「クロノーラ様!」
クレアは試練の祠の近くまでやってきた。
すると、そこにはいつぞやのお年をそれなりに召した女性が立っていた。
「来たようだね。
それじゃあまず、これだけは守っておくれ。
あんたは今後、私に対してクロノーラ”様”とは呼んではいけないことだ」
えっ、どうして!? クレアは驚いていた。
「そりゃあ……あんたに呼ばれるのは違うからだよ。
よしよし、そうと決まったら、まずは改めて自己紹介からだ。
私の名前はアミラ=オンティーニっていうんだよ」
えっ、オンティーニってまさか――クレアは重大なことを聞かされたのだった。
「……というわけさ。
いいね? そうと決まったらあんたは早速これから修行をするんだよ?」
「そっ、それはいいのですが、アミラはどうなるんですか? もし、私が――」
「私のことは気にしなくたっていいんだ。私は限界が近い、長らく生きているからね。
もうそろそろいい加減に休ませてほしいよ。だから――今度はあんたが役目を果たすんだ、いいね?」
そんな――と思うが、相手はもう休むことを望んでいる――止む無しか――。
「そうと決まったらあんたは早速修行を開始するんだ!
当然、クロノリア式でやってもらうことにするよ! この試練の祠で早速始めるんだ!」
しかしその時――
「ひゃあ!」
またしてもクレアは顔面から激突!
「うえーん! 痛いよぉー!」
本当に大丈夫だろうかこの娘……アミラは頭を抱えていた。
スクライトはソファにゆっくりと座った。
「ふう、やれやれ――こんな能力を持っているって言うのもあんまり楽じゃないもんだね――」
そう言いつつ、何やら絵の額縁のようなものを目の前に置いた、その物体は枠だけしかない――。
「もっとも、この能力を持っているからこそ守れるものもあるんだけどさ。
仕方がない、これが自分の役目と思って務めを果たそうか――」
すると、その枠には何やら映像のようなものが――
「やあ! 待っていたよ! こうしてキミたちが来ることは分かっていたよ!」
なにやら急にリラックスをしたような態度で話を始めていた。
「それはとてもいい質問だね! ロイド君! ……えっ、違う?
ああそっか、ごめんごめん、似たような知り合いがいたもんだからね、
ついついね――今のは忘れてくれたまえ」
いや、誰と間違えているんだよ。
そして――歴史は繰り返す! とある前触れの刻において――
「まったく、こんな年頃の可愛い女の子相手にこんな酷いことをするなんて、見上げた根性の……ね。」
「貴様、この俺に傷を負わせたようだが、その程度でこの俺を倒せると思っての所業か?」
「あーあー、初対面相手に上から偉そうにムカつくやつね。
てかさ、どーせ弱っちいんだからさ、そんなに無理して難しい言葉使わなくてもいいと思うのよ?
あなたもそう思わない?」
「えっ、えっと……その……」
「ほう、この俺を弱いと抜かすか、これは面白い女だ。
身の程知らずが――まあいい、死ぬ前に教えてやろう、
この俺こそが最大にして最強の使い手――」
「はいはい知らん知らん。なんだか知らんけど、そろそろ気が済んだでしょ?
まあ、私はあんたみたいな弱者と違うから最初に忠告しといてあげるけどさ、
痛い目見る前にさっさと帰った方が身のためよ。
でないと――この娘をこんな目にあわせたんだからね、容赦しないよ。」
さらにとある果ての刻において――
「おっ、お母様、気を付けて、そいつは――」
「大丈夫だ、こいつのことならよく知っている。2人とも、その娘を頼んでいいか?」
「知っているだと? 何を言っているかさっぱりわからんな。俺は……」
「ああ、そうだろうな。
貴様は1,000年前にこの私に深手を負わせたやつ――お前が今切り飛ばした娘のようにな。
だが、そいつは始末された……お前が今切り飛ばした娘によく似た女によってな――
だから貴様自身に恨みはないが、それでもお前があいつだというのなら――
あの時の雪辱、ここで晴らさせてもらう!」