先に進むほど闇も濃くなってゆく。
しばらくは暗黒の荒野が続くがどこまで伸びているんだろうと思いつつも先へ先へと進んでゆく。
おそらくだが、まだ亜空間の中だった頃の影響でもあるのだろう、不自然なほど広い光景がその場所には広がっていたのである。
あたりには濃くて黒い霧が立ち込め、レイたちの行く手を阻んでいる。
しかし、それでも彼女らは負けじと先へと進んでいく。だが――
「ちっ、行き止まりか、迂回するルートを探すしかねえな――」
リアントスはそう言った、そこには深い谷が広がっていた。
谷の底は赤々と燃えあがっているかのような様相で、まるで灼熱地獄のような光景だった。
すると……
「あそこに橋があるよ!」
レイは気が付いた、谷の上にかかっている不安な橋が見えたのだった。
「嫌な予感しかしないねぇ……」
シュタルは悩んでいた。
橋の太さはとりあえずそこそこに幅があるのだがそれでも不安だった。
一応そこそこに頑丈なつくりなのだが灼熱地獄の上に架かっているだけあって不安であることは変わりない。
すると、その不安は的中し……
「出たな! ぶっ飛ばしてやる!」
と、ディアは前傾姿勢で構えていた、魔物である。
だが――
「やれやれ、とんでもないところに来ちまったもんだな。
面倒しないうちにさっさと片づけるぞ」
と、リアントス……背後からも魔物が襲い掛かってきた!
「へぇ、挟み撃ちだなんてなんとも卑怯な作戦ねぇ。
ま、もっともそこまでしないと私らには勝てないんだから仕方がないけど?」
と、レミシアは得意げにいうと、リアントスがさらに言った。
「そいつは間違いだ、正解はそこまでしても俺らには勝てねえって話だな!」
最後の戦いへの幕開けはこうして始まったのである。
なんとか魔物を片付けているも、今度は上空に……
「なんだありゃ!?」
魔物のようなものの影が。ディアは気が付いた。
「撃ち落としてえが聖獣の力が制限されちまってて飛ぶことができねえな、仕方がない。
ハバリウス! しっかりと付き合ってくれよ!」
と、リアントスは自分の得物に言い聞かせつつ、上空の物体に対して矢を射た。
が――
「なんなんだあれは!? 撃っても撃っても落ちないぞ?」
マグアスは驚いていた。それに対してリアントス――
「ちっ、おそらく文明の利器系のやつだな、確実に生物じゃねえ……」
その時、その物体がレイたちの頭上に来ると、下のほうから――
「魔力が集中している!? やばい! みんな、逃げるんだ!」
と、クラナは慌てて叫んだ。だが――
「おっ、大きい!? すごい力が飛んできます! みなさん早く!」
クレアはすぐさま気が付いた、あんなの浴びたらひとたまりもない!
しかし、無情にも――
「来ましたよ! こうなったら……」
と、ミュラナは魔法バリアを構えようとするが……
「んな一介のバリア程度じゃあ無駄だ! ネシェラ! お前だけが頼りだ!」
と、リアントスは叫んだ! するとレミシアは……
「ネシェ……うわあもう! だったらやってやろうじゃないのよ!」
レミシアはそのエネルギーに立ち向かった!
「さあ、こいやぁ!」
レミシアは剣を避雷針に見立ててその場で天高く構えた!
膨大なパワーがレミシアの剣に集中する!
「はあああああああ!」
レミシアは膨大なエネルギーに耐えている!
「嘘だろう!? どうなっているんだい!? あれだけのエネルギーを――」
「バカな……一介の生物が、あれほどのパワーに耐えているとでもいうのか!?」
クラナとマグアスはその光景を見て唖然としていた――
「なるほど、これこそがレミシアさん……これこそが伝説のプリズム・ロードの系譜の方ということなのですね――」
「すごい、本物だ……」
「レミシア、すごい……」
ラーシュリナ、シャルアン、ミュラナの3人も唖然としていた。
そして、その力を受け切ったレミシアは剣を振り下ろしつつ――
「ふぅ……ったく、こんなか弱い女性に対してこんな攻撃をするだなんて……
見上げた根性の飛翔体ね。」
と、得意げに言った。
「やっぱりレミシアお姉様ってすごーい!」
「流石はレミシアお姉様! かぁっこいい!」
「やっぱりすごいです! レミシアさん!」
レイとシュタルとクレアは感動していた。
「レミシア姉様にはかなわねーな……」
「あははっ、まったくだねぇー」
「ほう、か弱い女性……随分とまた哲学的なことを言うな」
ディアとスクライティスとリアントスは呆れていた、リアントスは圧倒的に正しい。