船のメンテナンスが終わると早速出港、ランゲイル島へと急ぐことにした。
南の海へと出ると、あとは東に船を走らせるだけでランゲイル島が見えてくる。
しかし、その島には何やら不穏なものが見えてきた、それは――
「あれは何!?」
レイは訊いた。あからさまにバリアのようなもので、島を薄い膜が覆っていた。
それはクロノリアを覆うフィールドのようなものなのかもしれない。
「晴れているとくっきりとバリアが見えるな。
しかもクロノリアの新フィールドと違ってしっかり目視できるとか……」
ディアはそういうとレミシアは悩んでいた。
「なんだ、どうした? まさか、この期に及んで越えられぬわけではあるまい?」
マグアスは上げ足を取ろうと厭味ったらしそうに聞くとレミシアは答えた。
「案外目で見えた方がいろいろと良心的かもしんないって思ったのよ、
クロノリアに戻ったら改めて考えようかしら?」
マグアスの策略は露と消え去った――彼女をやり込むのはどうやら難しそうだ。
そして、レミシアはうまい具合にグレアレンドの港、アーケディスから南の方にある港町に船をつけると、
一行は一旦夜を明かすために宿をとることにした。
翌日、再び船に乗り込むと、船はそのままバリアの中へと突っ込んでいった!
「そ、そんなことして大丈夫!?」
クラナをはじめ、何人かはうろたえていた。
「デバイスの力でバリアの力は抵抗できるから大丈夫よ。
このバリアについては以前お父様たちが測定していたデータがあったから、
それを解析した結果を基にデバイスを作りこんであるのよ。
原理的には多分イーグル・ガンのそれと同じようなことをするハズだから恐らくこれでいけるハズよ。」
すると――
「あっ、あれ!」
ミュラナは指をさしつつ驚いていた、なんと、島を覆っている薄い膜は船から遠ざかるかの如く退かれていたのだった。
「邪悪なる気配の魔力が遠ざかっているのを感じます、デバイスというもののおかげでしょうか?」
ラーシュリナはそう訊くとレミシアは頷いた。
「とりあえず、第一関門突破ね。
これはまだ始まりに過ぎないんだから、次は何とかしてイーグル・ガンを探すわよ。」
こんなのやれて当たり前……作った本人はこれで甘んじることなく気を引き締めていた、職人道恐るべしである。
だが、イーグル・ガンを探すのはさほど苦労しなかった。
それもそのはず――
「もしかして、あれですか!?」
気が付いたのはシャルアン、船を島伝いに走らせていると、なにやら機械の塊のようなものが大地に突っ伏しており――
「なっ!? イーグル・ガン!?」
マグアスは驚き気味に言った。レミシアは慌てつつも島に船をつけた。
即座にタラップを展開すると、彼女は真っ先に島へと降りた。
彼女を追ってみんながついていく。
レミシアがその機械のがれきの山のところまでやってくると、勢いよく剣を抜いた!
「早く回収して! 都合のいいところで引き上げるわよ!」
レミシアはその機械のがれきを背にしてその場に立ちはだかった!
すると、彼女の前の方から魔物の群れが――
「ちっ、こんな時に……ウェイド、マグアス! 手伝ってくれ!」
ディアはそう叫ぶと2人は機械のがれき……イーグル・ガンをなんとか船に運ぼうとしていた。
「おっ、重たいですね! さすがに無理ではありませんか!?」
ウェイドはそういうとマグアスが言った。
「やれやれ、世話の焼ける聖獣だ。クラナ、頼んでいいか?」
クラナは杖を掲げると――
「ほれ、一時的に重さを抜いてやった、3人でうまく運びなよ」
なにやら魔法でその通りの効果を与えたようだ。
そこへマグアスが聖獣の姿となるとイーグル・ガンの身体を文字通りのわしづかみをして持ち上げた。
その下からディアとウェイドがゆっくりと船の方へと運んで行った。
そしてシャルアンとミュラナ、スクライティスがしっかりと誘導していた。
一方でレミシア、レイとラーシュリナとクレアの4人は魔物と対峙していた。
「このっ!」
レイは大きなドラゴンにも似たような魔物をボコボコにすると、
そのままラーシュリナの元へと勢いよく蹴り飛ばした!
「お任せください! えいっ!」
ラーシュリナは炎魔法剣を浴びせると、今度はクレアの元へと吹っ飛んだ!
「行きます!」
クレアは剣を取り出してその魔物を切り刻んだ!
そしてその場を離れると――
「行くわよ! アビスまで吹き飛びなさい!」
レミシアは狙いすまし、必殺の銃弾でその魔物に祈りを込めて打ち込んだ!
そして、そのまま魔物は思いっきり爆散! 周囲の魔物もろとも巻き添えにした!
「今のうちに退きましょう! さあみんな!」
シャルアンがその場にやってきてそう言うと、4人は足早に船へと乗り込んだ。
船は逃げ出すように出発し、島を離れた。
だが、魔物の追手は厳しく、空を飛ぶ魔物は船へと――
「姉様! エンジン・ブーストの準備ができてるぞ!」
ディアは大声で言うとレミシアは――
「オッケー! ファイヤー!」
コントロールレバーを力いっぱい引いた!
船の背部にバーニアが展開すると、バーニアから思いっきり火が噴出し、船は全速力で遠ざかっていた、
さすがの魔物もそれに追いつくことができなかった。