ということで、早速レイは次なる行動に出た。
その場で留まっていても何も出ないというのなら話は簡単、
アレを追うだけである、そう、”運命の標”である。
すると、そいつは再び姿を現した。
「あの光! また出たなー! 今度こそ捕まえてやる!」
だが、
「えっ、あれ? 逃げないの!?」
なんと、”運命の標”はその場で留まっていた。
そして――
「なんだ? この間から私を追っているのは誰だ?」
えっ……なんと、”運命の標”の方からレイに語りかけてきたではないか!
そして、”運命の標”は急に人の姿を成すと……女の人だ、
美人……プリズム族に通づるものがありそうな人だがその表情は険しかった。
「あっ、えっと……」
レイは話をした。
レイの言うことを聞いて女性は考えていた。
「なるほど、私の導きとやらによって”イセリア=シェール”に会えたということか。
それによってレイの生きている時代にまで大きな影響を与えたのだな?」
そういうことになる。だが、今回は……
「亜空間……やはり、連中はこの世界とは別の空間から狙っているのだな――」
なんと、彼女はそういった連中を何とかしようと考えているのだという。
ここで出くわしているのもそうだが、明らかにただものではない――
「私はフェリンダ=フローナル、運命の精霊としての役割を務めさせてもらっている」
フェリンダ=フローナル! その存在はレイも知っていた、
運命の精霊様……確かに美人様で、レミシアよろしく気性の激しい女性で彼女以上に男勝りな高級精霊様だ。
「とにかく、場所はなんとなく把握できた、だから現世に降り立ってことを成し遂げるしかないわけだが――」
だが、高級精霊様となると、まだ器がそこまで大きくなくてコントロールも可能なシュタルならともかく、
彼女は器が大きいのでは? それにより――
「知識はあるようね、そう、転生する必要があるというわけだな。
それにより、私は人間界において幼子の状態からスタートせねばなるまいが――」
それに対し、レイは得意げに話した。
「だったら私に任せてよ!
頼りになる仲間だっていっぱいいるしさ!
それに私は次期クロノーラ候補のレイ=オンティーニだからね!」
そう言われてフェリンダは落ち着き払った態度で答えた。
「フッ、どうやらそれが賢明な判断らしい。
既に諸悪の権化の目前まで迫っているというのであればお言葉に甘えるとするか。
だが、亜空間との境目の障壁か……」
フェリンダは考えた、どうにかならないものだろうか? すると――
「いや、それは恐らくバリアではなくて、空間同士の次元が僅かに異なるためだろう。
お互い、次元の異なる空間同士に出入りすることができないために壁があるように感じるのだ。
そのためにはまず、次元の異なる空間であるという概念を覆すしかないな――」
なんか、難しいことを言っているようだが、レイは僅かながら理解していた。
しかし、問題はそれをどうするかである。すると――
「こういう時に頼れるのが真の天才という存在だ。
ローアの刻にもアーカネリアスの刻にも、そしてレイの時代であるアークデイルの刻にもその者がいる、
だからまずはその者に頼ってみるのが一番だろう」
まさか、その人は――
「あれは単なるこの世界の一住人という存在ではない、
確実に我々とは違うものを持っている。
”彼女”からは特別なものを感じるだろう?
そもそも言動から不可解だ――ゆえに”異世界からやってきた存在”――
いや、”神のいる世界から生まれ変わった存在”と表するのが相応しいことだろう――」
なんと! まさかそんな人だっていうの!? すると、フェリンダは首を振って答えた。
「いや、これはあくまで私のカンだがな。
とにかく、レイのために道を開くことにしよう――その者の祖であるローアの刻のその人物の元にな――」
すると、彼女は杖のようなものを取り出すと一振り、大いなる光が放たれ、レイはその光に包まれた――
レイは気が付くと、どこかの宿屋の前にいた。
「あっ! ここはもしかして!」
レイは見覚えがあった、それもそのはず――
「ったく、やれやれ……勇者だか何だか知らんけど、面倒な役を引き受けちゃったわね――」
と、宿屋から誰かが出てきた――イセリア=シェールだ!
「ん? あれ? レイじゃん! どう? 元気してたー!? また私に甘えに来たのカナ~!?」
「もちろん!」
……をい。早速それかよ。