それにしてもセレイナが見当たらなかった、それは?
「リアントスったら! もう! 本当にすごいパパだよね!」
パパって……まさか!
「リアントスお前! まーたセレイナを妊娠させたのか!?」
レミシアはまるで喧嘩を売るかのような態度でリアントスに迫ってきた――それにはリアントスも悩んでいた。
「……不覚にもあんなことになっちまった……」
それにはヴィラネシアが得意げに答えた。
「ウフフフフッ、いいわねぇん♥
やっぱりイケメンは最高よねぇん♥」
なんとも嬉しそうにしている彼女、レミシアは気が付いた。
「なるほど、そういうこと……。
この女の色香がリアントスをそうさせているみたいね。
以前にリアントスの心をムチで縛っていたでしょ? その影響よ。」
ラーシュリナは頷いた。
「なるほどです、男の人をその気にさせたということですね。
本来なら誘惑対象として誘惑してきたヴィラネシアさん本人に依存するところですが、
リアントス様はセレイナ様一途ですからセレイナ様を見るといてもたってもいられなくなってしまったと……
そういうことですね!」
頼むからそんなことをマジメに説明しないでくれ――リアントスは切に願っていた。
「しかも妊娠させたんですよね!? リアントス様ってば、セレイナ様と何回されたんですか!?」
と、シャルアン……だから、なんでそんなことをマジメに訊いてくるんだよ!
これだからプリズム族は……リアントスは切に、切に願っていた、もうその話はやめてくれと。
「まあ! リアントス様ったら! セレイナ様が羨ましく思いますわ♪」
と、ミュラナ……だからいい加減にやめて……リアントスは切に、切に、切に願っていた。
「ほう、それは……」
レイはニヤっとしていた、こいつもやっぱり男だなぁ……と。
無論、そんな目で俺を見るな――と、リアントスは切に、切に、切に、切に願っていた。
それにしても、他所の女からどんな色仕掛けを食らおうとも自分の愛する妻を求めようというこの男……
それはそれで女性陣が食いつくエピソードである。
「ほほぅ……リアントスと、麗しき美神セレイナ様が子沢山な理由はそういうことだったのねぇ♪
麗しき美神セレイナ様の下僕様ってのは大変なのねぇ♪」
レミシアは嬉しそうに言った、やめろ……リアントスは切に、切に、切に、切に、切に願っていた……
聖獣レジアを取り巻く環境はプリズム女が多い環境ゆえに彼は結局そういう行動をとりがちになる……必然のものか。
リアントスと麗しき美神セレイナ様との夜の営みの話はこのぐらいにして。
「で? 今度は何をすればいいの? そもそも邪悪っていうのは去っていないんでしょ?
それに関係ある話?」
レミシアは言うとヴィラネシアは頷いた。
「恐らくそういうことになりそうね。
ま、この辺は世界を管理するものや聖獣っていうあんたたちのほうが詳しいんでしょうけど――」
クラナは答えた。
「どうだかねぇ? この世界にはいろんな悪が潜んでいるとも言うからねぇ。
確か、そう言っていたよね? ”封じられた邪悪”っていう巨悪以外にもなにかしらの巨悪がいるって――」
それはクレアの話だった。
「はい、私たちは以前に”封じられた邪悪”というのと対峙しました。
ですが……それ以外の巨悪の影響があると思いますので、
そいつを何とかしないことにはと思うんです」
なるほど――レミシアは頷いた。
「創造主が乗り出すほどだからまさに存在が禁じられたものであり、
世界を災禍に陥れようというやつがいるってわけね。
だから転じて”禁じられた災悪”……とでも名付けておきましょうか。」
流石はお姉様です。
「お姉様が言うんだから、精霊界にもその名前で通せるようにしておこっと♪」
シュタルは考えていた。
ただ、問題はその”禁じられし災悪”というのがどこにいるのか、である。
「ランゲイルにはいないのですか?」
ウェイドは訊くとヴィラネシアは答えた。
「どこにいるって特定できるものではなくってよ。
ランゲイルにはたまたま影響を受けやすいジェラレンドがいただけのこと、
悪の根源たる存在がその悪の波動を受けやすいやつに飛ばしてしまえば世界を陥れることができるだけのことなのよん♥」
なるほど……ウェイドは納得した。
「純粋に根元からぶったたけって話なのね。
問題はその根っこがどこにいるのか――」
レイはそう言うと、クレアが言った。
「こういう時に仕事をしてくれませんか?」
それはスクライティスだった。
「おぉ、言われてみればそれもそうだね。
だけどどうしたもんだか、知っての通り、
キミの時代のスクライト=ティルフレイジアに比べたら私の力なんて大したことないんだよ。
つまりは――そういうことだよ」
リアントスは上からものをいうように訊いた。
「だったら足りてないものをさっさと教えるよ? 何をすればいいんだ、こんの獄潰しめ……」
獄潰しは考えた。
「オッケー、いい質問だ。
だけど、残念だが私の力だけではどうしても足りない、言ったようにスクライト=ティルフレイジアではないからね。
こういう時は伝道師に訊いてみるのが一番だろう」
ということで、一路ガトーラの元へ……アーケディスだ。