流星の騎士団は最後の戦いへと赴くことにした……。
アーカネル騎士団は彼らを見送るため、ミストガルド山の西口で整列していた。
アーカネルの騎士たちは山道へと登っていく流星の騎士たちの後姿をその目に焼き付け、
彼らの勇士を讃え、そして武運を祈っていた……。
そして一行は例の破壊の灯の前までやってくると――その炎は前にも増して燃えているような気がした。
その目の前にロイドがやってくると――
「ロイド! 頼む!」
アレスはそう言うと彼は頷き、破壊魔剣ティルフィングを引き抜くと願いを込めて炎を断ち切った!
「どうだっ!」
すると、その場には急に異様な空間が広がり、洞窟全体を飲み込むかのようだった……。
このままではこの空間にこの世界が飲み込まれてしまうだろう……と、なりそうだが、
そこは世界の守り神たる聖獣のお力により、不用意に広がらぬようにと抑えられているのである。
「”封印の篭”と2つの石は私が持っていよう。
必要な時に退避用の亜空間を展開するから邪悪なる者の始末は頼んだよ」
スクライトはそう言いつつ流星の騎士団を見送っていた。
「頼むわね、こういう時ぐらいしか役に立たないんだからさ。」
ネシェラはそう言うとスクライトは頷いた。
「そうだね、これこそが私がやるべき使命のようだ。
でも……無理しないようにね、心配だったら一度戻ってくるといい――」
そんな様子にサイスが言った。
「おや、意外にも心配してくださるのですね」
スクライトは頷いた。
「そうさ、これでも性根は心配性なんだ。
なぁに、時間はいくらでもあるんだ、斃せると踏んだ時に挑めばいいよ」
どういうことだ? ロイドは訊いた。
「私は時空都市クロノリアから来ているからね、その気になれば試練の祠を開放することも可能だ。
時空都市の祠だから試練を受けている者の時間をちょいと細工することができるんだ、つまりはそう言うことだよ。
ただ……それでも斃すべき敵は決まっているから、もし、敵が強大過ぎて歯が立たないようだったら――」
だが、アレスは首を振った。
「大丈夫です! 俺たちは、どんな悪にも決してひるんだりしません!
今までこの仲間で戦ってきたんです、だから、仲間を信じて立ち向かうだけです!」
そう言われてスクライトは嬉しそうに答えた。
「そうだね、訊くだけ野暮だったよ。
そうとも、自分たちのこれまで戦ってきた力を信じて行くといいだろう。
さあ、そうと決まったら行ってくるといい――」
亜空間内はまさに闇の空間とでも言えばいいのだろうか、何とも暗々とした空間が広がっていた。
周囲はまるで何も見えないが、そのうち開けた場所へとやってきた、そこは――
「なんだ!? 洞窟の外に出たのか!?」
そこは山道の上のようだったが、なんだか様相がおかしい――
「それにしては暗いな、夜って感じでもなさそうだが――」
ランバートはそう言った、なんだか自分の肌とだいたい同じような褐色の空と地面が周りに広がっていてなんだか不気味な光景だった。
太陽みたいなものこそ出ているが、その日の光もまるで暗い闇を照らしているようだった。
「なるほど、これがつまり闇の世界ってわけね、邪悪なる者が実現しようとしている――」
レミアンナはそう言うとネシェラが言った。
「私たちの光の世界を破壊してこの亜空間に広がる闇の世界こそを真の世界とするべく動いていたのが敵の狙いだったってわけね。
精霊石やら鏡やらでいろいろとやっていたのはこのためだったってわけか――」
しかしその時――
「おい! みろよ! すげー魔物の数!」
スティアは山の下を眺めつつ、その光景を指さして言った、ものすごい轟音と共に魔物たちの群れが――
「亜空間から俺たちの世界にあんな魔物を移転する方法でもあるのかもしれないな、
見ろよ、あれはキング・ベヒーモスだぞ……」
ロイドはそう言った。
そいつの群れが広い暗黒の荒野で群れを成していた。
その場所はまるでアーカネルかアルクラド大平原がある場所にも似ていた。
「……あり得るな、これは早く邪悪なる者を止めねばなるまいな。
さて、やつは何処にいるもんか――」
シルルはそう言うとセディルが答えた。
「表の世界と同じような地形ということなら、
もしかしたら表の世界のエターニスがある場所にいるのかもしれません。
表の世界はまさにエターニスから世界が形作られたはずですのでもしかしたら――」
なるほど、アレスは言った。
「なら、それならここから”彩りの大地”方面に行こう!」
そして全員覚悟を決めた。