一行は意を決してクレーターの中へ。
そこには異形の物体が鎮座していた。
「デジャヴってやつだな、以前対峙した封じられし邪悪ってやつもこんな感じだった気がするな――」
リアントスはそう考えた、そいつはまるで枯れたような木でできたデク人形で、
それがどす黒く染まっている姿だった。
しかもそれがなんとも大きく、4~5メートルほどの大きさだった。
「……反応がないね、そもそもこれって生きてるのかな?」
シュタルはそう思いつつじっと見ていた、が、その時――
「いや、これは近くにいることは間違いないね、何とも嫌なものを感じるよ――」
クラナは身構え、マグアスとスクライティスも身構えていた。
「近くにいるのは間違いない! いや、むしろこれは――」
「これはマズイな、まさかそう来るとは――」
すると一同、その場から一度に離れると、そのままクレーターから飛び出した!
「こいつ!」
レイはそう言いつつ着地をした。
クレーターは急に装いを変えていくと、その中央に膨大なエネルギーが集中する!
「これが力だけの存在ってことね、実体を伴っていなくたって存在し続けられるって言う特権でもあるのかしら?」
「そういうことだな、面倒なやつがいたもんだ……」
レミシアが言い、ディアも呆れ気味に言った。
「危険な力が集中しています! みなさん、お気を付けを!」
「とんでもない敵がいるのね……」
ミュラナが注意しつつ、シャルアンも唖然としていると、ラーシュリナが――
「あれを! 何かが出てきます!」
クレーターの中央にあるデク人形が――
「異形の存在から一つの生命体が生み出されようとしています!」
と、ウェイド、なんとそれは人の姿を成し始めると、そいつはレイたちに向かって進んできているようだ――
「真打登場ってわけね、まさか、こんなの相手にしないといけないなんて――」
ヴィラネシアはムチを取り出しつつ身構えていた。
「なんでもいいがやるしかねえってことは確実ってわけだ。
なあ、クロノリアの長! 運命とやらは俺たちに味方してくれそうか!?」
リアントスはそう訊くとレイは得意げに答えた。
「もちろん! 運命は切り開いたもん勝ちだよ!」
切り開いたもん勝ち――
「なんだ、その程度のことだったら簡単じゃないのよ。」
レミシアは剣を構えていた。
「姉様は運命を簡単に切り開いていく女だからな。
なら、ついていけば簡単だな」
ディアは得意げに答えた。
「簡単だけどね、なんとも安直すぎやしないかい?」
「だが、それにしっかりと乗っかろうとしている我らという存在もいるわけだ」
クラナとマグアスも得意げだった。
「切り開き方は人それぞれってことですね。
それなら、私もついていきますか」
「私も元よりそのつもりだけどね、みんなも知っている通りだけどさ」
ウェイドとスクライティスも流れに乗ることにした。
「私はみなさんについていくだけです!」
「ディアさん! 私も行きます!」
「レイさん! みなさんを導いてください!」
そしてミュラナ、シャルアン、そしてラーシュリナが言うと、ヴィラネシアも――
「私がいるのはこいつを斃すためってことね! さあ、そろそろ覚悟しなさいな!」
奮起した。
しかし、相手は何とも得体の知れない相手、妙なエネルギー体が人型を形成しているが、
それ以上の造形の表現が難しい――それだけの存在なのである。
言ってしまえばエネルギーの塊だけの存在以外の何物でもない――というだけで表現可能な存在ではあるのだが。
ただし――
「なんかわからんが、こいつ自身からはそんなに大きなエネルギーを感じることがねえな。
こいつが本当に禁じられた災悪ってやつなのか?」
リアントスは警戒しながら訊いた、そう、そこまで強そうなやつではなさそうだということである。
「非常に邪悪な能力を持っている、それだけは間違いない。
確かに、拍子抜けするのもわかるが――」
マグアスが言うとクラナも考えていた。
「問題はこのまますんなりと斃しちまっていいのかどうかってことだね――」