ということで、一路まさかのクロノリアへとリターン。
それからというもの、レイは試練の祠へとこもっていた。
「あら、あなたの主人はずっと祠にいるのね?」
レミシアはそう訊くとラーシュリナは答えた。
「そうなんです、レイさんはずっと祠にいるんですよ。
私はそんなレイさんの留守を預かるクロノリアの魔女でございます。
何か御用がございましたらレイさんの代わりにお受けいたしますわ♪」
なんともいい感じに落ち着いたもんだ、レミシアも嬉しかった。
ん、そういえば――レミシアは周囲を見て気が付いた。
「そういえば、ウスラティスとボロ雑巾を見ないわね、どこに行ったのかしら?」
シャルアンが答えた。
「はい、あの人達ならヴィラネシアさんを連れてシュリウス遺跡に――」
というと、その言葉にレミシアと、その場にいたリアントスとシュタルの3人が激しく反応した。
試練の祠にて――
「レイ! クレア! 返事して!」
2人は誰かに呼ばれているようだった。
「レイ! 返事して!」
まただ。誰だろう……レイは祠の中であるにもかかわらず、
誰かに無茶苦茶甘えていた――胸が大きくて柔らかい、とってもいい香りのお姉さん――
「レイ! いい加減にしろ!」
うわああああ! レイは我に返った。
「あっ、あぁっ……」
レイは涙を流しつつ、遠ざかっていくそのお姉さんの存在を惜しんでいた。
「あらあら、時間切れかぁ……それじゃあまたね、レイ――」
うん……レイは沈んだ様子で言った。
「ったく、あれが噂の”イセリア=シェール”って女かい……
本当にレミシアそっくりだね、あんなのに会えるなんて本当にすごいわね」
それに対してレイは怒り気味に訊いた。
「そんなことより! 何の用だよ! 修行中なのに!」
今のはどこが修行なんだ……クラナは呆れていた。
「レミシアたちがとんでもないことを思い出したのよ。
それでレイとクレアを連れて行こうと思って呼びに来たんだけど――」
だが、クレアは――
「うぇーん! うぇーん! 痛いよぉー! うぇーん!」
クレアはクラナに抱きかかえられ泣いていた……ここの足場はとにかく最悪のようだ、
泣く頻度はほかの場所よりも高く、泣いている時間も少々長い……レイは悩んでいた。
ドミナントにて、マグアスがウェイドに話しかけていた。
「おや、どうしましたか? そろそろクロノリアに戻ろうと思っていた頃でした」
マグアスは改まっていた。
「いや、どうやら現地集合だそうだ、なんだか思い当たることがあるらしい。
場所はシュリウス遺跡だ、良ければ一緒に行かぬか?」
そこへミュラナが現れた。
「わかりました、シュリウスですね! ウェイドさん、行きましょうよ!」
そして、一同はシュリウス遺跡へと集結した。
「何かありましたか? どうしたんですか一体!?」
ウェイドは訊くとレミシアが話をした。
「ええ……ガトーラが言ったこと、まさにここが当てはまる場所なんじゃないかって思ったのよ。」
なんだって!? マグアスは訊いた。
「言われてみればまさにシュリウスがそうだな、ここは滅びの地、
200年前の世界崩壊は言うに及ばずだが、この地はそれ以前からも何故かこのままの状態で永らえている、
これは確かに、どういうことだろうかさっぱりわかっておらんな――」
リアントスは前に出て言った。
「ああ――ここは俺らが生まれた10億年前からこんな状態で、
それからずっとこのままの光景で全く手が付けられていない。
いや、手を付けているのかもしれんが、まるで忘れられた地のごとく10億年このままだったな」
ヴィラネシアも前に出て言った。
「確かに……私の持つ記憶でも、
ここは70億年前の”グローナシア”と呼ばれる時期を境に何物も栄えているような感じがまるでないわね――」
70億年も……それに対してマグアスが言った。
「ん、70億年前の”グローナシア”って、我ら聖獣という存在が現れ始めた時期の話だな、何か関係が?」
クラナは考えた。
「ふん、もしかしたら何かあるかもしれないね。
しかも随分と大昔の話――これは訊いてみるしかなさそうだ」
すると、その場にガトーラが現れた。
「お前!」
リアントスはもんくありげに訊こうとしたが、ガトーラはすかさず言った。
「言っただろう、私の力はあくまで噂や言い伝えだけを伝聞するだけの役割だと。
だからそれがシュリウスだということまでには結びついていないんだ、勘弁してくれないか?」
なんとももどかしいやつである。