ようやく元凶の話が見えてきた、
そいつは”七色の魔女”と呼ばれる存在で、
このあたりの猛者たちと共にこのあたり一帯を蹂躙している……ということらしい。
「魔女とは厄介ですね。魔女によって世界が支配されていた時代もあったようですが――」
ウェイドは考えていた。それはなんだかやばそうな感じだ……。
しかし、そのバリケードの町のバリケードは魔女の取り巻きによる仕業ではないのだそうだ。
「えっ!? この壁をこんなにボロボロにしたのは住民自ら!?」
わけが分からなかった。なんたってその第3勢力たる魔女の軍勢からの攻撃を守るべく、
住民自らがやっとの思いで作り上げてきたバリケードなのに自分たちの手で破壊するだなんて……。
「わけがわからないいよ!
なんだか知らないけれどもそこいらにいた何人かの仲間たちが急に雄たけびを上げたと思ったら、いきなり壁を壊し始めたんだ!
しかも、みんな壊すだけ壊すとそのままどっかに行っちまった……何がどうなっているんだよ!」
他にももがっくりと肩を落としている住民たちもおり、みんなショックを受けてどうかしてしまいそうな感じだった――
魔女だなんてなかなかヤバイのが相手になりそうだ。
避けて通ろうと思っていたレイたちだが、どうやら避けて通ることはできないらしい。
それは雷光の石が取れそうな場所というのが今はその第3勢力、
つまり魔女の軍勢がアーケディスを根城としているのだそうだ。
となると魔女との対決は避けられない可能性が高い……どうしよう。
「七色の魔女って言うけど、どうやらその七色の光を発するやつなんだそうな。
その光に見入ってしまった者は魔女の言いなりになるんだってさ」
以前のファルステッドまで戻ってきた一行。
どうもファルステッドでもこのわずかな間に”七色の魔女”の話が広まっていたようだ。
ディアは自分で集めた情報をまとめて話した、魔女の言いなり――
「まるで誘惑魔法みたいだね、本当に誘惑魔法かなんかなんだろうけど厄介な敵になりそうね――」
クラナはため息をついた。
誘惑魔法か……誘惑魔法といえばプリズム族――レイはラーシュリナのことを思い出していた、彼女は元気だろうか。
「つまり、その魔女の言いなりになってしまった町民が魔女の命令で壁を壊してしまった、ということでしょうか?」
ウェイドはそう言った。
「それしか考えられんだろう。
つまり、敵の数はかなりの数だということか。
これまでの道中で聞いた名うての剣士もおそらく魔女の下僕……敵の強さにも注意せねばならんということだろう」
マグアスは追い打ちをかけるようにそう言った、なかなか苦しい戦いになるかもしれない。
「皮肉なことに、その魔女の勢力のおかげで盗賊団もほぼ壊滅しているって話も聞いたわね――」
クラナはそう言った。ただ、それだと盗賊団が魔女に変わっただけでしかない。
翌日……既にお察しの通り、ファルステッドの宿屋のベッドはクラナには厳しい環境なので以下略ということである。
だがしかし、目の前のヤバイ敵を前にしていることと、前の町の惨状のこともあってか珍しくクラナは我慢していた。
とはいえ、機嫌が悪いことに関しては変わらず、しばらくは何も言うことなく無言で過ごしていた。
そしてバリケードの町、よくよく考えればあの町がアーケディスの入り口にある町と言える場所だった。
それもそのハズ、彼らがバリケードで封鎖していたのは町を守るためではなく、アーケディスへと通ずる森の街道を封鎖するためだったようだ。
それに気が付いたのはファルステッドに戻ってきて話を聞いてからの事、
とはいってもバリケードの町で宿が取れない以上はより近いファルステッドで宿を取ってからアーケディスに向かうしかないのだが。
魔物の集団をかいくぐって進んだ。
魔女の軍勢らしき相手も確認できず、以前はたまにごろつきや盗賊みたいなのとは出くわしたこともあったけれども、
今回の道程ではそれもなかった、魔女の支配が行き届いているのだろうか。
ちなみになんだけれども、マグアスの担当は遠隔攻撃タイプで、魔法による攻撃が主体である。
クラナとの波状攻撃で敵が大体接近する前には斃されている――
といってもレイとしてはむしろ楽な方が好都合なんだが。
ってか、なんなんこの主人公。怠惰にもほどがあるだろ。