一路、そのままプリズム族の里リミュールへ。
だが、男たちはアルティニアの港で待ちぼうけである。
男たちと一緒にシャルアンとミュラナが残っていた。
「みなさんどうも!」
早速セレイナが迎えてくれた。
子供は2年前に生んでおり、今は子供たちは家でお休み中なんだそうだ。
「イーグル・ガンと話がしたいんだけど……」
レイがそう訊くとセレイナは頷いた。
「すみません、まだ帰ってきてないんです。
もう既に1週間は経っているのでそろそろ帰ってくるんじゃないかと思うんですが――」
いつもなら大体1週間程度で帰ってくるらしいが今回はどうやらそういうわけにはいかないようだ。
「それは心配だね――」
レイはそういうとセレイナは考えた。
「こんなこと、以前にもありました。
あの時は大けがをして帰ってきたんです、だから今回は――」
するとクレアがすぐさま反応した。
「セレイナさん! 大丈夫、大丈夫だから!」
「クレアさん――」
セレイナの目はうるんでいた、クレアはセレイナを優しく抱きかかえた。
「だーもう! イーグル・ガンは何やってるんだい! ったく、自分の女を泣かせるなんてひどい男だねぇ!」
クラナは苛立っていた。
「飛ぶのはお嫌いだというのにもしものことがあれば飛ぶしかないですかね――」
ラーシュリナは憂い気に言うが、クラナは……
「それができないから困っているんだ。
そもそも私が飛ぶのが嫌いになったのはあの島のせいだよ」
そうなの? レイは訊いた。
「あの島から邪悪の波動とでも言うべきものが出ていてね、言ってしまえば障壁……バリアだよ。
それに阻まれて海に落ちたことがあって、それ以来だよ――」
なんとも厄介な理由だった、つまり、そもそも島に渡れないということか。
「でも、イーグル・ガンは?」
レイは訊くとクラナが答えた。
「あいつの身体は半分が機械装甲だからね、障壁による妨害なんてものともしないのさ。
つまり、あの島にわたることが出来るのはあいつだけって事になるね」
なんとも面倒そうな。そうなると船という選択肢も――
「いえ、船なら出せるわよ?」
レミシアは得意げに答えた、本当!?
「私はアトローナシアの職人だからね、不可能を可能にするのが仕事よ。」
かっこいい!
翌日、レミシアは早朝に里を発った。
どうやら陸伝いにアトローナシアへと渡るには時間帯が関係しているらしく、
彼女は足早に出て行ったのである。
港でウサギを回収してアトローナシアへと行くようだが、島の場所的にはちょうどアルティニアの港の西あたり、
一応近場ということになりそうだ。
レイたちはセレイナが生んだ子供たちと一緒に遊んでいた。
既に成人していない子もいるらしいが自分よりも小さい子も多く、
レイは面倒見のいいお姉さん気取りにふるまっていた。
そして、それから3日後――シャルアンが里へとやってきて知らせを受けると、
レイたちは港へとやってきた。
「よっ、お嬢さん――」
ウサギはめちゃくちゃかっこつけていた。
「船を工面できたのはお姉さまのおかげでしょうが」
レイは冷たく言い放つとウサギは照れた様子で答えた。
「それはそうなんだけどね……でも、俺だって――」
「もういいから、船のある所に案内しなさいよ。お姉さまから大目玉食らいたい?」
レイは呆れたように訊くとウサギは悩んでいた。
「それは一番嫌だな……早く行くか――」
港には何とも豪華な船があった。
その全長はまさかの32メートルと、中型船舶免許あたりは必要そうな代物である。
これは……?
「定期連絡船として使うつもりの船よ。
でも、それだけじゃあ”魔の島”への上陸は悩むところだからね。
そこでシールド・デバイス……”魔の島”への上陸を可能とするための装置とでもいうべきものを使って向かってくる敵を返り討ちにしようっていうところよ。」
まさかの”魔の島”への上陸の準備が整ってしまっていた。
「とにかく、まずはなんとかイーグル・ガンの安否を確認しに行くわよ。それでいい?」
レミシアはそういうとクラナはうなづいた。
「そうだね、そうしてもらえると助かるよ」
ということで、こうして魔の島へと渡る準備が整ったのである。