アーカネリアス・ストーリー

第6章 伝説との邂逅

第157節 全面対決! 戦争への兆し

 そして三日後――
「意外と早くきたわね。さて、どうなるかしら?」
 ネシェラは得意げな態度でお城からその光景を眺めていた。 アルティ門のほうからクレメンティル聖堂騎士団たちが隊列を組んで現れたのである。
「完全に喧嘩を売っちまったからな」
 と、ロイドまでもが得意げな態度で言うと、ディライドも得意げに言った。
「出番か?」
 リアントスは頷いた。
「らしいな。さて、やるか――」
 その3人とアレスとディアスは武器を持ってアルティ門へと向かった。
「だそうよ。さて、私たちはどうしようかしら?」
 ネシェラはそう訊くとライアが言った。
「もちろん、そうと決まったら私たちは後ろを守らないとね――」
 シュシュラは頷いた。
「ええ、こうなったら大暴れするしかないわね!」
 それにはナナルも嬉しそうにしており、剣を取りだしていた。
「腕が鳴るわねぇ! シュタル! ランバート! お母さんの戦い方をしっかり見てなさい!」
 それに対してシュタルはノリノリで嬉しそうな様子だが、ランバートは唖然としていた。
「あの剣の持ち方、手慣れているな――本当に母さんがナナル=エデュードなのか……」
 ナナルは得意げに剣をクルクルと片手で回していた――

 そしてアルティ門にて、クレメンティル聖堂騎士団と激突。
「お前たちはアーカネル騎士団だな!?」
「いいや、違うな。他を当たれ――と言ったらどうする?」
 聖堂騎士の言うことに対してロイドは得意げにそう訊き返した。
「とぼけるな! 貴様ら!  アーカネルに住むクレメンティル教の信者たちを根こそぎ投獄したというではないか!  しかもそのうちの1人は死刑にしたと!」
 随分と無茶苦茶なことをしたネシェラだが、何より一番ヤバイのが――
「やれやれ、他を当たれっつっただろ……ったく、まあいい。 死刑にしたのは俺じゃないから何とも言えないが、そういう話だけは聞いたことがあったな。 それにしても、クレメンティル信者をあぶりだした方法は簡単だったぜ。 どうやるか教えてやろうか?」
 と言いつつ、リアントスは何かの紙を取り出した。
「そっ、それは……!?」
 それはクリストファーが映っている写真、アーカネルにはない技術による彼の複写を取り出すと、 リアントスはそれを地面にポイっと投げ捨てた。
「なっ!?」
 その光景に憤りを隠せない聖堂騎士団だが、そこへもはやトドメと言わんばかりに――
「ふん……」
 なんと! ロイドはその写真の上に右足を乗せた!
「なっ!? 何をする!」
「貴様! その足を退けろ!」
 だが、ロイドは――
「は? 退けろだと? どういうことかわからんが……」
 と言いつつ、右足を退けるために右に一歩踏み出すと、今度はそのまま左足をその上に――
「きっ、貴様ぁ!」
 しかもロイドはさらに左足でぐりぐりと踏みつけていた。
「なんだ? 何か知らねえが、足元にゴミが置いてあったのか……くくっ……」
 と、ロイドはネシェラよろしく悪の権化かと言わんばかりの得意げかつ邪悪な様相でニヤッとしていた、 間違いない、兄妹だ。
「おいおい、お前ばっかり楽しんでないで俺にも踏ませろよ――」
 と、おもむろにリアントスも楽しそうにその写真を足蹴にしていた。
「俺は本当は聖職者集団なんだけどな、でも――事情が事情だから今回の件には乗らせてもらうぜ――」
 と、ディライドもそう言いながら楽しそうに写真を踏みつけていた。 もはや完全に聖堂騎士団はブチ切れていた。
「まあまあ、そういうことだ。 要は、この”ゴミ”が踏めるかどうか――”踏み絵”ってやつだな。 踏めるやつは信者じゃねえし、踏めないやつは信者というのは何となく想像に難くない。 信者でなくてもこれを踏むのは躊躇われるっていう心優しいやつもいたんだが――どうしたんだ?」
 と、ロイドはアレスとディアスに訊くと、2人は答えた。
「えっ? ああ、流石に人の絵が描いてあるものにそんなことはできなかったからね、燃やしたよ――」
「私自身でやるのは躊躇われるが、執行官殿がバラバラにして魔物のエサにしているところをこの目でしっかりと確認させていただいた。 なんとも手際がいいものだから私は感心していたところだ」
 おい……それはそれで酷くないか? そうなることを見越してネシェラに頼むとか絶対にアカンやつだろ。 このオッサン、やはり将軍位というだけあって絶対にただ者ではないな――。
「えぇっ!? そんな方法があったんですか!? 俺もそうすればよかった……」
 アレスは後悔していた……お前も案外惨いこと考えるな……。 いや、その辺はただの冗談というか、単なるアピールなのだが、
「それと、ついでにアーカネルのクリストファー教会も取り壊しが決定した。 つまり、今後は金輪際クリストファー教はお断りっていうことだな。 この考えについては我がヴァナスティアも深く歓迎する方針だ。 だからクリストファーの手の者に用はない、ケガしないうちにさっさと帰るんだな」
 と、ディライドも得意げに言った。クレメンティル教ではなくあくまでクリストファー教というのがある意味ポイントか。
「己ぇ! 貴様ら! 言わせておけば! 貴様らのような不届き者はこの我らが神に成り代わり、成敗してくれようぞ!」
 聖堂騎士団は激しく怒り狂っていた。 こうして、とうとうアーカネル軍とクレメンティル軍の全面戦争の火ぶたが切って落とされた――。