ということで、イセリアは旅の仲間を紹介された。
「私はライブレード=テレンタルでございます。
精霊族でございます。よろしくお願いいたします」
イセリアは嬉しそうだった。
「あら♪ これはすっごいイケメン……いいわねぇ♪」
さらにもう一人紹介してもらった。
「私はヴァディエス=クリスタリスと申します。
精霊族でございます。よろしくお願いいたしますね」
もう一人は女性の精霊だった。
「きゃー! これはすっごい美人さんね! 選んどいて大正解!
ん、でも、ビジュアル重視だと精霊族ばかりになるわね……ビジュアル大事だけど。
どうしようかしら、いろんな種族って考えてたんだけど、もうこの段階から計画倒れね、私としたことが……。」
イセリアは悩んでいた。
「言っても、せっかく選んだ仲間をキャンセルするのはもったいないわね……
なら、当面はこれで行こうかしら?」
すると受け付けが話した。
「それなら、こういうのはどうでしょう?
冒険者はほとんどの場合、4人まで徒党を組んでいることがほとんどです。
ですから、もう1人選ばれてみては――」
イセリアは首を振った。
「あっ、ごめん、ちょっと当てがあるんだ、だから3人で大丈夫よ。」
受付は頷いた。
「左様ですか。それではまた、ご利用ください――」
そして3人はそのまま東に向かって歩を進め始めた。
まるで悪魔のような邪悪な魔物が次々とわいてくるが、なんとか”オルテリア”へと辿り着いた。
オルテリアの町――ここも小さな町だった。
現在のアーカネリアスにおいてはここに該当する町はないのだが、一応、クロノリアよりももう少し西にある位置とされている。
だいたいシュリウス遺跡ぐらいの位置ということにしておこうか。
「とりあえず、仲間とは一旦解散したほうがよさそうね。
せっかくだから、新しい装備を新調しておこうかしら。」
そして、イセリアはついでに情報を収集すると、仲間と再集合した際にイセリアは何やら考えていた。
「そうそう、忘れてたわね。
えっと、最初に精霊族の女を選ぶ、とりあえずある程度まで戦える強さを身に着ける、
オルテリアでの情報収集で”海の魔女の話”を聞いたから、東の港町へと行く前までにドミナントに一度戻るのよね?
徒歩しかないけど……」
と言いつつ、その足でおもむろに一路ドミナントへとUターンした。ってか、何の話?
ドミナントへと戻ってきたイセリアたち、とんでもないことになっていた。
「こいつが”パワー・デーモン”か! これを倒せってことね!」
そこには、なんとも大きくて醜い太った悪魔が鎮座していた。
「これはなかなか強いわね、確かに事前に倒した大物に比べると全然違う強さね!」
イセリアたちはその悪魔に挑んでいた。
そして、何とかその悪魔に勝利はしたものの――
「ちょっと! いくら何でも強すぎるでしょこいつ!
もう少しヴァディエスを鍛えて蘇生魔法使えるようにさせといたほうがよかったかもしんないわね――」
というのも、ライブレードが伸びていたからである。
「すみません、やられてしまいました――」
だが、ライブレードは気が付いた。命に別状はないようだ。
「いいのよ別に、イケメンだからいくらでも許すわよ♪」
そして、イセリアたちはあの魔物を倒したことを冒険者の酒場に伝えた後、宿屋で休むことにした。
「話を進める前に休んでおいた方がいいわね――」
次の日、イセリアは仲間と解散すると、ドミナントの南の浜のほうへと1人赴いた。
「何も出ないわよね? 出ても雑魚ぐらいって訊いたけど――」
すると、そこには誰も乗っていない船が置いてあった。
「あった! これだ!」
とにかく移動ばかりだが、船を見つけたイセリアは町へと繰り出すと――
「いたわね、美人のおねーさんだわ♪」
それらしき女性の姿が確認できた。イセリアは彼女を追いかけた、冒険者の酒場に入って行ったようだ。すると――
「あの、すみません、こちらでは冒険者を募っていると聞きましたが――」
その様子を見てイセリアは嬉しそうだった。
「あらまあ♪ なーんて麗しい声なのかしら♪ いいわね、助けてあげないと。」
イセリアは彼女のほうへとゆっくりと近づいて行った。女性に対して受付が話をしていた。
「そうですが、どういったご用件で?」
「はい、実は、その――私の村を助けてほしいんです――」
「わかりました、そういうことなら屈強な戦士を紹介しましょうか?」
「あっ、いえ、実はその――私の村には掟がありまして、女性の方を紹介してほしいんです――」
受付は悩んでいた。
「女性ですか? 申し訳ございません、ただいま女性の冒険者は人気が集中しておりまして、今のところ紹介できる方がいないんですよ――」
そう言われ、女性はがっかりしていた。と、そこへ――
「女性の冒険者だったらここにいるわよ。」
と、イセリアは得意げに話をしていた。
「ん? おっ、これはちょうどいいところに!」
受付は気が付くと話を続けた。
「イセリア様! お話を――」
イセリアは頷いた。
「大丈夫、ついて言ってあげればいいんでしょ?」
「お願いしてもよろしいのですか?」
「ええ、そのためにフラグを……いえ、そのための冒険者なんだからね!」
受付は嬉しそうに女性に言った。
「良かったですね!
こちらの方はイセリア=シェール、この町にいきなり現れた”パワー・デーモン”を討伐するほどの腕を持っています!
ですから必ずやお役に立つことでしょう!」
なんでもいいが、なーんかイセリア=シェールの言っている内容が妙に引っかかる――。
ヴァナスティアの教え第1章第3節、世界で生を等しく共にする者同士、常に助け合うべき――