アーカネリアス・ストーリー

第7章 アーカネリアスの英雄たち

第230節 完全連携攻撃!

 だが――ネシェラには秘策があった、それは――
「”理”は完全じゃないわね、 完全だったら私たちがこの世界にきて魔物に立ち向かえているハズなどないし、 私のこの力だって確実にこいつに打ち砕かれている――つまり――」
 ロイドは頷いた。
「少なくとも勝機はあるってことだな。 まあいい……どんな相手だろうがそれだけ分かれば十分だ!」
 ロイドは剣を握りしめるとクリストファーに立ち向かった!
「ああ! 行くぞ、ロイド!」
 アレスも立ち向かう!
「それだったらただの強いだけの敵ってことでしょ!? だったら楽勝じゃない!」
「そのとーり! 私たちにやれないことなんてないんだから!」
 ライアとシュタルも立ち向かった!
「そうとくれば敵の激しい攻撃を抑えるのが私の役目ですね!」
「私にもやらせてください!」
 サイスとセレイナは魔法バリアを張った!
「ふう、やりがやったな――10倍にして返してやるぜ!」
「さあ、覚悟しろ!」
「覚悟しなさーい!」
 さらにリアントス、シルル、そしてアルクレアは敵に立ち向かった!
「たとえ完全でなかろうと貴様らに私を倒すことなどできはしない。 さあ、かかってくるがよい!」
 クリストファーは始原の炎を再び放った!

 なんとかギリギリに立ち回りつつも、9人はクリストファーを攻めていった!
「食らえ! <エクスター・フェニックス!>」
 そこへサイスが――
「させません! アルクレア、お願いします!」
 と言うと、彼女が魔法の矢面に!
「サイス!」
 そしてサイスは念じると……
「<メガティック・マジック・バリア!>」
 絶大なる守護方陣をアルクレアに展開! すると始原の炎は彼女の身体へと吸収された!
「なっ!?」
 クリストファーはそれに驚いていた。 するとそこへライアが現れ、その炎の力をロイドとリアントスに分け与えた!
「私よりも2人に託したほうが賢明ね!」
 それにはクリストファーも慌てて体勢を整えて構えるが――
「あまーい! その程度のことで!」
 シュタルが即効でクリストファーに仕掛けた!
「シュタルさん! 私の力を受け取ってください!」
 と、セレイナがシュタルにパワーを与えると――
「オッケー! いっくよー!」
 シュタルはものすごいスピードでクリストファーを翻弄し、体勢を崩させた!
「ふん!」
 そしてそこへシルルが立ちふさがるとクリストファーに激しい一太刀を浴びせると転倒!
「うぉっし! ロイド行け!」
 リアントスはクリストファーめがけてショット! スキだらけのクリストファーめがけて必殺の一撃を浴びせた!
「このやろっ!」
 ロイドはクリストファーの身体を勢いよく切りかかった!
「くっ……小癪な……」
 と、ここでクリストファーは防御魔法を唱えてバリアを張って抵抗するが――
「そんなものが通用すると思ってか!」
 ロイドはバリアをも粉砕する激しい一撃を浴びせた!
「ぐはぁっ!」
 そしてそこへネシェラがすかさず――
「団長! 出番よ!」
 アレスに強化呪文を与えると、彼は――
「さあ、これで終わりだ! ブレイブ・ストライド!」
 聖なる力をまとった剣の一撃がクリストファーの身体を雷撃のごとく貫いた!
「ぐはぁっ!」
「やったか!?」
 その光景にアレスは期待していた。すると、クリストファーは――
「ふっ……くくくくくっ、流石は時の英雄たちとやらか……見事な連携だったぞ。 だが――私はその程度で斃すことはできん……」
 と言い残してその場で朽ち果てた……。すると――
「こっ、これは……!?」
 急に地鳴りが……地面から何かが隆起してきた!
「そうか――クリストファーの姿は言わばただの人形、 つまり邪悪なる者本体は別にいるってことだったのね――」
 ネシェラは肩を押さえながら言った、そいつは木でできたような大きなバケモノであり、 そのフォルムはまるで伝説の悪魔と言わんばかりの異形の姿だった。
「ユグドラが世界の”理”というのならこの私自身が世界の理となろう…… これはそれを実現しようと試みた成れの果て……。 ユグドラの力を得たはいいが”理”の支配は完全には至らず、中途半端な形となってしまった……。 だが、それでいいのだ――この姿こそが闇の世界に相応しい者の姿!  そして実世界を闇に閉ざし、この偽りの世界の姿へと移し替えれば我が悲願は達成されるのだ!  そして貴様らは、そのための生贄となるのだ!」
 邪悪なる者との戦いはまだ続く――。