってすごいです!
私なんかじゃあ足元にも及ばなかった見たいですね――」
レイは首を振った。
「そんなことないよ。
クレアだって立派にクロノーラやってたんだし、邪悪を封印するために頑張ったんだからクレアのほうがすごいよ!」
「でも……私は最後、時を止められてしまいました。
辛うじて止められたという意識だけはありましたが、それ以上は……」
「それも全部クレアがクロノーラという存在をつなげてくれたから、
クラナもそうだし私だってクロノーラとして生きていくことができたんだよ。
そう、クレアあってもクラナであり、クレアあっての私でもあるんだよ」
それもそうか……クレアはそう言われて前向きにとらえることにした。
「大丈夫、クレアのクロノーラとしての精神は私が受け継ぐから!」
そう言われてクレアはにっこりとしていた。
「はい! レイさんになら安心して任せられます!
顔もぶつける特性を持っていないみたいですし!」
それが未だにわからんのだが……とはこの際言うまい。
そして、クレアはうっすらと消えていった――
「そうだ! レイさん!
あなたほどの方であればクロノーラが持っていると言われる”真の時渡りし翼”が解放できるかもです!
この世界の行く末が気になるようでしたらぜひお試しくださいね!」
”真の時渡りし翼”……レイは心の片隅にしまっておくことにした。
クラナは家でくつろいでいると、そのうち――
「さてと、そろそろクロノーラとしての務めを果たしてこようかね――」
ゆっくりと腰を上げていた。
そして、家を出ようとすると、そこには――
「ん? おや、よく来たねえ! レイならそろそろ帰ってくるころじゃないかな?」
来客である、ここまでくれば誰だか察しはつくようなものだが。
そして、レミシアとディアはクロノリアにたどり着いた。
「ショートカット機能を一旦切ったままにした甲斐があったってところね。」
と、得意げに言う彼女に対してディアは項垂れていた。
「あのさ、珍しい鉱石だからと思ったら自分で持ってくれよ――」
そう、彼は荷物を持たされているのである。
「何よ? 重たいからあんたに持たせたんでしょ? なんかもんくある?」
あるに決まってるだろ……と言いたいところだが毎度のことなのでディアは諦めていた。
「それより、そろそろレイが祠から戻ってくるころよね――」
レミシアが言うとディアは考えていた。
「だな――再会というか、ある意味初対面というか……」
「あら? 初対面だったらいいんじゃない? そもそもあの2人って相思相愛なんだしさ♪」
確かに、それもそうか――ディアは考えた。