リアントスはあの後、思うところがあってアーカネルを歩いていた、それは――
「あなたもデカイことを成し遂げてみたらいかが?」
「俺、あいつと違って人間なんだが」
「どうかしら? 関係あると思う? この世界に等しく生きる者でしょう?」
そう、ライアに言われたことだった。
「んだよクソッ……デカイことってなんだよ……」
リアントスは歩き続けていると、そのうちストリート付近までやってきていた。すると、例の工房にはディアの姿が。
「あれっ、珍しくマジメになんかやってんな」
ディアは答えた。
「ん? ああ、キミの相方が変なもん持ってきたからね。
本当はおねゐ様方にちやほやされていたいところだけど、
仕事を終えないうちは落ち着かないからね」
この野郎……リアントスは地味にイラっとしていた。
リアントスは気になっていたことを聞いた。
「あのさ、お前、聖獣って元は人間なのか?」
ディアは答えた。
「そうさ。
聖獣って言うのはね、聖なる獣を成す者というだけの話だから中身は大概キミら人間や精霊族だったりするんだよ、
魔族は前例がないからわからないけど……。
俺以外の聖獣は大体元の種族の姿を保持しているらしいけど、
俺は逆にそんなものがないからね、このウサギの姿一本ってわけさ、こういうところも聖獣によりけりってわけだね」
そうなのか、リアントスは頷いた。
「ん? もしかして、リアントスも聖獣になりたいの?」
ディアはそう訊くとリアントスは遠慮がちだった。
「いっ、いや別に……そんなんじゃないんだが……」
ディアは頷いた。
「そっか。でも……なりたければ身近に厄介なやつがいるからさ、話だけ聞いてみるのもありなんじゃないのかな?」
……怖いのが案外入り口が簡単に用意されていることである、リアントスは悩んでいた。
そしてそのままティンダロス邸へと戻ってきたリアントスだが、そこでとんでもないやつに出くわしてしまった。
「やあ! また会ったね!」
リアントスはぎょっとしていた……これはどう考えてもフラグ回収じゃないか……彼は悩んだ。
「なんだい? どうしたんだい? 聖獣になる方法かい?
それは簡単だよ、ロイド君と同じ道をたどればいいさ」
んな話聞いていない! リアントスはぶち切れた。
「あはははは! でも、キミの将来はもはや約されたも同然さ。
抗うのも自由だし、何をしようとも自由だけど、約された未来を蹴るというのは相当の労力を伴うものなんだよ。
ロイド君には結構何度か言っているんだけどね、キミにもきちんと教えておいた方がいいよね。
キミだってわかっているだろう? 私は以前に黄金の鍵の話をした、まさに約された結果通りの展開になっただろう?」
こいつ、やっぱり腹が立つ……リアントスは殺意を覚えた。
だが……決まっていることなら抗いようのない真実か……
こういうのは恐らく決まって未来の確定点と言うべきやつがどこかにあるんだろうが、
それを折らない限りはこいつの言う通りにしかならない……リアントスは悩んでいた。
「じゃあ仮にだ、仮に俺が聖獣になったとて、俺はどうなるんだ?
聖獣って聖なる獣を成す者でどっかの守り神的にいる存在なんだろ?」
スクライトは頷いた。
「それを言ったら面白くないからね、だからそいつは次回までのお楽しみということにしておこう!」
次回って……リアントスは悩んでいた。つーか、次回っていうのやめろ。
そこへネシェラがやってきた。
「邪魔!」
彼女はスクライトを払いのけ、リアントスと話をした。
「はい、再調整したわよ、これでいい?」
ティルフィングの際の戦いでも大活躍したリアントスのボウガン、ネシェラは修繕していた。
「おお、助かるな、サンキュー。
よし、また試し打ちしてくるか――」
リアントスはそう言いつつ去って行った。
「いいのかい? あの武器だと彼が言ってたこと、回収してしまうんじゃないかな?」
スクライトが言うとネシェラは言った。
「どうするかは本人次第でしょ、余計なこと言わないの。
確かに、お兄様よろしく粛清の対象感は否めないブツだけどさ、やっぱりあれだけの力を持つ得物を1人で扱うのは忍びないからね。
だから私としては信用できる2人のお兄様に委ねたいのよ。」
そういうことか……スクライトは頷いた。
「とにかく、ティルフィングに匹敵する破壊の武器”ハバリウス・バリスタ”の使い手なんだから丁重に扱いなさいよね!」
そんなハバリウス・バリスタの破壊力だが、リアントスは改めてとんでもないブツであることを味わった……。
「ドズメーアにコアトル……ミサイル・ガード持ちか、どれだけ通用するか見るのにちょうどいい的ってところだな」
だが――
「グギャアアア!」
ドズメーアに炸裂!
「……は!?」
「グワァアアア!」
コアトルを打ち抜いた!
「……え!?」
2体の魔物はその場で死に絶えた……。
「おい! ネシェラ! なんかおかしかないか!?
なんでミサイル・ガードまでぶち抜いてるんだよ!」
すべてを破壊するとんでもない得物だった……
だからそんな危ないものを作るなとあれほど以下略で。
「……よくわかんねえが嫌な予感しかしねえぞこれ――」