そして、アルティニアの港で各々は降りた。
「あんたも降りるの?」
レミシアが言うとスクライティスは言った。
「私もご先祖様はアルティニア育ちだからね。
帰るときは自分の足で戻ることにするよ、面倒かけたね」
「なんだかんだでいい旅だったな。
また機会があれば会うこともあるだろう」
マグアスはそう言うとレミシアは言った。
「そうね、そん時はくれぐれもクソ鳥呼ばわりされないようにきちんと表から入んなさいよ。」
それには流石のマグアスも反省していた。
「さてと……俺達はとりあえず、リミュールに行くかな――」
「そうだね! セレイナに会わないとね!」
リアントスとシュタルはそう言った。
「私も一度リミュールに戻ろうと思います。
ラーシュリナの様子も見に行きたいし――」
シャルアンはそう言った、ラーシュリナは実はとある用事で先に帰っていたのである。
「そう……。じゃ、半年後ぐらいに迎えに来ればいいわね?」
レミシアはそう言うとシャルアンは訊いた。
「あれ? レミシアは戻らないんです?」
レミシアは頷いた。
「ええ、そうしたいのは山々なんだけどね、
久しぶりに旦那君とカワイイガキンチョ共の顔を見に行かないといけないかなーって思ってね。
いくら各地をまたに駆けるようなお転婆女でも、流石にそれぐらいはねぇ……」
そうだったこの人、そういえば子供までいる人だったっけ。
「それもそうですね!」
シャルアンはにっこりとしていた。
「俺は姉様と一緒に行くからな。
聖獣としてやるからには流石にこのままじゃなあ――」
ディアは照れた様子で言うとシャルアンは再びにっこりとしていた。
「ディアさん! 頑張ってください! ディアさんならできますから!」
それに対してディアは頼もしい態度で「おう!」と答えた。
そして半年後――
「ふん、邪悪な気配もとりあえずなくなったようだぞ、エイドビアス――
これがお前の望んだ世界だろう?」
アルティニアの雪の山の上で一匹の鳥……聖獣ラグナスが黄昏ながら思っていた。
エターニスにて。
「とりあえず、俺らが聖獣としてやることはなくなったというわけだな」
リアントスはそう言うとセレイナは答えた。
「そうですね、とりあえず、戻りましょうか?」
その会話にシュタルは嬉しそうに言った。
「そうだよそうだよ! 早く戻りなよ!
私はずっと待っていたんだからね!」
それに対してリアントスは考えた。
「そういやあいつは何処にいった? ずっと精霊界から出てこないようだが――」
シュタルは言った。
「ロイドのこと? ロイドならもっと高い次元を目指すって言ってた気がするけど――」
リアントスは頭を掻いていた。
「そういえばそう言ってたな、ま、あいつは言うからにはやるからな……
俺は元人間だからこの次元で高みを目指すにはちぃっと荷が重いが、やつはそうじゃねえしな――」
「リアントスさんの分もしっかりやって来るって言ってましたからね!」
セレイナはそう言うとリアントスは頷いた。
「なら、この世界は安泰だな。
つっても、それには下につくものもきちんとしたやつが必要になる――
やれやれ、やることは多そうだな」
そうは言うも、リアントスはなんだか嬉しそうだった。
そして、リミュールの里――
「ミュラナ!」
シャルアンが彼女を出迎えていた。
シャルアンは以前は短いスカート姿だったが、
今ではプリズム族らしくロングなスカート姿で身を整えていた。
「シャルアン! なんだか見違えたわね!」
そう言われたシャルアンは済ましたような顔をしつつ照れていた。
そして、ミュラナの後ろからウェイドが照れたような態度で現れた。
「どうも、ご無沙汰してます――」
しかし、そういえば――
「あら? ラーシュリナは?」
ミュラナが訊くとシャルアンは残念そうに答えた。
「ええ、残念だけど一足違いね。
彼女は3日前にここから発ったばかりよ。
アルティニアの港から出ているからレミシアと一緒ね」
レミシアと一緒……うん? あれ?
「え、ディアと一緒じゃないの?」
ミュラナはそう訊くが、シャルアンは照れた様子で答えた。
「ええ、そのつもりだったけど、どうもそう言うわけにはいかなくって――」
どうしたのだろう? ミュラナは訊くと――
「だって、ディアさんが言うのよ、お前はもう一つの命を抱えているんだからその命を守っていてほしいって――」
えっ、まさかそれって――
「まあ! そうだったのね! 実は私もなのよ!」
何ィ!? まさか――
「ね、ウェイドさん♪ あなたはパパになるのよねぇ♪」
なんと!
「ま、まあ……そうですねぇ……」
ウェイドはますます照れていた。