ロイドはさらに奥に進んでいくとそこには――
「なんだ!? どうしたんだ!?」
サイスが……その場に倒れていた――。
「ロイドさん、ここは危険です――」
まさか、苦戦している!?
ロイドは周囲を見渡すと、クレメンティル聖堂騎士たちが一方的に流星の騎士団を蹂躙しているではないか――
「ライア! アルクレア! 大丈夫か!?」
ロイドは2人の所に言ってそう訊いた、2人とも、もはやヘロヘロの状態である……。
「ロイド……こいつら、攻撃が全然効かないのよ、どうなっているのかしら……?」
「ううっ……まだよ、まだまだ――」
ロイドは頷いた。
「事情は分かった、それなら、ここは俺に任せておけ。
2人はここから早く逃げるんだ――」
それに対してクレメンティルの聖堂騎士が言った。
「何を言っている! ここへ入った者は何人たりとも逃がさん!
ここは貴様らの墓場となるのだ! さあ、覚悟せよ!」
そこへロイドが立ちはだかった。
「黙れ! 俺が逃げろっつったら逃げるんだよ!
さあ、そんなに果し合いがしたいんだったら俺が相手になってやろうじゃねえか、
このクソザコ共が!」
そう言われた聖堂騎士たちはキレた。
「ほう……そこまで言うか、だったらいいだろう――貴様には真の地獄というものを味合わせてやろう!」
と言いつつ、騎士団はロイドを取り囲んだ――
「ロイド!」
「いいから早く行け! 俺はこんなやつら相手に死んだりしねえ!
約束だ! 俺は生きて帰る!」
マジな目でそう言うロイドに対してライアは覚悟を決めた。
「わかった! ネシェラとアレスとシルルはそっちの扉の先に行ったわ!
クリストファーを追うためにね!」
ロイドは頷いた。
「わかった。さてとザコ共……早速始めようじゃねえか!」
ライアがシュタルを、アルクレアがサイスを起こすと、4人はその場を去って行った。
ロイドはその様子を眺めつつ、じっと佇んでいた。
「どうした? こねえのか? クソザコナメクジ共が――」
ロイドは敵をさらに挑発すると、騎士団はしびれを切らし――
「いいだろう、そういうことなら望みどおりにしてやろう!」
騎士団は一度にロイドに襲い掛かってきた! そしてそこへ――
「甘い! デッドリー・ドライブ!」
ロイドの反撃! 周囲の敵を一度に薙ぎ払った! ……が――
「うおっ!?」
敵はまるで堪えていない! それどころかそのままロイドを集中攻撃!
「ふはははは! まったく、口ほどにもないな! 他愛のない!」
ロイドは集中攻撃を受けて倒れてしまった、そして――
「ふん、さあ、いつまでも死体を置いておくな! さっさと処理してしまえ!」
と、一番偉そうなやつがそう言うと、部下は一生懸命ロイドの遺体を動かそうとしていた、だが――
「なっ!? なんだこれは……!? 隊長! この死体、びくともしません!」
なんだと!? 隊長は激怒した。
「何を言っている!? もっと根性を出さんか!」
「いえ、それが本当に全くびくともしないんです! それに、まるで氷のように冷たくて――」
「まだ死んだばかりだろう! いいから、さっさとやれ!」
だがしかし――
「ぐはっ!」
隊長は何者かに殴られた!
「ななっ!? なんだ、どうなっているんだ!?」
なんと、殴った相手はロイドだった!
「よう! 部下の話ぐらい聞いてやれよ、理不尽な職場だな――聖堂っていうところはブラック企業なのか?」
ロイドは前に出ると、聖堂騎士たちは警戒していた。
ロイドはそのまま自分の死体の顔の上に足を乗せた。
「傑作だろ? これな、氷でできているんだぜ?」
すると、その死体はどろどろと解けていき、しまいには水となっていた、氷だ……。
「まあ、そう言うわけだな。さてと、次は――」
と言いつつ、ロイドは隊長の隣にいる騎士をとっさ捕まえ、剣をそいつの首元に当てた。
「さて、そう言うわけだからそこを退いてもらおうか?
俺は忙しいんでな、だからさもないと――」
だが、騎士たちはニヤニヤしていた。
「やれよ!」
捕まえられたやつがそう言うと次々とやれやれとコールが。
「あのな、お前ら本当にいいのか? 仲間の危機だろう?」
「危機だと? そうか? だったら試してみるがいい! さあ早く、早くやって見せろ!」
そうか、それなら――ロイドはそいつの首を――
「よし。さて、次の犠牲者になるやつを教えてくれ」
しれっと切り落としてしまった――。
「なっ!? 何故だ!? 何がどうなっている!?」
隊長をはじめ、次々と慌てふためいていた。
それに対してロイドは懐から何かを取り出し、邪悪な笑みで答えた。
「悪いな、ネタは割れているんだ、お前らを守っているのはこいつだろう?」
なんと、それは精霊石だ!
「なっ!? そっ、それは”守護宝石”!? どうして!?」
ロイドはそう言われ、その精霊石を見ながら答えた。
「”守護宝石”って名前を付けてんのか。
どうしてって? そりゃあ……あそこに精霊石を作ったような痕跡があったからだな」
と、ロイドは指をさした、そこはネシェラが先ほど精霊石を取っていた場所だった。
「だから精霊石に何かしらを細工して携帯しているんだろうと思ったんだがビンゴだったようだな、
こいつを携えている間はすべての攻撃を無効化する特性を備えるらしい、
強力な効果だから恐らくクレメンティルにいる間のみ有効ってところだろう。
そう思ったからな、その倒れているやつの懐からちょいと拝借しただけだ――」
なんと、そんな効果が!? しかもロイドは既に見破ってしまっていた……。
だが、彼はおもむろに、もう1個守護宝石を取り出し、邪悪な顔で訊いた。
「そういやあもう1個拝借しちまったんだよなぁ? 誰のだろうなぁ!?」
えっ……そう言われて騎士たちは右往左往していると、
ロイドはその守護宝石を例の刃無しの珠についていたマグネットのようなものを使って自分の剣にセットし――
「規格が違うから外付けってところだな。
さて、こいつはどんな効果が得られるんだろうな!」
ロイドのハイ・スティング・ゾーン!
「ぐわあああああ!」
「うわあああああ!」
ロイドは効果のほどを確認していた。
「ほう、かろうじて打撃が与えられるそうだ、どうせならもう少し寝ていてもらおうかっ!」
さらに繰り返しハイ・スティング・ゾーン!
「ぐわあああああ!」
「うわあああああ!」
「さて、そろそろ死んでもらおうか、ザコ共!」
ロイドは倒れている騎士1人1人から宝石を奪いつつ、確実にとどめを刺していた。
「あんまりこういう殺しはしたくねぇんだが――でも今回だけは特別だ。
ったく……単純なやつらだな、この程度に引っかかるとは――」
先ほどもう1個取り出した精霊石は守護宝石などではなく、刃無しの珠だった――ロイドは指の上で転がして遊ばせていた。