なんだかんだでアルティニアへとたどり着いた。
道中の魔物はそこまで手強くなく、さほど問題にはならなかった。
「レミシアお姉様ってすごい武器持ってますね!」
レイは彼女を絶賛していた。
「これは世界崩壊前にもあったっていう”ライフル”というものよ。
使い方は狙って打つだけだけど、弓矢やボウガンとは全然比べ物にならないほど精度の高い代物よ。」
と、レミシアは言った、今のアークデイルでそんなものを持っているのは彼女ぐらいのものだろう。
だが、そんな火器を用いている割には――
「一昨日きやがれ! こんのゴキ●リ共めが!」
悪漢を片っ端から殴り倒している……。
「みんな大丈夫?」
しかしその時……
「ウヘヘッ! このデケェおっ●いはこのオレがもらったァ!」
レミシアの背後から悪漢が襲い掛かった!
「はぁ!?」
と、レミシアはさっと身をかわすとカウンター! 棒切れを用いて思いっきり悪漢のドタマを打ち飛ばした!
「ブハァッ!」
「お前! 余程死にてえようだなぁ!」
もはや恐怖でしかない。
「ひっ、ひええええ! どうか、どうかお助けを!」
「断る! お前ら辞めろっつっても辞めねえだろうが!
そんなんに、なんで私が一方的にはいそーですかって引き下がらなきゃならねーんだよ!
おら! どうしてだよ! 答えて見ろよ! このウジ虫が! おい! なんとか言ってみろよ! なあ!
お前らには地獄に落ちる前にどういう場所なのか生きている間に教えてやる!
地獄って言うのはなあ! こういうものをいうんだよ!」
断続的に悪漢をボコボコにしているが、その光景をマジメに見ているのはやはり女性陣であり、
男性陣はもはや地獄絵図のその光景から遠ざかっていた。
「いい気味です!」
「ホント! 最低ね!」
「レミシア! もっとやっちゃって!」
ラーシュリナとシャルアンとミュラナは頭に来ていた。
「……やってることはおっそろしいけど、言っていることはとりあえず真っ当ね――」
「レミシアお姉様! もっとやっちゃえー!」
クラナは唖然としているが、一方でレイは嬉しそうだった。
宿を取った後、レミシアはまだイライラしていた。
「あー! あともう2,419回ぶん殴らないと気が済まない!」
怖っ。するとそこへディアが――
「ねえお姉様ぁ♪ ちょっと聞きたいことが……」
だが、ウサギは6発ぶん殴られた……。
「あと2,413回!」
マジメにカウントしてる……。
「男に襲われた時、いつも割を食っているのは彼女なのよね、
私らなんかは彼女にいつも助けられているからそれは嬉しいんだけど――」
ミュラナは言うとレイは悩んでいた。
「お姉様自体も結構男にイヤラシイ目で見られるような見た目してるもんね、胸大きいしさ……」
しかしその時……
「だったらその分だけレイが穴埋めしなさいよ!」
へっ……レイはレミシアに襲われた!
「なっ……うぎゃあ!」
「このこのっ! こいつぅ! お前なんかこうして! こうしてやるぅ!」
レミシアはレイをしっかりと抱きしめると――
「こっ……これはっ!」
レイはレミシアの胸の中で――
「わぁい♪ レミシアお姉ちゃんだーい好き♪」
「ったく……レイったらしょうがない子ねぇ。」
楽しんでいた、あんたいろんなお姉さんに甘えてるな。
「ゴメン、ラーシュリナ、レイのことちょっとだけ借りるね。」
そう言われてラーシュリナは答えた。
「えっ!? あっ、はい! レミシアさんの気が済むまでどうぞ!」
「ああ、頼むよレイ……このままだと最悪死人が……真っ先に俺が死ぬ……」
ウサギはまさにボロ雑巾のようなボコボコな顔で言った……
いや、あそこまでやってまだ誰も死んでいないのは奇跡としか言いようがない。
翌日、レミシアに連れられて一行は武器屋へと直行した。
「こっ、これはレミシア様!」
「よ。言うまでもないけど周りの美女にちょっかい出したら……」
「もちろん心得ております! 流石にまだ死にたくはないですから!」
と、相手の男は冷や汗をかいていた。
「工房ですか!?」
「他に何かある?」
「では、こちらにどうぞ!」
ということで工房へと入ると、そこはまさしく鍛冶仕事の作業場が。
「うおっし! やるぞ!」
レミシアは作業用のエプロンをし、髪の毛をポニーテールで結ぶと金槌を取り出した。
鋼の状態を眺めつつ、頃合いを見計らって鍛冶仕事をこなしていた。
「……俺も見てたらやりたくなってきたな」
と、ディアも参戦! ウサギが鍛冶仕事というのもなんだか斬新な気がする、
そもそもレイたちにとっては鍛冶仕事というもの自体斬新なんだが。