しばらくして、レミアンナがティンダロス邸のリビングにいた。
クレメンティルとの激闘の折に連中と対峙していた彼女――
「くっ! 貴様ァ! 何のつもりか! 裏切りおって!」
「裏切るですって? 何を言っているのかしら?
私は常に自分にとって都合のいいほうの味方よ?
もっとも、ネシェラ執行官がいる以上、私は彼女の味方にしかならないんだけど?
あの方が男だったらそれこそ本当に言うことなかったんだけど――ま、そこまで贅沢はできないわよね♪」
レミアンナはその当時のことを思い返していた。
「魔族に生まれてきたのは間違いだった、ずっとそう思っていたんだけど――
今は全然そんなこと考えなくなっているわね――」
彼女にとってネシェラという存在はあまりにも大きすぎた。
ある日のこと。魔物の襲来も続々と、レミアンナたちは戦いに駆り出されていた。
「まったく……性懲りもなくやってくるわね!」
そんな彼女だが、まずは弓矢からの牽制に加え、
しなやかな身体を活かした身のこなしからの剣撃と、なんともスマートな戦いをこなす存在であった。
「レミアンナ様……美しい……」
「レミアンナ様……ああっ、あの方と一緒に戦えるなんて――」
そして一緒に戦っている男どもは見惚れていた。
気を付けなければならないのは彼女はネシェラの取り巻きであることである。
だが、その時――
「ウガアアア!」
倒れていたはずの魔物が急に彼女に襲い掛かる!
「……えっ!?」
だが、そこへ――
「燃えろおらぁッ!」
ダーク・エルフの剣士が爆炎を放った一撃を放った!
「ったく! 手間をかけさせんじゃねえッ! おとなしく寝てろ!」
そいつはランバートだった、彼はレミアンナの前に立つとそのまま魔物を攻撃、魔物はそのまま息絶えた。
「危ねぇ危ねぇ……大丈夫か?」
そう言われてレミアンナは戸惑っていた。
「あっ……いえ、その……ありがとう――」
ランバートは得意げに答えた。
「いいってこと!
さてと、んなところに魔物がいても邪魔だからな、処理しちまうかな。
おい! そこのお前ら! こっちきて手伝え!」
ランバートはそう言いつつ、先ほどレミアンナに見惚れていた男どもを呼び寄せると魔物を処理するように言った。
「あっ、あの……私……」
レミアンナは恥ずかしそうに言うとランバートは答えた。
「今の、やばかったろ?
戦いはまだ続くんだ、ここは俺らに任せてゆっくり休めよ」
言われた通り、彼女はティンダロス邸まで戻ると休んでいることにした。するとそこへネシェラが――
「あらレミアンナお嬢様、ちょうどいいところに♪ お洋服の仕立てが終わりましてございます♪」
ネシェラは調子よく言うと、レミアンナは嬉しそうに反応した。
「まあ♪ 今度の服はどんな服なのかしら♪」
その服装はなんと――
「じゃーん! プリズム・ドレス・レミアンナ・エディションでーす♪」
それはプリズム族が着ているような控えめなお嬢様のような服装――
なのだが、大胆にもやっぱりスカートにはスリットが入っており、
さらには大きなバストが形成している谷間もしっかりとさらけ出しているようなとてもセクシーなものだった。
「あら♪ なんとも素敵なものを考えるじゃない♪」
ネシェラはにっこりとしていた。
「レミアンナって案外控えめな女性だからね。
服装のほうは我こそはラミア族を主張して、実の性格はシルエットで表現するのがいいのかなってね。」
そう言われてレミアンナは照れていた。
「やっ、やだ! 私ってそんな!?」
ネシェラは嬉しそうに答えた。
「ええ! 言うまでもないわよね♪」
さらに言われてレミアンナは顔を真っ赤にしていた。可愛いな。
そんなレミアンナだが、ずっと悩んでいたことがあった。
ティンダロス邸のリビングにて――
「どうかいたしましたか?」
アムレイナはそう訊いた。
「いっ、いえ、その……」
レミアンナは遠慮がちだった。
「まあ! なんて素敵なお召し物なんでしょう!
レミアンナにとってもぴったりですわね!」
アムレイナは嬉しそうに言った、
アムレイナにしてみれば自分たちが着ているような服装だが、
レミアンナに着せたらなんと似合うことか――アムレイナは称賛していた。
それにはレミアンナは顔を真っ赤にして照れていた。