アーカネリアス・ストーリー

第7章 アーカネリアスの英雄たち

第231節 さらなる脅威

 クリストファーもとい邪悪なる者はまさに異形の化け物へと姿を変えていた。
「ローアの時代はイセリアとかいう英雄気取りに阻まれ、グローナシアではフレアという精霊に邪魔をされた。 それは我がこの世界に対する理解が及んでなかったから起きた過ち…… そう、我は学んだのだ、この世界には我の邪魔をせんとばかりの連中がいくらでもいることを。 今回はそのどちらにも連なる存在がいるようだがどうやら我は恵まれているようだ!  今回こそはすべての準備が整っているのだ! 貴様らのような虫ケラを滅ぼすための準備がな!」
 邪悪なる者の始原の炎!
「なっ!? うわああああ!」
 ロイドにクリーンヒット! 焼きつくした!
「なんてことを!」
 ライアはロイドを心配して駆け寄った――
「いけません! バリアです!」
 サイスは慌ててアルクレアにバリアを張り直した!
「そのような小細工を並べたところで我の魔法の前では無力! <デストロイ・バースト!>」
 そして今度は破壊の雷!
「いやああああ!」
 アルクレアに直撃! 彼女はその場で崩れた……
「なっ!? なんてこと――」
 セレイナは身構えていた。
「とんでもない魔法の出力、これが邪悪なる者の真の力だって言うの……!?」
 ネシェラは邪悪なる者の攻撃を避けながら様子をじっと見ていた。
「貴様こそがあの英雄気取りに連なる存在! 貴様が一番目障りなのだ!  さあ、消え失せるがいい!」
 すると、ネシェラはいきなりその身を拘束された!
「しまった!」
「さあ今度こそは逃がさぬ! <ローア・ディストーション!>」
 ネシェラに対して極大エネルギーが集中し、彼女の身を破壊する!
「いやあああああ!」
 大爆発! そして彼女の身は地に落ちた……。
「ネシェラさん!」
 セレイナは焦って彼女の元へと駆け寄った!
「セレイナ! 危ないよ!」
 それに対してシュタルは焦っていた。
「クッソー! こうなったら!」
 シュタルの電光石火の早業! だが――
「<絶界!> 大地よ! 砕けよ!」
 シュタルのいる場所の大地が崩壊した!
「きゃあああああ!」
「さて、これで仕舞いとしようか――<スター・ダスト・ジェネシス!>」
 今度は暗黒の空から無数の隕石が降り注いだ!
「うわああああ!」
 流星の騎士団は全滅した――

 だが――まだ、望みはあったようだ。
「くっ、こんなところで、こんなところで負けるわけには……」
 シルルは踏みとどまっていた、まだ辛うじて立っている――
「運命の精霊か、そういえば貴様が一番しつこかったな。 ローアでは相対しそびれてしまったが――いずれにせよ、邪魔な存在だということはわかっている。 そう……あの時の、60億年前のフレア=フローナル……人間の男と共にこの我を滅ぼそうとしたのだ!」
 シルルが言った。
「当時の当事者ではないからはっきりとしたことは言えんが―― だが、これだけは言える、滅ぼそうとしたのはお前が悪さをしたからだ。 なんと言っても貴様は邪悪なる者……この世界を闇に落とそうなど裁かれて当然のこと、 つまりは自業自得というやつだな。 それを逆恨みされるいわれはないな、おとなしく死んでいてもらおうか――」
 するとシルルはミスリル・ブレイドを両手に構えて邪悪なる者に立ち向かった!
「はぁっ! このっ! せいやっ!」
 シルルは邪悪なる者を押していた! だが――
「甘いわ!」
 邪悪なる者は始原の炎で薙ぎ払った!
「うわぁっ!」
「さあトドメだ! 死ねぇ!」
 そして破壊の雷!
「うわあああああ!」
 シルルに直撃してしまった――
「ふん、他愛のない……」
 と、邪悪なる者は得意げに佇んでいたが――
「ほほう……なんともしぶといようだな、 そうか、運命の精霊か……クリストファーでいる間の記憶によれば、貴様は相当にしぶとい存在だったな……」
 なんと、シルルはまた立ち上がった!
「ああ……そうでなければ運命の精霊なぞ務まらぬのだ――」