クロノーラ・クロニクル

第4章 古の時代との邂逅譚

第62節 運命は巡る

 レミシアは悩んでいた。
「ネシェラ=ヴァーティクス……会ったことがあるのね……。」
「はい! ネシェラさんはまさにレミシアさんみたいなすごく素敵な女性なんです!  彼女には本当に助けられました!」
 クレアは嬉しそうだ。
「素敵な女性……本当か?」
 マグアスはしかめっ面で訊いた。
「あっ……男性の間では賛否両論ですね、彼女は主に女性陣の間では大人気なんですよ!  まるで女勇者そのものって感じですね!」
 典型的な女性にモテるタイプの女性ということか、ディアは納得した。
「確かに、姉様はアトローナシアはもちろんつい最近もいろんな男共をボコボコにしているからな。 あのエロジジイのナイザーだって病院送りにしているからなぁ……」
 そこまでしてねえよ、レミシアはローテンションで答えた。
「でも、よくそんな女が子孫を作ることに成功しているわね、私も他人のことを言えた義理ではないけどさ。」
 ミュラナは頷いた。
「ホントだよ! レミシア! 能力使うときは殺意満々で使わないの!  男の子たちが嫌がるでしょ?」
 どういう意味? レイが訊くとクラナが答えた。
「純粋に、誘惑魔法を使う際の注意だろ。 自分自身の気持ちを乗せることで異性をその気にさせる……精神に働きかけて相手を虜にするのが誘惑魔法の能力の根源なのさ」
 気持ちを乗せることでより効果を増すということか、レイは納得した。 が、その気持ちの乗せ方がレミシアの場合……
「なるほど……レミシア姉様にしてみれば男なんかボロ雑巾かゴキ●リみたいなもの、 そんなの相手に媚を売るなんてことはしないで直接ぶん殴って言うことを聞かせようって腹だから――」
 と、レイは考察しながらレミシアを見ると、レミシアは得意げに答えた。
「ふふっ、流石はレイね、その通りよ。」
 ミュラナは呆れていた。
「いや、じゃないでしょ、レミシアってば……」
 だが……
「やっぱりレミシアさんって素敵です!」
「レミシアさんほど素敵なプリズム族はいませんね!」
 ラーシュリナとシャルアンは目をキラキラさせていた。
「やっぱりレミシア姉様って素敵!」
「わーい! またネシェラさんに会えたみたいですごく嬉しいですー! 本当に素敵!」
 レイとクレアも目をキラキラと輝かせていた。
「これがシルグランディアの女児ってやつですねー」
「歴史は繰り返すとはよく言ったもんだ」
 スクライティスとクラナはぼそっと話をしていた。

 ある日のこと、レミシアはクロノリアの広場から銃を構えて遠くを狙っていた。
「すごいものを持っていますね! 銃というものですか!?」
 クレアは訊いた。
「ん? ええ、そうよ――」
 クレアは間髪入れずに訊いた。
「もしかして、”フェイズ・ガン”と呼ばれるものだったりします?」
 そう言われて彼女は構えるのを辞めて答えた。
「そっか、ある程度の文明を知っているのね?」
 クレアは頷いた。
「ふぇいず……」
 レイは首をかしげているとレミシアは気さくに話をした。
「所謂”光線銃”と呼ばれるもの……イメージで言うと光魔法を打ち出すものとでも言えばいいのかしら。 とにかく高出力のエネルギーを光として打ち出すものなんだけど、 超高密度のエネルギー弾となると外傷を与えることすら可能になるのよ。」
 そんなことが! レイは驚いていた。
「でも――それには、アークデイルの文化でなせるものなんですか?  文明が滅ぶ以前なら可能かもしれませんが、モーターを回すのがせいぜいなこの情勢で――」
 クレアはそう訊くとレミシアは得意げに答えた。
「そこでこいつに利用しているのが魔法の力そのものなわけよ。 つまり、こいつはイメージで光魔法を打ち出しているんじゃなくて本当に光魔法を打ち出しているってワケ。 魔法だからつまり弾数は私のエネルギーそのもの、お休みすれば弾数無制限ってわけね。 構造上はフェイズ・ガンそのものを流用して作っているから物理的弾頭を打ち出す仕組みになっているけど、 これを再現するのに偉く時間をかけたわね。」
 機械と魔法の融合……このあたりも彼女ならではのアイデアというわけか。
「ついでだからクロノリア伝統の”雷光の石”を使ってカスタマイズしていたのよ。 それで今は試し打ち――」
 と、レミシアはおもむろにトリガーを引くと――
「なっ!? なんだ今のは!?」
 マグアスが驚いていた。
「ちょうどいい的があったから御覧の通りよ。」
 なんと、遠目にいた魔鳥を打ち落としてしまっていた、その様にマグアスは恐怖していた――
「お姉様すごーい! スナイパーみたい!」
 レイは感動していた。
「ありがと♪ でも――イーグル・ガンが銃器を使っているところは見たことないわね――イーグル・ガンなのに……」
 レミシアは考えているとクレアは答えた。
「イーグル・ガン……”リアントス”さんはもともとボウガン使いですし、 恐らく銃器を使った文明の時代はずっと修行をなされていて知らないんじゃないですか?」
 リアントス? マグアスによると、それがイーグル・ガンの本当の名前らしい、 どうやらクレアは彼とも10億年前から知り合いなのだそうだ。
「あらら、なんだかもったいない聖獣様ね。 でもま、聖獣様なりの戦い方ってのがあるわけだから、ケチをつけたらダメかしら?」
 それはなんとも。

 お次は剣を出したお姉様。 どういうわけか、ウサギ相手にガチのバトルを展開していた。
「ふん! このっ! 死ねボロ雑巾!」
「このっ! オラァ! 今日こそ死ね!」
 お互いにとてつもない太刀筋(ウサギは槍だが)、 そしてお互いにすごい身のこなしで攻撃を避かわしていた。 どうやらお互いに火が付いたようでこんなことに……そんな光景に一同唖然――
「こんなの毎日やってたのかい……」
 クラナも唖然としていた。 話によると、2人の間ではこの戦いは昔からの日課なんだそうだ。 いや、昔からって、2人の関係は――
「親戚だって言っていましたね?」
 ラーシュリナは言った、親戚なのか。