善は急げとはよく言ったもんで、さっそく行動に移していたレイ一行。
「私がこの船に結界を作って留守をしよう」
スクライティスはそういうとクラナは呆れていた。
「ったく……面倒くさがりだね、別にいいけどさ」
すると早速船に結界を展開したスクライティス。
「まだ障壁に入る前だぞ? 早すぎないか?」
マグアスは訊いた。
「そんなことはないよ、入ってから展開するんじゃ遅い、敵に船の場所を感づかれる。
入る前に張っておくことで敵からの目くらまし効果が高くなるんだ」
そういうことか、マグアスは納得した。
「準備オッケーってわけね、突入するわよ。」
レミシアは巧みな操縦さばきでランゲイル島へと接岸した。
改めてランゲイル島へと上陸することになったのだが何者も襲ってくる気配がなかった。
だが、上陸地点はなんでもなかったが、島の中へと近づくにつれてとんでもない光景が。
「こっ、これがランゲイル島!?」
レイは驚いていた。そこには廃墟と化した黒々しいビル群がそびえたっていたのである。
「まさに世界崩壊直後そのものといったところか……」
マグアスも唖然としていた。
「こんなんが故郷とは思いたくないもんだ」
リアントスは皮肉っていた。
「さっさと行こうぜ」
リアントスはそういいつつビル群の中に突入していった。
「ふーん、これは……」
ディアは考えていた。
「姉様、どう思う?」
レミシアに促した。
「闇の眷属の仕業……って感じじゃないわね、
根拠はもちろんアーケディスのような――」
ディアは頷いた。
「てことは……やっぱり世界崩壊のあおりを受けただけの光景か――。
言ってしまえば、世界崩壊からほぼそのままの状態を保っているのがこの地だってことか。
ということはつまり――」
レミシアは頷いた。
「ええ、もしかしたら邪悪が眠っている原因がわかるかもってところね、
もちろん、敵がその原因をそのままにしていればの話だけど。」
ディアは考えた。
「この島の中だけ当時から時が止まっているんだな」
まさに人々に忘れられた地ということか。
そして、次第に魔界のような光景が……
「あれを見て!」
いきなり空は暗々としており、さらには何やら血のような赤い太陽のようなものが――
「あれはなんだい? さしずめ、魔界に通ずるゲートって感じだけど――」
クラナはその光景を見上げて言った。
「いわゆる邪悪な力の波動が干渉しあってあんな光景が生まれる、つまり敵はあそこにいるってことだな。
言ってしまえばあれは結界といったところか。
俺はそれを打ち破るためにいろいろとやってきたが、すんでのところでヘマをしちまったからな」
リアントスは言うとさらに続けた。
「もとは結界の守りには3体の大きな魔物がいたんだがそのうちの2体はすでに俺が破っている。
残り1体をやればいいってことなんだが、その守りが少々手ごわい相手でな、
どうやらフェザー・ブレイドの本懐を拝む前にその相手と対峙することになりそうだ」
なんてことだ、お預けか。
とにかく、どんな相手だろうか。
「イーグル・ガンの技を以てしても強敵と言わしめる魔物とは見ものだな」
マグアスはそういうとリアントスは悩みながら言った。
「そりゃあそうだろうな、なんたってそいつは伝説に名を遺す存在だからな」
そ、そんなにやばい魔物だというのか!? すると――
「どうやら早速おいでなすったようだな、ぬかるなよ――」
そんな、結界を守るような魔物自ら堂々と前に? そういうのは守りを破られまいと秘匿するのでは?
「だが、こいつに限ってはわざわざ秘匿するような必要がないんだ、なぜか?
言ったろ? そう、伝説に名を遺す存在だからだ」
すると、そいつは徐々にその姿をあらわにした、空中には大きな蛇のような竜とでも言わしめる存在、
そう、かつてはこの世界にも表れたとされるかの破壊の悪魔……
「ちょっと待った! まさか――」
クラナは驚いた。
「そうだ、そのまさかだ」
リアントスは早速ボウガンを構えていた。