同じところをぐるぐると……
「それで……なんか、エネルギーの元を除去したんだけどなんとも手ごたえのない感じがしたのよねぇ――」
ヴィラネシアは悩んでいた。
「俺達の行動はすべて読まれているってことになりそうだな……。
ということは――」
リアントスが言うとシュタルが得意げに言った。
「それはもちろん、そんなの相手だろうとはるかに上回るレミシア姉様の出番だよね!」
そういわれてレミシアは狼狽えていた。
「わ、私!?」
リアントスは呆れていた。
「ほかに誰がいるんだよ、天下のシルグランディア様だろーがお前……」
そう言われて彼女はなおも悩んでいた。
「……あのねぇ……。
ま、言われても手がないわけでもないけどさ。」
やっぱりか! それにはレイも期待していた、だが――
「それにはレイに一肌脱いでもらう必要があるけどね!」
指名されたレイだったが彼女はむしろやる気満々だった。
「あの子もどうなてるんだろうねぇ……」
彼女を見ながらクラナは唖然としていた。
「よーし! 暗闇の洞窟の前まで来たよ!」
「こっちはエネルギーの中心部に来たわよ」
レイとヴィラネシアはそれぞれ言うと、リアントスやラーシュリナも周りを見渡していた。
「俺らもいいぜ」
「私たちもOKです! いつでもかかって来なさい!」
その合図を受け取ったレミシア、彼女は頷くと、早速……
「いよっしゃあ! こいやぁ!」
何をしたかというと、あえてもう一周してきたのである。
例の飛翔体は強大なパワーを放出して彼女らを砲撃してきたのだが、
今回はそれを一旦やり過ごすと、そのまま無視して突っ切ってきたのである。
つまり、飛翔体は彼女らを追ってきているのである。
そして、クレーターのところまでそのまま誘導し、
下のほうに向かって何度か攻撃を加えると……そう、飛翔体は下から攻撃することでパワーを蓄えるため――
「いただきー!」
そのエネルギーを吸収したレミシアは、
今度はそのエネルギーをヴィラネシアにいるほうに向けて放出!
「大きいのが来たわ!」
すると、そこから例のエネルギー体の存在が続々と現れる!
「来やがったな! いくぜ!」
リアントスやラーシュリナたちでそいつらを抑えて時間稼ぎをしていた。
「レイさん! 早く!」
そして、その場でエネルギー体がたくさん留まっているうちに……
「エネルギーがあふれ出してきたわ! 今がチャンスよ!」
ヴィラネシアがクレーターの中でそれを確認すると――
「わかった! いくよ! うおおおおおおお!」
レイはフェイタル・クロニクルを振り切り、そして刃を暗闇の洞窟の中へと振りかざした!
するとなんと、クレーターの周囲にあったエネルギー体はすべて暗闇の洞窟の中へと放り込まれていった!
「なっ!? なんと!?」
マグアスは驚いていた。
「ほう、こんなことが――」
スクライティスも驚いていた。
「すっげー! 姉様、これは一体!?」
ディアは訊いた。
「時を刻みし刻みの運命の道標……
”時の運命の標”の力を秘めたあの剣だったら恐らくここのエネルギー体の進む方向を一時的に変えることができるんじゃないかって思ったわけよ。
でも、そのためには恐らく大量のエネルギーが必要……空間を破るほどのパワーがね。」
そう言えばこの空間に入るときも波動砲で大量のエネルギーを生み出していたっけ。
それに、10億年前もネシェラが実演していたと……既に破られている空間ゆえにそこまで大きなエネルギーを必要としなかっただけで。
そして、ついに――
「みんな! 離れて!」
レイが叫んだ、洞窟の中からものすごいパワーがあふれ出てくる!
その辺り一体は大爆発を引き起こし、あたりには粉塵が。
「やったか!?」
リアントスは警戒しながらその場を遠目から覗くと、そのままそこへと近づいていった。
すると、その場所からなにやら大きなものが――
「出たよ! こいつがそうだ!」
そこにはなんだかとても大きな塊が!
「まさか、これが!?」
そいつはまさに瓦礫のようなもの、それでもあからさまにこちらに対して敵意を持っているような感じだった。
「禁じられし災悪! 最終決戦だあ!」
レイがそいつの前に立ちはだかった。そして次々とそいつの前に立ちはだかる勇士たち。
いよいよ激突である――。