ところが……
「そっか! つまりあんたを斃せばすべては丸く収まるってことだね!」
なんと、レイはそいつの目の前へとやってきたのだった!
「何っ!? 貴様!? 貴様らの時は奪ったハズ! なのに、どういうことだ!?」
そう、こいつの言うように、レイの時も奪われているハズ……彼女の足元にも魔法陣が現れている……のだが――
「残念だけど、私の時を奪うにはそれ相応の労力を伴うんだよ。何故って?
それはもちろん、私が今のクロノーラだからだね!
肩書上はクラナがクロノーラやってるけど彼女はあくまで片割れ……
でも、クロノーラ本体を担当しているのは私!
つまり私こそがクロノーラ! またの名を”時渡る翼”と呼ばれる存在なんだから!
お前ごときに時間を奪われる私じゃあないのよ!」
なんと! レイはクロノーラとして覚醒したのだった!
つまりはクラナはレイにクロノーラとしての座を明け渡しているのだった。
しかし……レイはクロノーラをやるにしてはあまりにも若すぎる身の上、
それはクラナもそうなのだが先代のクロノーラであるクラナがまだ生きているし、
何より、彼女はまだやる気……ゆえに、クロノーラの存在としてはクラナはあくまで本体であるレイの片割れとしてやっていくつもりなのである。
対して、レイはもはやクロノーラ……否、聖獣としても規格外もいいところの存在、
時を刻みし時の標すらをも味方につけたこの時代の英雄なりし者……
そう、時代は彼女を選んだのだ、真のクロノーラたる存在となった彼女を……。
すると、敵は……
「なるほど、”時渡る翼”とな……この世界にはなんとも厄介なものがいたものだ。
だがしかし……それがなんだというのだ?
少々計画倒れだがまあいいだろう……貴様に本当の闇というものを教えてやろう――」
すると、世界は徐々に闇へと……
「させないよ! この世界には光があるのだから!」
「そのようなものもすべて闇に染めてやる! さあ、見るがいい!」
「染まるもんか! ラーシュリナ! 私たちの力、見せてあげるよ!」
と、なんと、レイの剣が光り輝き、ラーシュリナの時を取り戻した!
「れ、レイさん!? わかりました! 行きますよ!」
彼女の太陽のコサージュとレイの月飾りが光り輝く!
太陽と月……この世界を幾年幾万と照らし出していた光がこの地を照らし出した!
世界は闇に染まらない!
「こっ、小癪な! だが、貴様らを斃せばよいだけのこと! 我が邪魔はさせぬぞ!」
こうして、真の最終決戦の火ぶたは切って落とされたのである。
「闇はそこかしこに存在する……さあ、これだけの数にどう足掻くというのだ!?」
真の闇は闇を召喚した! だが、しかし……
「だったら、光だってそこかしこに存在するよね! さあ、いでよ!」
レイは光を召喚! その場にレミシアの生霊のような存在が!
「ほう……その程度の幻影だけでどうするのだ?」
するとレイは……
「私は量より質だからね! だから最も強力な仲間の力でお前を斃す!」
「ふん……ならばやってみるがいい!」
すると、レイとレミシアの身体は一体化! 大空へと飛び立った!
「何っ!?」
真の闇は驚いていた。
「この姿は私の思い描く最強の姿!
私にしてみればとっても愛おしく、そして頼もしくもある至高の存在!
私にとっては何者にも代えがたい、まさに私の究極系にして最強の姿!
さあ……堪えられるものなら――堪えて見せろ!」
レイとレミシアの姿が合わさった存在……レイミシアは天空からものすごい量の聖なる力を発揮した!
「セレスティアル・メガ・フレアー!」
「なっ!? くっ、その程度で!」
だが――
「させません! あなたは闇へと還りなさい!」
なんと、今度はラーシュリナとセレイナの姿が合わさったお人が……印象はそこまで変わった感じではないが――
「<セラフィック・ゲート!>」
さらに天空の扉が現れると、中から神々しいまでの光が降り注ぐ!
「こっ、この力は……!? くっ、ガードが崩される……」
そして……現れた闇たちは次々と溶けてゆく……
「残りはあんただけね!」
「覚悟しなさい!」
レイミシアとラーセリナは真の闇の前に立ちはだかった――
「おっ、おのれぇ……っ! いつの日か必ず!」
「いつでも来いやぁ! そしたらまた別の誰かがあんたたちをボコボコにしてやる!」