リアントスは訊いた。
「お前、どうしてここがこうなっているのかわかっているんだろ?」
ガトーラは首を振った。
「いや、具体的にはさっぱりだよ。
ただ――悲鳴みたいなのは聞こえてくるよ、この地で生活しているものが一瞬にして葬られてしまった――
しかし、それ自身は世界崩壊後だとあちこちで聞こえてくる、だから悲鳴はここだけに限ったことではないんだ。
とはいえ、確かに――」
確かに、ここからの悲鳴はもはや嘆きに近いものであると、この場所に訪れることではっきりとわかるのだそうだ。
「何か悪い者によってこの場にとどまっている思念が封じられているようだ――
それが負のオーラを作り出し、このあたり一帯に滞っている――
見ることはもちろん空気で感じることもないけど、とにかくよくない何かがここにはいるんだ――」
そして、それが原因でここには町みたいなものが根付かずに忘れられた地のような状態になっているというのだそうだ。
「そんなのがクロノリア山の麓にあるなんて――」
レイは悩んでいた。
「それで、どうすればいいの?」
レイは訊くとガトーラは答えた。
「簡単な話だよ、力をぶつければいいんだ。
特大の力をぶつければそいつは目を覚ます、そして入口を開けてくれることだろう――」
わざわざ起こさなくたってとは思うのだが、
それでも寝ている状態でも災いをもたらす思念が送られ続けているのであれば、それは見過ごしておくことはできないか。
すると――
「よーし、そうと決まればさっさと始めようかね!」
クラナは前に出ると杖を構えた。
そして、一行は次から次へと膨大な魔力を発揮してシュリウスの地にぶつけていた。
「本当にこんなんで現れるのかしら?」
レミシアは訊いた。
「できればもう少し大きなエネルギーがぶつけられればいいと思うけどね」
ガトーラは答えた。するとレミシア――
「なるほど、なら、いいものがあるわね!」
レミシアは何か大がかりなものを持って戻ってきた。
「あれ? 姉様!?」
ディアは気が付いた。レミシアはリアカーに何かを載せて戻ってきていた。
それはあの船に積載していたデバイスであり、
今はクロノリアの発展貢献のためにクロノリアに置いていたのである。
そして、それを今度はシュリウス遺跡へと持ってきたのだった。
「なるほど、デバイスのパワーを使えばもっと高い出力のエネルギーがぶつけられるな!」
「ええ! 早速とりかかるわよ!」
「しゃあ! やるぜ!」
そして……
「みんな! お願い!」
デバイスはシュリウス遺跡の入口に堂々と設置された、
もはや遺跡を直接砲撃せんと言わんばかりに堂々と砲台兵器が置かれていた。
「200年前に世界戦争が起き、”テラ・フレア”の発動で世界にはすさまじいエネルギー波が襲い、全てが滅び去ってしまった。
だけどここはクロノリアのフィールドの影にもなっているせいで受けた影響が少なく、
潜んでいる悪は世界崩壊にも気が付くことなくそのまま眠り続けることとなった。
200年前の世界戦争のせいで人々の負の感情も生まれやすくなっており、
それによって潜んでいる悪の負のオーラの影響を受けやすくなることでランゲリルに一つの悪が現れた――」
ガトーラはシュリウス遺跡でのその状態を見ながらひたすら語っていた。
「だが、そのランゲリルの悪は時代のクロノーラによって封じられた。
しかし、それはあくまで一時しのぎ、世界崩壊の影響を受けてさらに人々の負の感情が高まるにつれ、
潜んでいる悪の負の思念がより強固なるものへと進化していくとランゲリルの悪は目覚めることとなる。
だが――それは時代の英雄たちの手によりとりあえず退けられた――。
すると、時代の英雄たちは今度、その諸悪の権化たる潜んでいる悪をうち滅ぼすために立ち上がった――
”禁じられた災悪”という名の諸悪の権化を斃すために――」
レイたちはその砲台兵器に力を込めていた。
「電影クロスゲージ明度20! セーフティロック解除!
対ショック、対閃光防御! エネルギー充填……120%だ! 臨界崩壊が始まる! 姉さん!」
ディアはそういいつつデバイスをしっかりと抑えていた。
「オッケー! みんな! 行くわよ!」
そして――
「波動砲、発射!」
とてつもなく濃縮された超高密度な魔法エネルギーがシュリウス遺跡に襲い掛かる!
……なんて兵器作ってんだよ、世界破壊したのはお前らか。