改めて、レミアンナが流星の騎士団に加入することになった、
アーカネルでも珍しい魔族の仲間入りである。
ラミア族はプリズム族同様に妖魔の女である。
ただし、プリズム族と違ってサイスのような男児はなく、女性のみである。
それ以外に違いと言えば、プリズム族が精霊族であるのに対し、
ラミア族は魔族由来である。
ラミアと言えば魔獣ラミアというのもいるのだが、そちらは魔物である。
魔物のほうの特徴は上半身は人間の女性の上半身だが下半身は蛇という、
まさに半獣半身の魔物である。
得意技はこの度のレミアンナがやったのと同じく誘惑魔法、異性を狂わせることが得意なのだ。
一方で、魔族ラミアはその魔獣ラミアの血を引いている魔族種であり、
言ってしまえば魔族の手により作られた種族である。
力を求めるがあまり、魔物の力をも自らの力にしていった結果ということである。
そのため、身体的特徴は蛇などではなく、普通に二足歩行可能なスタイル抜群のお姉さんである。
だが、魔族ゆえになんともセクシーなフォルムをさらけ出すこともいとわず、男性陣は目のやり場に困りがちだったりする。
無論、得意技はプリズム族と同じく誘惑魔法、異性の心をゲットするのが得意な種族である。
反面、プリズム族は控えめという対照的な特徴がある、
言ってしまえばプリズム族のしたたかさが見える所でもあるわけだが。
ある日、レミアンナは町の路地へと繰り出していた。
「日曜日が平和っていうのはいいことよね」
おや、どこかで見たようなシチュエーション、
しかしその際のシチュエーションとは全く異なり、周囲の男たちは彼女の姿に完全に見惚れていた――
男心を破壊しそうなボリュームたっぷりの胸元は革ひもで縛って押さえてこそいるものの、露出はしているのでしっかりと見える。
そして下半身だが、どこぞの素敵なお嬢さんですかと言わんばかりのロングスカート姿――でとどまるはずもなく、
大胆にも思いっきりスリットが入っており、思いっきり生足を披露しているなど、
全体的に一部の男性陣にとってはとってもたまらないお姿を成されている女神様コーデなんだそうだ、ネシェラの弁。
「おっ! これはこれは美人でセクシーなお姉さんのお出ましだ! どうだ? 一つ食べねえか?」
それに対してレミアンナは悩んだ様子で言った。
「そうねぇ……タダだったらもらってあげてもいいけど?」
男は焦っていた。
「姉さんも抜け目がねえなぁ……仕方がねえ、姉さん美人だからな! ほら、一つもってけ!」
「あら! ありがと♪」
レミアンナはおでん屋さんからおでん串を受け取った。
「次はぜひ買ってくれよな!」
「ええ、もちろん♪ また奢ってね♥」
やっぱり女は怖い。
そして次……
「おおっほお! これぞぼんきゅっぼん!
美人でせくすぃで綺麗な生足と大きなお乳をお持ちの女神様を拝める日がまた来るとは!
ありがたや、ありがたや――」
と、年配の男が拝んでいた。
「ちょっと……まだ拝まれるには早いって言ってるでしょ、このエロジジイ――」
男は嬉しそうにしていた。
「おお! おお! やっぱりたまらんなあ!」
それに対してレミアンナはため息をついていた。
「まったくもう。それにしても、ずいぶんと元気になったんじゃあないの?」
エロジジイは満面の笑みで答えた。
「女神様のおかげでなあ! ほれ、すっかりこの通りですな!
今ではすっかり美人でせくすぃで綺麗な生足と大きなお乳をお持ちの女神様が見れるのが生き甲斐になっとります!
今日もまたそのお姿を拝見できるとは……ありがたや、ありがたや――」
エロジジイは年甲斐もなくはしゃいでいた。
このエロジジイは身体を悪くしていたのだが、その際は女神ネシェラ様を見るや否や、
エロの力ですっかり元気になっていたはずだった。
だがしかし、今度はアーカネルに度重なる事件によって再び身体を悪くしていた。
もはやこれまでか――そう思ったのもつかの間、
何と今度は美人でせくすぃで綺麗な生足と大きなお乳をお持ちの女神レミアンナ様がいらっしゃるではないか!
再び生気を取り戻していた、いい加減死ねばいいのに、エロジジイが……。
「あーら♪ そんなに私のことが気に入ったのね、このエロジジイめ♪
だったらまずは拝むのをやめないと寿命を回収しちゃうわよ?」
「うひょぉー! たまらんなぁ! 本当に逝ってしまいそうじゃあ――」
なら逝ってヨシ!
さらにはこんな話まで。
「おっ! これはこれは女神レミアンナ様じゃないかぁー!」
「やめとけよ、あの女、結局ネシェラの取り巻きだろ?
下手に触れようもんなら地獄を見るのは確定しているんだぞ――」
「そりゃあ触れるからに決まってんだろーが! いいか?
女神レミアンナ様には触れちゃなんねぇんだ、
あの美人でセクシーで大きなおっぱいを持つお方は見るだけならバチが当たることはねえんだ!
つまり、あの女神様は俺らの目の保養様なんだよ!」
「なるほど! 見るだけならセーフってわけか!」
その話を聞いているレミアンナは嬉しそうに言った。
「ウフフッ――それはなんとも面白そうな話ねぇ、試しにネシェラに話してみようかしら♪」
そう言うレミアンナに対し、男たちは命の危険を察して一度に黙っていた。
そしてこんな話も。
「ふぅむ、あれが最近流星の騎士団に入ったという噂の魔族の女性ですか、
とうとう魔族までとは――なんとも多様性の広がる話ですな、
確かに……これはなんとも次元の異なる理由で男性陣が黙っていないようななかなかの器量持ちですな――」
お城から2人の貴族が彼女のことを遠目から眺めていた。
「ですが、流星の騎士団と共に行くだけあって、腕も確かのようです。
それこそ、先日の臨時選抜試験をパスしてしまったほどの腕とも聞いていますが――」
「しかし、女性というのは得てしてそういうものでしょう。
うちの家内なんかも似たようなもんです、お宅だってそうでしょう?」
「言われてみればその通りですが――」
「だったら腕も確かとか強いとか、そんなものは大して問題にはなりません。
最初から強いことがわかっていればさほどがっかりしないというものです。
それならばあれほどの器量持ち、あのままにしておくのはあまりにも――如何でしょうか?」
「うーん、確かに……それならそれで一考の余地がございますな。
ですが、うちの甥っ子はつい先日縁談が決まってしまったものでして――」
「おや、そうでしたか――それは誠に残念……いえ、おめでとうございますと言うべきですね」
「いや、そうだな――妻に先立たれてはや5年……私に再びチャンスが訪れたということだな――」
「えっ!? えぇ……」
とにかく注目されすぎている彼女、完全に悦に浸っており、嬉しさが爆発していた。
そんな感じで彼女をあっさりと手なずけているネシェラ――
ますますやばさに磨きがかかっているな、元々敵だった者をこうもあっさりと仲間に引き込むなんて――
はっ!? そうか、これが真のプリズム族の誘惑魔法だとでもいうのか!?
それ、絶対にヤバイでしょ……。